2011年、7月、8月、9月分の日記です
2011年7月1日、金曜日
異物の国への旅"
2年前、済生会新潟第二病院の研究会で、心療眼科という臨床分野があることを知りました。この時、杏林大学の医師から聞いた心療眼科の概要は、器質的変化が検出されない目と視覚の異常感への対応や、現代の医療では治療が困難で、十分な視機能の回復が望めないロービジョン患者の心理的ケア、眼科医による精神療法と薬物療法なども行う診療科であるというものでした。
あれから現在まで、そのことは記憶の海に沈んだままになっていましたが、先日、本屋さんで偶然手に取った小説「異物の国への旅」の腰帯を読んだ途端、この小説と心療眼科という言葉がリンクして読んでみたくなりました。
「異物の国への旅」は、眼の奥に出現した正体不明の異物と、それによる痛みに苦しむ患者A氏と、それを診察する眼科医、岡林との、三年間に及ぶ診療の記録を、日誌形式で書き下ろした純文学作品です。
著者の高見沢草介さんは現役の眼科医で、実際に臨床に従事している医師でなければ絶対書けないと思われるところ、例えば、患者A氏に愚痴をいってしまったことを心の中で恥じる場面などはとても共感しました。でも、この作品で著者が表現したいことは、そんな「よい医者とは・・・」なんてことではないと思います。では、何か。
他覚所見では患者A氏の訴える異物の存在は否定され、その時点で岡林の眼科医としての仕事は終ったはずが、異物そのものに強い関心を持ち、診察に傾聴という手法を使い、患者A氏の異物とかかわりを持ち続けていく岡林。何が彼をそうさせたのか。ここが重要だと思いますが、私には上手く答えられません。

2011年7月3日、日曜日
ビーフカレー"
夏はやっぱりカレーでしょ!というわけで、欧風カレー食堂JIZIさんに行って来ました。写真はビーフカレー、1000円です。甘口、中辛、辛口と分けるなら甘口カレーで、マイルドな味わいでした。ホットモットのカレー弁当をもっと甘くした感じです。 そうそう、カレーといえばアキバですね。なぜかコンピューター業界の人、死語になってしまいましたがオタクのみなさんはカレー好きが多いみたいです(笑)

2011年7月5日、火曜日
グラフィックスカード"
一年ほど前から、このページの作成にも使っている自作マシンが不安定でフリーズや再起動を繰り返すようになり、とうとう起動時にNO SIGNALのメッセージが現れ、起動するとモニターがスリープ状態になってしまうようになりました。
マザーボードについている起動シーケンスを確認するLEDは異常なしと表示しているし、そうなると原因はグラフィックスボードにあると考えるのが妥当です。そうなると当然グラボの交換ということになるわけですが、先日、ビッグカメラのパーツコーナーをのぞいたらありました。玄人志向のグラフィックスボードGeForceFX5200、2280円。インターフェースはAGP3.0。 悩みましたが、ダメもとで購入して正解でした。これでもうしばらくはこのXPマシンが使えそうです。

2011年7月7日、木曜日
ポスター"
8月1日から国民健康保険、介護保険に加入されているみなさんは保険証が変わります。もうすぐお手元に新しい保険証が届くと思います。
国民皆保険制度が始まって半世紀が過ぎようとしています。高齢化、非正規雇用の増加にともなう保険料未納問題、高度医療の普及などで国民健康保険の財政は、どこの市町村も非常にきびしい状態です。市町村によっては独自の取り組みとして、保険加入者にジェネリック医薬品の積極的な使用を求めることや、健康維持や医療機関のかかり方の指導、さらには専門家を招いて、医療機関からの請求書の内容について独自にチェックするシステムを持つ自治体も出てきています。この病状が進行すると現在行われている出来高払いが、傷病によって支払い上限が設定されるようになり、医療格差につながります。
2010年の統計データで長岡市の総人口は283.280名、うち介護保険第1号被保険者である65才以上の高齢者人口は71.405名で、高齢化率は25.2パーセントです。
国民皆保険制度を守っていくにはどうすればいいのでしょう。

2011年7月17日、日曜日
護衛艦あまぎりに立つ院長"
新潟市東区の新潟西港、山の下埠頭に寄港している、海上自衛隊の護衛艦「あまぎり」の一般公開に行って来ました。
見学者は一列に並び、持ち物検査を受けた後、後部甲板にあるシースパロー対空ミサイルから艦載ヘリコプター格納庫へ進み、ハープーン対艦ミサイル、20ミリ機関砲と見てブリッジへ。ブリッジから船首甲板に降り、アスロックミサイル、76ミリ速射砲で終了。私を含め見学者は普段は伺い知ることのできない世界に興味津々で、暑さも忘れた30分でした。

2011年7月20日、水曜日
デジタル体重計"
今日で禁煙してから40週が経過しました。心理的にはタバコを吸いたい気持ちは消えていません。身体的には、いわゆる禁煙太りで体重が約5キロ増えたものの、少し高めだった血圧が正常範囲内になりました。 禁煙40週まではとにかく禁煙の継続を優先して体重の増加は考えないことにしてきましたが、これ以上の増加はコントロールするべきと考えて、専用の体重計を購入しました。

2011年7月21日、木曜日
「オバサン」はなぜ嫌われるか"
田中ひかるさんの著書「オバサンはなぜ嫌われるか」を読みました。腰帯に「無意識に発する言葉の裏に差別が隠れている!?」と記されている通り、世間の女性に対する年齢差別を「オバサン」というキーワードで考察した内容です。これまでのフェミニズムや女性学と違った視点があるのかと期待しましたが、特に新しいイシューになりそうなものはありませんでした。
ハンセン氏病患者さんの不当隔離政策に医師がかかわっていたと同様に、生殖のリミットを過ぎた女性に価値はないという見解を明治時代の医師が示し、国家も当時の富国強兵政策とあいまって、それを支持したことが現在に至るまでテーゼとして公然と続いているという分析は、科学と思想は分けて考えないといけないことを改めて思いました。同時に、そういった歴史を経て、大衆の間で刷り込まれてきた価値観というものは、それを差別と感じる人がいることを忘れさせることもあるのではないかとも思いました。例えば「五体満足で生まれてきてよかった」と言う時が、これに当たります。この言葉を発した人に悪意などないのです。けれど・・・。

2011年7月24日、日曜日
小惑星探査機はやぶさの模型"
新潟市の朱鷺メッセ、ウェーブマーケットにおいて開催されている「宇宙フェスタ」に行ってきました。写真は小惑星探査機はやぶさの2分の1スケールの模型です。
地球、太陽系、私たちの銀河系、別の銀河と宇宙全体の関係を、実際に観測されたデータをもとにスーパーコンピューターを使い、時間軸を自由に設定しながら、立体映像として見せてくれる国立天文台のシステムはとても分かりやすかったです。
ビッグバンと宇宙の謎のコーナーでは、生命は偶然誕生し、宇宙の歴史の中に漂う存在などではなく、宇宙の歴史の一部として必然的に誕生し、宇宙の進化に大きくかかわっているのではないかという考え方があるということを知りました。将来は星やブラックホールをエネルギー源とする生命体が生まれたり、宇宙全体が巨大な生命体に進化するのではないかという可能性が考えられているのだそうです。

2011年7月29日、金曜日
いのち問答の本"
精神科医の香山リカさんと、宗教家で医師の対本宗訓さんの対談本「いのち問答、最後の頼みは医療か、宗教か?」を読みました。
対本宗訓さんは、京都大学で哲学を学んだ後、ご実家がお寺さんだったことから仏門に入り、禅宗(臨済宗)の僧侶としてきびしい修行を積まれました。35才で父親の死に立会い、さらに死にゆく人達とのかかわりの中で、生老病死の伴走者となるには医学の知識がどうしても必要と考え、45才にして帝京大学医学部に入学し、医師になったというユニークな経歴の持ち主です。
対本さんはご自身のことを僧医と名乗り、医師が宗教をやっているのではなく、宗教者が医療もやっているとというスタンスを崩しません。本書は、そんな対本さんがターミナルケアの現場から見えてくる景色を、科学者代表という立ち位置の香山さんのインタビューに答えるという形で語っていくという内容です。
この著書のタイトルは「いのち問答」ですが、人は死んだらどうなるのか、死んでいくとき何が起こっているのか、死とは何かという、死への問いかけを主題として扱っています。医療の中で宗教を論じるのは時にタブー視されることもあり、この対談の中にも超自然的な雰囲気が漂ってきて、素直に受け入れがたい部分もありました。でも「祈りに効果はあるのか」を考える時、それは一般化できないものではあるけれど、旅立つ患者さん本人と家族にとって効果はあると思います。

2011年8月3日、水曜日
人たらしの流儀の本"
私が佐藤優さんの著書を読むようになったのは、2年ほど前に立花隆さんとの共著「ぼくらの頭脳の鍛え方」を読んだことがきっかけです。この本はいわゆるブックガイドなのですが、立花さんが教養としての読書なら、佐藤さんは現在起こっている事象、将来起こりうる事象について、それらを読み解くカギとして、つまり、戦略としての読書といったスタンスです。これは佐藤さんが過去に外務省主任分析官という仕事をしていたことと無関係ではないと思います。
私が好きな映画の一つに「アポロ13号」があります。絶望的な状況に、船長ジム・ラヴェルと2人のクルー、彼らを支える地上スタッフは、浮足立たず、焦りもせず、どんなに困難な事態においても、怒りもせず、絶望もせず、ひたすら問題の解決に向け確実に手を打っていきました。こんな人たちに近づきたくて、それにはどんな勉強をすればいいのかいつも考えます。今回読んだ佐藤優さんの著書「人たらしの流儀」にも沢山のヒントがありました。
外交官流の対人術を紹介しながら、そのためのバックヤードを自分の中に作るための情報の扱い方、具体的には読書と新聞、インターネットの活用法は参考になりました。特にインターネットについて、いわゆるブログ炎上の内容は、大衆がどんなことに興味をもっているか、怒りをもっているか見極める材料になるというのは、さすが、元官僚です。

2011年8月7日、日曜日
テルモのヘモクイック採血装置"
長岡は連日35度を超える猛暑日が続いています。先月30日から今月1日にかけての記録的な豪雨に、県内でも浸水被害が多数報告され、復旧ボランティアの人材が不足していると新聞は伝えています。2004年7月13日の豪雨の時、私は赤十字奉仕団のボランティアリーダーとして、三条高校の野球部の生徒さん4人と共に丸一日、泥上げ作業を行いました。慣れない炎天下の重労働は本当にキツく、私は、お昼ごはんが喉を通らないほどバテてしまいましたが、野球部の生徒さんはさすがにバテた表情などみじんも見せず、笑って作業をする姿が頼もしかったです。生徒さんの作業中の事故や熱中症に気をつけてあげないとなんて心配をするより、自分の心配をしたほうがよかったという情けなさでした。そんなわけで今回は汗の代わりに献血で、お見舞いの気持ちとさせていただきます。
献血ルーム千秋は大入り満員で、長岡の人の情けの厚さを感じました。

2011年8月10日、水曜日
デジタル血圧計"
以前、このコーナーで血圧の話題を取り上げたところ、手首で測る血圧は正確性に欠けるのではというご指摘をメールでいただきました。確かにご指摘のとおりで上腕で測るほうが正確です。実は私も同じような疑問を持って実験したことがあります。結果は手首で測るものは上腕で測るもの(水銀柱)に比べ若干ですが、高い値を示す傾向がありました。また、上腕で測るタイプのものでも、私たちが診療で使うような聴診器を使って測るタイプのものに比べ、家庭用のデジタル血圧計は不正確ではないかという心配をされる方もいますが、現在では医療機関でもデジタル式の血圧計を使っているくらいですから大丈夫です。大切なことは継続して血圧測定をすることです。そういう意味では手首式のほうがより簡単で続けやすいというメリットがあると思います。
写真は上腕で測るタイプで、二人分の測定値が記憶でき、朝と夜の平均値を、それぞれ週単位で自動計算して表示する機能があります。正しく測定ができないとエラーを返す機能も付いているので正確な測定ができます。このくらいのものだと家電量販店で1万円前後で購入できます。

2011年8月15日、月曜日
チョコレートパフェ"
投影機が新しくなったプラネタリウムを観たくて、新潟県立自然科学館に行ってきました。午後3時くらいに着いてチケット売り場に行くと、「今日のプラネタリウムのチケットは完売しました」とのこと。トホホ。というわけで、もう一つの目的は達成するべく3階のレストランへ直行。その目的とはホームページで見たチョコパフェ。
ここのパフェは、シャンパングラスのような縦長のグラスに、バナナとさくらんぼの最強のコンビを冠した、私好みの昭和パフェでした。ところが中ほどまで食べ進んでいくと、コーンフレークの中から半分凍った状態のマスカットの果肉がでてきて、チョコレートソースの甘さと、マスカットのほのかな酸味が交じり合い、おいしさの3段ロケットでした。打ち上げ費用は550円ナリ。

2011年8月27日、土曜日
不安な時代の精神病理の本"
香山リカさんの著書「不安な時代の精神病理」を読みました。現在、日本が置かれているデフレ不況や市場原理主義など、経済社会の状況を「不安な時代」と定義して、それが私たちの精神生活にもたらしている影響を、若者世代、親世代、高齢世代と分けて分析し、「日本は国民的うつ病にかかっている」と香山さんは結論付けます。また、これは日本だけに限ったことではないことを、アメリカ精神医学界で起こっている、うつ病の診断基準の移り変わりとSSRIという治療薬の売上高の関係を例に、市場原理主義と経済のグローバル化が、医学の世界まで影響していることを解説しています。(ここは読んでいて怖かったです)
そして、こういった状況の中で起こった東日本大震災が、どう影響するのかについて香山さんは、このまま解体や縮退がさらに加速度的に進み、グローバル経済の波に呑まれていくとも考えられるが、日本は国民的うつ病から脱却し、再生する方向に向かうのではないかと言います。その根拠は、私たちの中に東日本大震災により起こった悲劇を共有し、ゆずり合い、がまんし合い、たよりない政権に対してもある程度は信用し、助け合いながら生きていくという気持ちが生まれ、そこに新たな希望が生まれてくるからだとします。
 これまで経済の世界では成長することが絶対的な目標であったと思います。でも、私たち日本人は、成長すること以外の目的も経済に見出さなければならない時期にきているのかも知れません。それを考えるきっかけが東日本大震災なのは悲しいことですが、希望を語る礎になるなら、犠牲になった方たちも了解して下さると思います。

2011年8月31日、水曜日
シップ剤"
お医者さんで処方してもらったり、薬局で購入したシップ剤。捻挫や打撲、腰痛や肩こりなどで使ったことがある方も多いと思います。でも、意外にこれを正しく使えている人は少ないように思います。そこで今日は正しいシップ剤の使い方を話そうと思います。
まず、いつ貼るかですが、一日の中で最も痛みやコリがやわらいでいる時に貼るのが最も効果的です。例えばお風呂上りなどです。次に貼っておくのは、どのくらいの時間が適当かですが、おおよそ2時間程度でよいと思います。一日中貼りっぱなしにするのは皮膚のためによくありません。それから冷感シップと温感シップの違いですが、実は違いはありません。温感シップは暖かく感じるだけで、実際は冷感シップと同じように患部は冷えています。なので、ご自分が気持ちよく感じるタイプを選べばよいと思います。ただ、温感シップは皮膚の弱い方にはお勧めしません。

2011年9月2日、金曜日
マウスパッド"
写真は1995年に日本IBMより発売されたパソコン用OS、OS/2Warp日本語版を購入した際にオマケにもらったマウスパッドです。今日、障がい関係の資料キャビネットを整理していて見つけました。当時、日本IBMのイメージキャラクターは今をときめく女優の山口智子さんで、テレビCMもやっていたと思います。その頃、私は自作したマシンにいくつものOSをインストールし、ブートローダーを使って複数の環境を作って、視覚障がい者が使いやすいソフトの検証などをやっていました。
私がパソコンを始めたのは1992年で、初めて買ったマシンは富士通のFMTOWNSUでした。パソコン通信を始めたのもこの頃で、ディスプレイの向うにいる人から、いろいろ教わって知識も増えていき、電話代を気にしながらオートパイロットなどを駆使して、ニフティサーブにログインするのが毎日の楽しみでした。
ニフティサーブにはいろいろなフォーラムやパティオと呼ばれるコミニュティがあり、私は障がい者関係に関心があり、いくつかのフォーラム、パティオに参加していました。
視覚障がい者のパソコン利用は、この頃から徐々に始まり、ハードウェア、ソフトウェアの入手が比較的容易な、大都市圏に住む高学歴の視覚障がい者が、試行錯誤しながらパソコンを使う方法を考えて、それをパソコン通信や、関係団体が発行する雑誌などを通じて全国の視覚障がい者に伝えていくという方法でパソコンの利用が広まっていきました。ASAHIパソコンなどの雑誌に、全盲のヘビーユーザーとして取材をされる人が現れたり、WTERMという有名なDOSの通信ソフトの作者が全盲であったことはあまりにも有名な話で、パソコンは視覚障がい者の可能性を高める夢のツールになっていった時期でした。
パソコン通信上ではフェイスマークの使用をめぐって、視覚障がいを考える議論が時空を超えて交わされ、コンピューターネットワークの可能性にワクワクしたものです。
現在は視覚障がい者向けのパソコンボランティアさんが増えたこともあり、ワープロから始める方が多いのかもしれませんが、当時は、まずテキストエディッタとファイラーの操作を覚えることで、タッチタイプの習得とパソコンの概念を知るところから始まりました。それは、特にスクリーンリーダーというパソコンの画面を音声化するシステムでパソコンを使う際の核になる基礎技術の習得でもありました。現在でも一部のソフトハウスが販売しているスクリーンリーダーにはテキストエディッタとファイラーが付属しています。その理由は、視覚障がい者がパソコンを使う上で最低限、必要なソフトだからだと思います。基礎は地味で面倒くさいかも知れませんが、分かるようになるには必要なことだと思います。あとは楽しくやる工夫をすることでしょう。例えは、エディッタの練習では好きな歌の歌詞をつづるなどです。

2011年9月5日、月曜日
サインガイド"
写真は、銀行や役所の書類、クレジットカードでの支払いなどで、自分でサインをしたいのに、枠が見づらかったり、見えないことがあるという人のためのサインガイドという商品です。実際の大きさは名刺大で、四角くくり抜かれた部分をサインしたい場所に合わせて文字を書きます。先日、障がい関係の資料キャビネットを整理していて見つけました。
視覚障がい者というと、白い杖、盲導犬、点字などから連想して、まったく見えない人が視覚障がい者であると思っている方も多いと思いますが、見えている視覚障がい者もいます。ただ、晴眼者と同じように見えているわけではなく、彼らは現代のどんな医療をもってしても、メガネやコンタクトレンズを使っても、十分な視機能の回復が望めず、それが原因で人生のいろいろな場面で生きづらさを感じて生活している人たちです。こういった人たちをロービジョン者といい、サインガイドはロービジョン者を支援するためのグッズのひとつです。
視覚障がい者を支援する、ロービジョン者をケアするためには、高度な電子機器が有効なこともありますが、例えば駅で、時刻表の文字を大きくして、近づいて見ることのできる低い位置に設置しておくことなども有効な支援になります。

2011年9月9日、金曜日
四尺玉花火"
毎年、私は片貝まつりの花火を、うちから歩いて30分ほどの農道で見ます。今年も月に照らされて頭をたれる稲穂の香り、秋の虫たちとともに、やわらかい秋風が吹くなかで四尺玉を堪能しました。
重さ420キロの火の玉が地上800メートルで咲かせる直径800メートルの大輪は、山をふるわせ、見る者の体をふるわせ、圧倒します。

2011年9月11日、日曜日
瀬名秀明の色紙"
新潟県立自然科学館のプラネタリウムに行って来ました。今日の番組は、ベガとアルタイル、天の川の位置的関係から夏の星座の解説に始まり、古代ローマの詩人オウィディウスにより著された「変身物語」をモチーフに、ギリシア神話の星座物語を幻想的なコンピューターグラフィックで現代に蘇らせた物語で、太古の昔から未来へとつながる私たち人類の想いと、神話の世界をドーム投影の迫力ある映像で楽しめました。
写真は自然科学館の入り口にあった、科学者で小説家の瀬名秀明さんのサイン色紙です。私はSF小説も大好きで瀬名さんのファンです。最も好きな作品はBRAINVALLEYです。現実のすぐとなりで、起こりえるかも知れない不可思議な物語に引き込まれていく快感が味わえるのは、瀬名さんが現役の科学者であるからかも知れません。

2011年9月14日、水曜日
インターネットライブ配信の様子"
済生会新潟第二病院眼科勉強会の様子が、インターネットライブ配信されました。勉強会は毎月開催されており、前回の勉強会でもライブ配信が行われ、この時は患者さんにお許しをいただいて私もゆっくり見ることができました。おかげでどのくらいのクオリティで配信されるのか確認できたので、今回の配信は待合室にネットブックとスピーカーを持ち込んで、患者さんにご覧になっていただきました。
私は診療していたので、今回は勉強会に関して簡単な解説をしたくらいで、自分はゆっくり見る事が出来ませんでしたが、患者さんの中には将来を医療関係の職種を希望している女子高校生もいて、興味をもっていただけたようで、うれしかったです。 せまいテーマだけれども、有意義なテーマを担えるというネット配信の意味が高まり、社会もそれによって影響を受ける時代になってきたことを実感できました。

2011年9月21日、水曜日
ツイッター幸福論の本"
中部地方に大きな被害をあたえた台風15号が、今夜半、新潟県に最も接近します。18日の日曜日は県内で最高気温34.5度を記録しましたが、今日は20度。 Twitterでも、あまりの気温の変化に体調を崩しましたという内容のつぶやきが、ちらほら見られます。
Twitterといえば、私は今年の初めくらいにアカウントを作りました。でも、パケット料金の高さから、スマホはおろかケータイでwebを使うことさえしない私は、「今いる場所なう」に代表されるようにモバイルで使うのがTwitterの本来の使い方のようなイメージが強く、家のパソコンで「つぶやく」のはなんとなく面白くない気がして、8月までそのままにしてありました。 それが、お世話になっている医師が主催する勉強会がネット配信された際に、Ustreamの機能のひとつにTwitterを使ったソーシャルストリームという機能があることを知り、これを使ったことがきっかけで、ボチボチ使うようになりました。なので、まだまだTwitterに関しては概要くらいしか理解できていません。
それでも東日本大震災発生後、わずか4時間でTwitterと地図、航空写真のソフトを、いわゆるマッシュアップで組み合わせて、リアルタイムでボランティアの活動状況を地域別に把握できるようなシステムが立ち上がったことなどは知っていました。クラウドコンピューティング技術で一般市民が簡単に参加でき、役に立つ情報の提供者になれるTwitterは、すでに社会インフラとして機能している側面もあり、使い方さえ考えれば価値あるツールだと思います。
そこで今回読んだ本は、心療内科医の海原純子さんの著書で「ツイッター幸福論」現在、Twitterを使っている人を対象に、Web上で34項目のアンケート調査を行った結果から、日本のTwitterユーザーの姿、Twitterの使われ方などを分析し、Twitterを使うことがWellbeing(幸福、福利、健康)にどう関連するかを解明し、コミニュケーションツールとして更に発展させていくためにはどうすればよいかを考察した内容です。
日本国内のTwitterユーザー1248万人に対し、アンケートの母集団は818名なので、この調査だけで全体像を語ることはできないと思いますが、TwitterとWellbeingの関連性という診療内科医らしい着眼点が面白かったです。
うつ病の治療として使われる認知行動療法の応用として、140文字以内という制限下で自分を表現をすることが、自身を客観視し、気持ちを整理するのに役に立つという著者の指摘は、自分がつぶやく時のことを思い返してみても、その通りだと思いました。また、精神科医の香山リカさんも指摘するように、ネットを利用した、浅く、ゆるくつながる人間関係は、無縁社会と形容される現代において、セーフティーネットとしての可能性も期待できるのかも知れません。

2011年9月25日、日曜日
親子丼"
映画「セカンドバージン」を観てきました。この作品はNHKとは思えない大胆なベッドシーンで話題になった、連続ドラマの劇場版です。
私はエンドロールと倖田來未の歌声が流れる中、ある勉強会の後のドトールで向かいの席に座った、公立総合病院の脳血管センターに勤務する、とても40才の誕生日を迎えたとは思えないバツイチの看護師長さんが言った「ワタシ、年をとるのが怖い」という言葉を思い出しました。女性は性と生の関係が男性に比べ密接であるがゆえに、老いに対する恐れを、より強く感じるのでしょうか。作家の中村うさぎさんが風俗の仕事をやった経験を文章にされていますが、なぜ風俗を選んだのかという理由を「まだ、自分に欲情してくれる男がいるのか、確認せずにはいられなかったから」と言っています。
なんだか、現代は恋愛という宗教に、どうしても加入しなきゃいけないような強迫観念のようなものがあるような気がします。恋愛は不安定な時代にセカンドバージンな女性がすがる最期のよりどころになりえるのでしょうか?気持ちは分かるけれど、女性性の高め方や自己愛の保ち方は他にもあるのではないでしょうか。
写真は帰りに寄った長岡駅ビルCocoloの中にある、やきとりの店「鶏陣」さんの親子丼です。ここの親子丼は炭火で鶏を焼いているので、香ばしさが加わってとても美味しいです。

2011年9月30日、金曜日
祈る力の本"
宗教者であり医師の対本宗訓さんの著書「祈る力」を読みました。
対本さんは京都大学文学部哲学科を卒業後、仏門に入り修業され曹洞宗館長の職に就かれました。その後、45才で医学部に入学、医師になったという異色の経歴の持ち主です。対本さんはご自身を僧医と称し、宗教者が医療をやるというスタンスで、医療の世界(現代医学)と宗教の世界において、霊性を回復させることがご自分の使命であるといい、現在はロンドンで補完医療の臨床研究をされています。
霊性とは、人間の存在は目に見える肉体にとどまらず、それを含み超えた、より高次の生命レベルの総体であると定義し、それを現代社会に取り戻す方法が「祈り」であり、祈りは近代医学と宗教をつなぐ橋渡しになると対本さんは語ります。そして祈りは補完医療におけるヒーリングにみるように具現化して、実際の効果として確認できるものであると断言されています。
最近、ガンや緩和医療の分野でSpiritualityに関する論文も出てきていますが、必ずしも宗教に限定されるものではないようだし、また、ガンや緩和医療の分野だけにとどまらず、慢性疾患のある患者さんや、障害のある人の心理的適応の問題も関連領域に思えます。
健康と宗教との関連や医療現場に宗教を持ち込むことについての患者さんの態度に関する研究には、調査対象の偏りがあり一般化しにくいという問題点も指摘されているし、宗教を健康改善のための道具として用いることは、宗教の本来の意味を矮小化することにつながる可能性もあると思います。なので、医療に宗教を用いるための条件があるとすれば、既存の治療の妨げにならないこと、負担が小さいこと、具体的な効果に非現実的な期待をしないこと、などがあげられるのではないでしょうか。
「医術は人間の祈りである。神に祈るような敬虔な心で、患者の命を尊重する気持ちがなければ医療にたずさわる資格はない」といわれます。遠い昔、医術と宗教は渾然一体としたものでした。そこから医術は科学の一分野として分子生物学をベースに現代の医学になりました。その過程で医術の根源である「祈り」を忘れてしまっている側面があるのかも知れません。それを回復するという意味では対本さんの主張されることに共感します。

Internet Explorer 8.0以降でご覧ください。