2011年、1月、2月、3月分の日記です
2011年1月1日、土曜日
宝徳稲荷大社一の宮"
新年あけましておめでとうございます。年末年始はマイナス36度の寒波で県内は大荒れになるという予報でしたが、 長岡は大晦日も元旦もおだやかな空模様になりました。
今年は地元の宝徳稲荷大社に初詣に行って来ました。宝徳稲荷大社は信越線の車窓からも、その紅い神殿を拝むことができ、岩塚駅から大拝殿まで 歩いて10分ほどで、今日も大勢の初詣客でにぎわっていました。写真は一の宮で、大拝殿とは違い参拝客もほとんどなく、時折、屋根から落ちる 雪の音がするくらいで、静寂につつまれていました。五色のろうそくを灯して、一年の無事を静かに祈ると、見上げた空からふりそそぐ光は暖かでした。

2011年1月7日、金曜日
現代を生きてゆくための倫理学の本"
今年の読書初めは新潟大学で哲学を教える栗原隆さんの著書「現代を生きてゆくための倫理学」を読みました。医療倫理、 バイオエシックス、環境倫理など、いわゆる応用倫理の問題を通して現代倫理学の基礎を学べる一冊です。全体を通してのキーワードは脱エゴイズム。
どんな精神的な事情についても私たちの知識は体験からのみ得られる。私たちが体験したことのない感情を他人のうちに再発見することはできない。 だからこそ自己移入が必要なのだとドイツの哲学者ディルタイは言います。
私は障害を持って生まれてきた人の気持ちは親でさえも理解できないと思います。では、そこで親は、医師は、教師は、友人は、自己移入できるもの でしょうか?それが言葉でいうほど簡単でないことは、汚れてしまった悲しみを知る大人なら分かるでしょう。でも、想像力とわずかばかりの知識で 彼の言葉を聞くことができます。手を握ることもできます。

2011年1月8日、土曜日
さいの神"
写真は「さいの神」の炎が天をこがす様子です。私の住む地域では公民館の催し物として、毎年「さいの神」を行っていま す。公民館とは社会教育法で定められており、公民館という建物があり、そこで様々な地域に根ざした文化活動を行うという形態が一般的なようです。 例えば新潟市ならクロスパルなどがそれに当たります。ところが、長岡市に合併する前の越路町など在郷では、公民館という建物は存在せず、町内に 点在する集落、いわゆる村に公民分館委託料という名目で公民館の予算を分配して、村の運営費に充当してきたという経緯があります。しかし、私の住 む地域は歴史のある村ではなく、田んぼを埋め立てて出来た新興住宅団地であるためドンブリ勘定というわけにはいかず、長岡市より人口割りで給付 になる公民分館委託料25万円と、公民館費として一戸当たり年間1500円徴収したものと合わせ、年間予算150万円ほどで、盆踊り、運動会、 さいの神などの催し物の開催、そのほか公共性が高いと認められた地域の活動に助成金を支出するという形で、町内会の運営とは完全に別会計で公民館 活動をしています。過去には私も3年間、書記役員を経験させていただき、地域社会というものを実地勉強でき、とても大変でしたが、いい経験になりました。

2011年1月21日、金曜日
講義の様子"
ここ数年、知己の医師に誘われて新潟大学医学部4年生向けの生命倫理の講義に参加しています。スモールグループで 学生との討論が講義のメインで、私たちのグループに与えられたテーマはインフォームドコンセント。インフォームドコンセントとは、知らされた 上での同意という意味ですが、同意というよりは合意であってほしいという私の問いかけで討論は始まり、一方的な同意ではなく、合意に至るには 患者と医師の信頼関係が必要で、それを実現するにはどうしたらいいのかという流れで進みました。学生からは「患者さんにもできる範囲で病気に ついて勉強してほしい」なんていう意見も出ました。
普遍性、客観性の上に成り立つ医学の世界に住む科学者である医師のもとを、主観でしか自分を語れない患者が訪れる、つまり、医師と患者の関係性 は異文化コミニュケーションだと思うのです。医師は病態生理学を考える事と同様に、少しでいいから患者の生活上の価値観も考える姿勢を示せれば、 そこに信頼関係が生まれるのではないか、やはり、医師のほうから患者に近づくことが必要ではないか。こういう私に対して学生からは「時間的な 余裕もないし無理だと思う」「すべてを医師にという考え方はどうなの?」「そのために看護師さんなどコメディカルがいる」「患者の生活にどこま で踏み込んでいいか分からない」という意見もありました。うーむ。でもなぁ。

2011年1月25日、火曜日
来迎寺農協前バス停"
うちの近所のバス停には、冬になると「ひとかき運動」というポスターが貼られ、鉄のスコップが一丁用意されます。 バスに乗る人がバスを待っている間に、少しでもバス停の入り口にたまった雪をのけて、助け合いをしましょうということです。
さて、先週の新大での講義の後、懇親会の席でのこと、法医学の教授が新潟に関する楽曲を集めているというお話をされました。そこで、私が 「先生は富所正一をご存知ですか」とお聞きしたところ知らないという返事。それではというのでYoutubeで公開されている富所さんの楽曲を 教えてさしあげました。
私が子供の頃、NHK新潟放送局のFMラジオ放送で、毎週土曜日の午後3時から6時までFMリクエストアワーという公開番組をやっていました。 DJは千田正穂アナウンサーと、苗字は忘れてしまいましたが、ユウコさんという月岡から毎週やって来るお姉さんのコンビで、この千田アナウンサ ーが、とてもNHKのアナウンサーとは思えない型破りな人で、毎週この番組を楽しみにしていたものです。私が富所さんを知ったのは、 彼がミニライヴをこの番組の中で時々やっているのを聞いたことがきっかけで、当時、どうしようもない劣等感の中にいた私の心を代弁してくれてい るかのような富所さんのやさしい歌声がとても好きでした。代表曲に「おめぇまだ春らかや」「笑うのがすき」「通信簿」「田舎者」などがあります。

2011年2月1日、火曜日
来迎寺農協わきの歩道"
現在の積雪量は長岡市役所越路支所で180センチ。ようやく寒波も去り、早春を思わせる日差しがうれしい一日に なりました。写真は来迎寺農協わきの歩道の様子です。私の身長以上の高さになった雪の壁の間を歩きます。毎年、この時期になると George Winstonのピアノが聴きたくなります。あの透明感のあるひびきが、早春の長岡によく似合います。

2011年2月6日、日曜日
チョコバナナワッフル"
UCCカフェプラザに行って来ました。ここは全国チェーンで展開している喫茶店ですが、オーダーがあってから豆を ロースト、ひいて、サイフォンでいれてくれる本格的なコーヒーが楽しめるお店です。それとUCCカフェプラザといえば「ワッフル」私はチョコ バナナがお気に入りで、カリッとしたワッフルとバナナ、生クリームとチョコレートソースの組み合わせは最強の組み合わせです(笑)

2011年2月13日、日曜日
KINEZO発券機"
映画「ジーン・ワルツ」を観てきました。この作品は「チーム・バチスタの栄光」「ジャエネラル・ルージュの凱旋」 に続く、海堂尊の長編小説を映画化したものです。周産期医療、代理母を題材にした社会派ミステリーということでしたが、ミステリーな部分は 全くなく、周産期医療の問題と代理母に関する倫理的な問題を同時に扱ってしまったことで、二兎を追うものは一兎も得ずという結果になって、 社会派作品としてはインパクトに欠けた作品だと思います。
周産期医療問題については、福島県立大野病院産科医逮捕事件をモデルに、代理母問題については、諏訪マタニティークリニックの 根津八紘医師による、子宮がない実の娘に代わって母親が産んだ代理出産をモデルにしていると思いましたが、この映画を辛い気持ちで観る女性は 必ずいるでしょう。そんな女性になんと声をかけたらいいのか。映画館を出てからそのことばかりを考えました。100%確実な診断や治療、 経過予想はあり得ないのが医学、医療なのです。だから・・・。なんて説明で患者さんの心はいやされるのか。
写真はKINEZOという発券機です。ネットで3日前から予約ができます。現金払いの場合は上映1時間前に発券する必要がありますが、 障害者割引など各種割引にも対応しています。

2011年2月17日、木曜日
きょうの健康テキスト"
写真は月曜から金曜の午後8時30分から45分の15分間、NHK教育テレビで放送している「きょうの健康」の テキストです。
健康や医療を扱うテレビ番組はあまたあるし、健康食品やサプリメントのコマーシャルも多いと感じます。この中には、医学的な根拠などほとんど ないのに、イタズラに不安をあおったり、病的な症状が劇的に改善するかのような印象を与える表現をしているものも多く、メディアの倫理感を疑いた くなるようなものも少なくありません。
そこへいくとNHK教育テレビの「きょうの健康」は病気とその治療、予防法を、ていねいに分かりやすく解説しており、何よりも好感がもてるのは 日本で標準的に受けることのできるベーシックな医療を、ていねいに解説しているところです。なので私は患者さんにも、この番組をすすめています。

2011年2月20日、日曜日
アップルカラメルタルト"
映画「洋菓子店コアンドル」を観てきました。都会の片隅にある洋菓子店コアンドルに、恋人をたづねて鹿児島からやって きたナツメ。彼女の鹿児島なまり全開で、天真爛漫なまっすぐな笑顔が、周囲の人たちの人生を、彼女自身の人生も変えていくというストーリーはベ タで先が読めてしまうプロットではありました。でも、終ってみればナツメ役の蒼井優の演技にひきこまれ、十村、マリコのビターチョコのキャラが、 作品全体に流れるナツメのマンダリンオレンジの甘くてさわやかな香りを際立たせ、本当に美味しいケーキを食べた時のような幸せな気持ちになれまし た。写真は、この映画の公開を記念してTジョイで販売されているアップルカラメルタルトです。劇中でナツメが考案したカシスフロマージュならよ かったのになぁ(笑)

2011年2月27日、日曜日
チョコバナナミニパフェ"
新潟大学医学部付属病院ちけんセンターの主催で、新潟大学駅南キャンパス「ときめいと」において「治験ってなに?」 と題して開催された公開講座に参加しました。治験とは新薬商品化前の臨床試験のことで、新潟大学は本州日本海側で唯一の治験拠点として国の指定を 受けており、年間およそ50件の治験を行っています。
講座は新潟大学治験センター長の笹原一久先生による「新薬が生まれるまで」、新潟大学医学部腎泌尿器病態学分野助教授の星井達彦先生による「 前立腺の病気の最新治療」、新潟大学医学部呼吸器内科学分野助教授の田中純太先生による「肺の病気の最新治療」という三つの演題で、2時間を少し オーバーする密度の濃いものでした。
日本ではドラッグラグが問題になっていますが、今回の笹原先生の演題ではその問題には直接触れず、タイトル通り、新薬ができるまでを淡々と説明 されました。肺がん治療薬のイレッサの問題はタイムリーで、これをネタに日本における医薬品の審査、承認とリスク管理の問題などを、治験の役割も 絡めながら述べられたほうが良かったのではないかと思いました。
星井先生、田中先生もそれぞれ、前立腺がん、ぜんそく、肺がんの最新治療を、具体的な最新の医薬品の作用機序も含めて、ていねいに分かりやすく 説明され、とても勉強になりました。田中先生は演題の最後に、がんといわゆるサプリメントの関係について触れられ、ベータカロチンは肺がん、 乳がんの発症リスクを増加させるという研究結果があると述べられました。
写真は「ときめいと」と同じフロアにあるAudreyのミニチョコバナナパフェです。基本的にチョコパフェなのですが、生クリームがかかってないのが残念です。380円ナリ。

2011年3月7日、月曜日
介護保険は老いを守るか"
「介護保険は老いを守るか」を読みました。創設されてから10年が経過した介護保険を利用者の立場から総括した内容で す。私は医療職という立ち位置でケアマネジメントを勉強し、介護予防を勉強し、長岡市介護認定審査委員を務めることで介護保険にかかわっています。
2009年度の改正では、要介護認定について軽度傾斜化という問題が起き迷走しました。そもそも、介護を客観視できるのか、審査会の度に思います。

2011年3月9日、水曜日
患者と作る医学の教科書"
このコーナーでは書籍の紹介もしていますが、これまで専門書は取り上げてきませんでした。今回、紹介する「患者と作る 医学の教科書」も医学の専門書ではありますが、高名な医師が体系的にまとめた医学書とは違い、患者さんが自分なりに理解している自分の病気につい て、自分の言葉で書いたものです。いわば、患者さんの視点による主観的な病気と、それをかかえての生活が書かれており、結婚や就職の問題、医療者 への希望や要望など、患者さんは病気をかかえて、身体だけではなく心理的、社会的にも悩んでいることが伝わってくる内容です。さらにユニークなの は医療者と患者さんの間に起こりやすい問題を、グループ討論で学習できる演習問題が付いていることです。慶応大学医学部、群馬大学医学部などで は、この本を使い医学部5年生向けの実験的講義もされているようです。
患者中心の医療という言葉が、この本にも度々出てきます。医師中心の医療よりは、はるかにいいと思います。でも、患者中心の医療が医療の正しい 提供の形かといわれると疑問です。医師が自分の理屈で患者さんを心配することは悪いことなのでしょうか?私は、患者さん中心というよりは、 患者さんと一緒に考える医療であってほしいと、この本を読んで思いました。

2011年3月16日、水曜日
ラジオ"
2011年3月11日金曜日、14時46分、東北地方太平洋沖を震源とするマグニチュード9.0の大地震が発生しました。さらに、 同年3月12日土曜日、午前3時59分、長野県北部を震源とする震度6強の地震が発生しました。11日の地震は長岡市浦で震度4。12日の地震も同地で震度4でした。 11日の東日本大震災では青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨木県の沿岸が10メートルを超える大津波による壊滅的な被害を受け、避難者は46万人、 死者は1万人を超える見込みであると報道がありました。また、福島第一原子力発電所の1号機、2号機、3号機は緊急停止はしたものの、大津波により原子炉の 冷却機能が失われました。また、地震発生時は運転停止していた4号機も使用済み燃料貯蔵プールの冷却機能が失われました。これらのことから燃料棒溶解が発生し、 セシウムなどの放射性物質が大気中にもれだす大事故が起こっています。恐ろしいことです。
今回の東日本大震災では被災地域の範囲が非常に広く、原発事故をともなっているという点で大規模複合災害であるため、 なかなか支援の手が届かないところも多いようです。私自身も中越大震災では避難所で生活した経験もあり、研修生時代は仙台市、盛岡市、いわき市で暮らした経験もあり、 被災された方に思いをはせると胸が痛みます。
この地震により東北電力管内の発電所が発電できなくなったことによる電力不足に対応するため、新潟県内でも今日から三日間、計画停電が実施される予定です。 私の住む地域は明日の午後5時から8時までの3時間です。写真は中越大震災の時にいただいたラジオです。ケータイも通じない暗闇の中、 ラジオの声で少しは気持ちが軽くなる思いがしたものです。明日はランタンの明かりで、このラジオを聞いて過ごそうと思います。

2011年3月17日、木曜日
市役所エントランス"
昨日から三日間にわたり実施される予定の計画停電は、昨日に続き今日も実施は見送られましたが、東北電力の節電の呼びかけに、 市役所もエントランスの明かりが消えており、長岡駅構内も照明を減らしていました。
今日は介護認定審査会でしたが、東日本大震災に対する長岡市の取り組みを市職員の方から聞くことができました。本日、長岡市では福島県の特別養護老人ホームの 利用者と職員合わせ90人を受け入れたほか、市内4か所に避難所を設営し、1200人を受け入れる用意ができたそうです。
2004年7月の三条市の水害の際には、私も赤十字奉仕団としてボランティアに参加しましたが、今回の震災でも機会があり、私の能力でもかなう仕事があるなら ボランティアに参加したいと思います。

2011年3月18日、金曜日
県単医療ポスター"
写真は県単独医療費助成制度の受給者証が新しいものに変更になることを知らせる患者さん向けのポスターです。県単独医療費助成制度 (略して県単医療)とは、障害者、ひとり親、乳幼児、老人に対して、新潟県が独自に設ける医療費の助成制度です。私は何年か前に新潟県の県単独医療費助成制度の あり方を考える懇談会の委員を務め、この制度の抱える矛盾や問題点を勉強した経験があります。この制度においては障害者に対する支出が、 ほかのカテゴリに比べて群を抜いて多く、さらに増加傾向が顕著であるという特徴があり、他の公的な制度、例えば国民健康保険、介護保険との整合性が 保たれているのかどうか、公平性が保たれているかどうかを考えたときに疑問な点がありました。
具体例を示せば、現在、障害者といわれる人の、おおよそ7割が60才を超えてから障害者となられた人であり、 介護保険との整合性がとれていないのではないかと思うのです。確かに障害をお持ちなのは大変なことであると思います。でも、 先天性や若年のうちに障害者となられた人と、老年期を過ぎて障害者となられた人を同じ制度のもとで括るのは無理があるのではないかと思うのです。 限られた財源をどう分配するのが正しいのか、持続可能な福祉にするために考えなければいけない事だと思います。

2011年3月19日、土曜日
白い巨塔コンプリートアルバムCD"
久しぶりにCDを買いました。加古隆さんのアルバム「白い巨塔-コンプリート」です。加古さんの楽曲は「阿弥陀堂だより」 という映画のサントラで聴いたのが初めてでした。物語と共鳴する、とてもきれいなメロディラインが心に残りました。このアルバムは加古さんがテレビドラマ 「白い巨塔」のために書き下ろした曲を、タイトル通りCompleteしたものです。物悲しく美しいメロディを奏でるピアノソロは、 エフェクティブな音作りがされています。

2011年3月24日、木曜日
献血メールクラブパンフレット"
連日、東北太平洋沖地震により被災された市民のために、何か役に立つことができないかという一般市民の声が、新聞からラジオから力強く聞こえてきます。形はどうであれ、顔の見えない誰かのために、痛みを想像すること、そこから何か自分にできることはないかと考えることが大切で、さらに積極的な負担ができるなら、それは素晴らしいことだと思います。
今日は一般市民が協力できることの一つとして、新潟県赤十字血液センターの献血メールクラブの活動をお知らせします。献血メールクラブとは血液が不足したときに会員にメールで協力をお願いするシステムです。詳細は新潟県赤十字血液センターのホームページをご覧ください。
新潟県赤十字血液センター献血メールクラブ

Internet Explorer 8.0以降でご覧ください。