2011年、4月、5月、6月分の日記です
2011年4月6日、水曜日
血圧計"
現在、世界の主な学会では家庭で計測した時の血圧が、最高血圧135mmHg以上、最低血圧85mmHg以上を高血圧と定義しています。高血圧は動脈硬化を進ませ、脳血管障害や循環器系の病気を引き起こす誘因です。脳卒中や心筋梗塞は早朝から正午にかけて多く発症しますが、この原因のひとつに朝の血圧の高さが関係していると考えられています。つまり、家庭で測る血圧が重要なのは、早朝の高い血圧は家庭でしか捉えられないからです。
当院では40才以上の男性に限って、写真の手首で測るタイプの血圧計と記録用紙を無料で1週間貸し出すことにしました。記録したデータを返却時に持ってきていただければグラフにしてさしあげます。

2011年4月10日、日曜日
フレンドのイタリアン"
何年かぶりにフレンドのイタリアンとギョーザを食べました。私が子供の頃から変わらない長岡のソウルフードです。モチモチした太麺にからむ オリジナルソース塩加減が絶妙です。ギョーザはあんが本当にたくさん詰まっていて大きく、オリジナルのタレはやさしい味付けで、 写真のイタリアンとギョーザ5個のセットメニューだけでもおなかいっぱいになりました。

2011年4月12日、火曜日
代替医療のトリック"
時折、患者さんから質問されることに「カイロプラクティックや整体で椎間板ヘルニアが治るんですか?」とか「鍼灸で本当にやせますか?」とか「テレビやラジオのコマーシャルで紹介される健康食品で膝の痛みが治りますか?」など、いわゆる民間療法に関することがあります。実のところ、私は民間療法を勉強したことがないので答えに困ってしまいます。
これらの、いわゆる代替医療は、現代の科学ではとらえきれないメカニズムで効果をあらわすものとみなされ、主流派の医師たちの大半が受け入れていない治療法です。
癒しやコスメティック効果に対する期待、不満のある病院医療の代わり、あるいは末期がんなどでわらにもすがる思いから代替医療を利用する人もいるでしょう。それで求めるものが得られれば何の問題もないわけですが、お金と時間、そして健康や生命まで失うことになるとすれば大変なことです。今回読んだ「代替医療のトリック」は、代替医療が効くのか効かないのかという問題の核心に鋭く迫ったレポートです。
著者らは「ランダム化プラセボ対照二重盲検法」を用い、科学的根拠に基づく医療のためにデザインされた検証法条件下で比較しています。結果は患者の受益とリスクを天秤にかけ、すべての代替医療についてほぼ否定的な結論に至っています。
代替医療は手軽なうえに、自然志向だから大丈夫だというような根拠のない信頼に支えられているように思えます。また、治療者が患者の訴えをていねいに聞き、心身一元論のもとで全身の調和をはかることに重きをおく治療法として人気があると思います。しかし、科学的な検証抜きに期待だけが独り歩きしている現状は問題があるのではないでしょうか。

2011年4月15日、金曜日
沈丁花"
今年は雪が多かったせいか、桜のたよりは少し遅れているようですが、うちの沈丁花はいい香りを漂わせています。私はピンクの沈丁花よりも、写真の白い沈丁花の香りのほうが透明感があって好きです。
先日、NHK教育テレビの福祉ネットワークという番組で、インターネットを使った情報共有が有効に働いて、東日本大震災で被災した障害のある人を支援していることを知りました。
仙台市にある障害のある人を支援するNPO法人が、自分たちのホームページの更新を東京都内にある関連支援組織の人にお願いし、具体的に支援してほしい内容を掲載したところ、全国から支援の声があがったというものです。一般の人たちに対する支援とは少し違った専門性を要求される障害のある人に対する支援は、行政を頼っても現在の状況下ではなかなか難しいとことではないでしょうか。そんな時にインターネットを使った民間レベルでの情報共有は、大きな力になることを示した例だと思います。

2011年4月17日、日曜日
福島江の桜"
福島江に桜を観に行って来ました。長岡市のホームページによると4月14日現在で「つぼみ」とあったので、どうかなと思いましたが、金曜日、土曜日と暖かい日が続いせいか、今日は7分咲きくらいでした。暖かな日差しに包まれ、道すがら買った草団子を食べながら、少しだけ冬の残り香のするそよ風にフワフワゆれる花をながめていると、とっても穏やかな気分になりました。

2011年4月29日、金曜日
眼科手術室の様子"
5月6日に開業する、なかの眼科クリニックさんの診療室を見学させていただきました。非常に明るい雰囲気の建物で、やさしそうな視能訓練士さんが迎えてくれました。診察室に置かれたパソコンにデータがリンクするシステムになっている眼科一般の検査機器、2種類のレーザー治療システム、白内障手術のためのオペ室など充実した医療機器がそろっていました。院長の中野敦雄先生は杏林大学医学部のご出身で、ご専門は白内障。杏林アイセンターといえばlow visionが有名ですが、中野先生はあまり御関心が無いようでした。

2011年5月3日、火曜日
新潟歴史博物館エントランス"
新潟歴史博物館の特設展示「新潟美人展」に行って来ました。新潟は、堀と柳と美人の街と称され、明治、大正、昭和、平成、それぞれの時代背景と共に描写された新潟美人を堪能できました。面白かったのは昭和初期の古町の芸妓さんが、印刷技術の発達で今でいうブロマイドになっており、現代の感覚としては、新潟では「ねぎっこ」のような、ご当地アイドル的存在だったことです。先の大戦では兵士に送った慰問袋にもこの小さな写真が入れられていたそうです。

2011年5月7日、土曜日
超思考"
養老孟司さんや、北野武さんの著書を読むと、養老さんは科学者ですから当然、科学者らしいものの見方をされますが、北野さんも、世の中で起こる、あらゆることを観測者として客観的にみて、そこから何者にも囚われない自由な思考をするという点で、やはり科学的な人だと思います。そして、ふたりに共通するのは、そこに人であることのはかなさを思い起こさせる何かがあるということです。その何かとは、上手く表現できませんが、近い言葉として知性としましょう。なんのことだか分かりませんよね(笑)
今回読んだ、北野武さんの最新のエッセイ「超思考」の腰帯には、「思考停止した全国民に捧ぐ、現代社会を読み解く視点」とあります。世の中の本質を鋭くえぐる言葉のメスで、脳ミソをむき出しにされて、冷水をぶっかけられるような感覚になりました。

2011年5月10日、火曜日
科学者の9割は地球温暖化、二酸化炭素犯人説はウソだと知っている"
メディアは連日、福島第一原発、浜岡原発の動向を伝えています。私は今回の原発事故で原子力発電のリスクと同時に、石油に依存した生活の危うさを考えてしまいます。そこで考えるガイドになるのが科学者の知見であるわけですが、東京大学助教授を経て現在は東京工業大学大学院教授で地質学者の丸山茂徳さんは、その著書「科学者の9割は地球温暖化の二酸化炭素犯人説はウソだと知っている」で、地球温暖化の原因といわれている二酸化炭素の増加による温室効果説に異論を唱え、観測されたデータをもとに、むしろ寒冷化していくのではないかという説を展開しています。そして、寒冷化と同時進行し2020年には顕在化するであろう、人類の増加と石油資源の枯渇問題を科学者の立場から警告する内容で、トンデモ本と一笑にふす人もいるかも知れませんが、ガリレオやダーウィンがそうであったように、主流派でないから間違っているなんて言えません。

2011年5月21日、土曜日
学会会場に立つ院長"
岐阜市で開催された「第60回日本理学療法学会」に参加しました。今回は私も論文発表を行い、いくつかの質問を受けましたが、おおよそ予測していた事柄を受け答えしただけで済みました。演者になると質問がないとくやしいし、難しい内容の質問だと困るし、複雑なんです(笑)

2011年5月22日、日曜日
名古屋コーチンの親子丼"
写真は学会の帰りに立ち寄った、名古屋駅の駅ビルJRセントラルタワーの13階にある「とり料理五鉄」さんの名古屋コーチンの親子丼です。名古屋コーチンはブロイラーよりもやわらかい食感で味が濃く、「どえりゃーうみゃーでよ」でした。
名古屋の名物といえば名古屋コーチンのほかにも、「小倉トースト」「天むす」など、いろいろありますが、名古屋駅では立ち食いそば屋さんのメニューに「きしめん」があり驚きました。かつおぶしをたっぷりのせて食べるきしめんも、うみゃー。

2011年5月25日、水曜日
医学は科学ではない"
神経内科医の米山公啓さんの著書「医学は科学ではない」を読みました。
Evidence Based Medicine(治療や検査に科学的根拠を求める医療)が主流になって10年以上が経過しました。この考え方により医師は科学的データに基づく平均値治療をすることを要求されるようになりました。しかし、米山さんは臨床の現場では、すべてを科学で解決できないし、患者が非科学的な治療を望むことも多いといいます。科学的データか患者の声か、本書は現代医療のかかえるジレンマを解説すると共に、医術の根源をみつめ、よりよい医療を模索する内容となっています。
「医術は人間の祈りである。神に祈るような敬虔な心で、患者の命を尊重する気持ちがなければ医療にたずさわる資格はない」といわれます。もしかすると、現代の医学は科学的解決を目指し過ぎて、患者の心とは別の方向を向いてしまっているのかも知れません。

2011年5月30日、月曜日
だましだまし生きるのも悪くない"
精神科医の香山リカさんの著書「だまし、だまし生きるのも悪くない」を読みました。ルポライターの鈴木利宗さんの取材に香山さんが答える形で書かれた、ご自身の半生を語った初の告白本です。
香山さんは私と同世代。高度経済成長期の真っ只中で育った「明るいナショナル世代」です。同じ時代の風を感じて生きてきたということと、人は現代医学的には、それだけで完結する閉じた存在であるのだけれど、社会という文脈でみると開かれた存在であって、こころの病気は社会のあり方を抜きには語れないというスタンスが、私の思いと重なる部分があって、彼女の著書はほとんど読んでいます。
香山さんはこの本の中で、これまでの人生を「流されているうちに、なんとなくここまで来てしまった人生」のように書かれているし、たぶんそれは「事実」なのでしょう。香山さんほどの「有名人」「成功者」であっても、本人の感覚というのは、こんなものなのかも知れません。

2011年6月5日、日曜日
オガワの中国そば"
映画「手塚治虫のブッダ、赤い砂漠よ!美しく」を観てきました。この作品は三部作として製作された第一部で、原作はタイトル通り手塚治虫のマンガ作品「ブッダ」です。仏教の創始者ブッダの誕生から29才で王室を離れるまでの物語を描いた作品で、原作同様、史説をもとにしてはいるけれども、手塚治虫の「生命の物語を尊重する」という主観で全体がつらぬかれており、宗教的なニュアンスは感じませんでした。
そうそう、仏教といえば、キリスト教では聖書の日本語訳があるのに、なんでお経は日本語訳されなかったのか、ずっと疑問なんですよね。布教をするには日本語訳は必須であったと思うのですが。
写真は映画の帰りに寄った長岡市スズラン通り商店街にある中国料理「王雅和」さんの中国そば550円です。あっさりしたスープで、店内の雰囲気もあいまって昭和のラーメンの香りがします。

2011年6月9日、木曜日
落雷ガード付き電源タップ"
落雷ガード付きの電源タップを購入しました。スイッチで電源のオン、オフができます。無線LANルーターには電源スイッチが付いていないので、この製品と組み合わせることで節電効果が期待できます。

2011年6月12日、日曜日
バカ田大学入試問題集"
新潟市美術館において開催されている「追悼 赤塚不二夫展〜ギャグで駆け抜けた72年〜」を観てきました。「天才バカボン」「おそ松くん」「もーれつア太郎」「ひみつのアッコちゃん」など、なつかしい顔がならんでいました。私は赤塚さんの誰も傷つけないギャグが大好きです。バカボンのパパの名セリフ「これでいいのだ」は、例えば、障害を持って生まれてきた子供のこころに貼るバンソコウに、これ以上のものはないと思います。
写真は赤塚不二夫展に併設されていた、赤塚さんの出身校であるバカ田大学購買部で買った「バカ田大学入学試験問題」いわゆる過去問です。ワセダ大学のとなりにあるバカ田大学の入学試験は世界で最もムズカシイといわれていますが、これ読んで最高の教養を身につけるのだ!

2011年6月27日、月曜日
エネルギーと原発のウソをすべて話そう"
私はラジオが好きでよく聞きますが、TBSラジオをキーステーションに(長岡ではBSNラジオ)月曜から金曜まで夜10時から放送されている「ニュース探究ラジオDig」という番組があります。毎回あるテーマについて、専門家のゲストを招いたり、リスナーの意見や質問を積極的に取り上げて、日々のニュースを掘り下げて考えていく番組です。福島第一原発の事故についても何回かとりあげており興味深く聞いていました。テレビや大新聞では報道されないような生々しい専門家の声もありました。東京大学出身者で構成される「御用学者」が、科学を思想で曲げてしまった結果として被爆を拡大させたと声高に主張する京都大学、金沢大学の先生方の発言にはおどろきました。
そこで原子力に関する基礎的な知識のまとめを掲載していた雑誌「ニュートン」「サイエンス」と共に、武田邦彦さんの著書「エネルギーと原発のウソをすべて話そう」を合わせて読んでみました。長く原子力関係分野の研究を続けてきた著者が、福島第一原発の事故を受け、原子力発電を止めることについて、自然エネルギーの問題点、石油と地球温暖化問題、地震の確率論など、タブーをつくらず、わが国の将来にかかわる問題を科学者の立場から素人にも分かりやすく解説した内容でした。
もっとも印象に残ったのは、この国の科学者も含めた社会の指導的立場にある人たちが、自分たちの仲間内で禁句になっていることは、それを言わなければ国益に反するとしても発言しないという原則に従っているのが現状であるという指摘です。学問の自由、言論の自由という前に、学者としての倫理観を捨てた人たちに巨大な力を生むシステムを扱う資格はないと思います。

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