CaseFile #002 左第5中手骨頚部骨折(boxer's fracture)
初診 2009年10月
初診時レントゲン
55才、女性。
自宅付近を歩行中、坂道をスピードを出して走って来た自転車のハンドルに、荷物の入った袋を持った左手が接触し受傷。ただちに当院を受診した。

初診時レントゲン
中手骨頭は掌屈、高度な回旋転位をきたし背側凸の変形があった。

治療、経過
回旋転位の状態から非観血療法では整復位の保持は困難でoverlapping fingerの発症の可能性が高いと判断し、 専門医に転医。imagescope下で経皮pinningを行った。

考察
本症例の特徴は大きな回旋転位があることである。(ほぼ90°)仮にjahass法で整復に成功したとしても、一般的に使われる 側副靱帯の緊張を利用した固定法のMP関節屈曲位は、屈曲転位の矯正には有効であるが、回旋転位に対しては十分でなく、overlapping fingerを発症する 確率が高い。さらに長期固定によるPIP関節の屈曲拘縮も考慮すると、外固定のみで整復位を保持するのは困難であり、非観血療法の適応にはならない。

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