2011年、10月、11月、12月分の日記です
2011年10月2日、日曜日
胸骨圧迫の様子"
10月1日、2日と2日間にわたりハイブ長岡において開催された「すこやかともしびまつり2011」にボランティア参加してきました。今回で20回目の開催となる、このイベントは市内の医療機関や団体、福祉関連の団体と長岡市、長岡市社会福祉協議会、長岡市老人クラブ連合会などが毎年、行っているものです。医療関連では参加体験型のイベントを各団体が行い盛況でした。写真は救急法の体験イベントで、AED(体外式除細動器)を使った心肺蘇生術の実演で胸骨圧迫(心臓マッサージ)をしているところです。心臓の位置は左胸というイメージがあると思いますが、実際は胸のほぼ中央に位置しています。

2011年10月9日、日曜日
さばの塩焼き定食"
映画「猿の惑星、創世記」を観てきました。私が子供のころ公開された映画「猿の惑星」は私と同世代の人であれば、知らない人はいない映画でしょう。猿が人間狩りをする恐ろしい世界に迷い込んだ主人公が、海岸で砂に埋もれ横たわる自由の女神を発見し、未知の惑星と思っていたのが、実は地球の未来の姿であったという衝撃的なラストシーンはあまりにも有名です。今回の作品は、そこに至った起源を描いたストーリーで、先が読めてしまうプロットではあるものの、SF作品としては私の好みでした。
ところで「猿の惑星」というと手話を覚えたメスのゴリラ、ココのことや、オリバー君を思い出す方もいるのではないでしょうか。ヒトとサルのハイブリッドだというオリバー君は、タレントのテリー伊藤さんが仕掛け人であったということからも東京スポーツの記事程度であったと思いますが、ココのほうは真面目な研究の結果で、私は映画以上に興味をそそられた記憶があります。
それは、大学の研究室で暮らすココに子猫を与えたところ、とても可愛がっていたそうです。それがある日、子猫が研究室から逃げ出して車にひかれて死んでしまった。それをココに伝えると、彼女は「ココ、悲しい」と表現したそうです。これの信ぴょう性をめぐっては随分議論もあったようです。でも、私は信じています。
さて、写真は映画とは何の脈絡もなく、居酒屋チェーン安兵衛の「さばの塩焼き定食」500円です。私たち中高年の健康を考えて、さばもみそ汁も薄味です。あっ、真ん中に写っているキティちゃんのふりかけは自前なので定食には付いてきません。あはは。

2011年10月13日、木曜日
禁煙補助薬チャンピックス"
完全禁煙してから今日で1年が経過しました。私は自分の意志の弱さを知っているので、最初から禁煙外来を受診したことが継続できている大きな要因であると思っています。でも、タバコに対する欲求が完全に消えたわけではなく、吸いたい衝動にかられることがまだあります。薬物中毒とは恐ろしいもので、中毒の原因物質は体外に排出されても、一度覚えてしまった快感を脳は忘れないのです。
そこで、偉そうなことは言えませんが、禁煙外来による内服するタイプの禁煙補助薬を使用した3ヶ月間の禁煙プログラムを受けることを前提に、それを補完する方法を書いてみます。これから禁煙される方の参考になれば幸いです。
1.禁煙外来を受診する前に。
アレン・カー著「禁煙セラピー」を購入して下さい。でも、すぐ読んではいけません。読むのは禁煙外来を受診した後です。
2.禁煙外来を受診する。
禁煙補助薬チャンピックスのスターターセット2週間分が処方され、3ヶ月間の禁煙プログラムが開始されます。最初の1週間は薬を服用しながらタバコを吸ってもよい期間なので、ガマンしないで吸いたいだけ吸って下さい。同時にここから禁煙セラピーを読み始めます。1週間後の完全禁煙になる日に最後のページを開くように、毎日、少しずつ読み進んで下さい。
3.禁煙開始。
薬の量が増えて完全禁煙になりますから、人生最後の1本を吸い終えたら、タバコ、ライター、灰皿を捨てて下さい。
4.吸いたい気持ちの対処法。
禁煙ブログなどを読みましょう。身体的には薬が効いて、吸いたい欲求はやわらいでいるはずです。それでも辛いのは、メンタルな部分から起こってくる辛さです。そんな時は、自分と同じ辛さを味わった誰かの書いた禁煙体験談を読むことが本当に有効です。禁煙グッズに関しては、ミントタブレット、糖分の入らない炭酸水をおすすめします。何か食べた後には必ず吸いたくなりますから、間食はしないほうがいいです。それから、3ヵ月間の禁煙プログラムが終了する間、お酒の席はできれば控えて下さい。
5.薬の副作用など。
まれにですが、薬の副作用が辛くて禁煙をあきらめる人もいるようです。代表的な副作用である吐き気に関しては、お腹の空いている時に薬を服用することを避けることで、かなり軽減できるという報告もありますが、副作用かなと思う時は遠慮なく医師に相談して下さい。また、たとえ吸ってしまっても、そこで終わりにしないで3ヶ月間のプログラムの間は禁煙外来受診日には必ず受診して下さい。
写真は禁煙補助薬チャンピックスです。私は3ヶ月のプログラムの最後の1週間を、医師と相談して薬の服用を止めて、余った分の薬は禁煙プログラム終了後1年間、自分で吸ってしまう危険があると判断した時に、頓服薬のように使うことにしました。これからも長い禁煙ロードは続きます。あはは。

2011年10月15日、土曜日
民間療法のウソとホントの本"
以前、このコーナーで「代替医療のトリック」という書籍の紹介をしました。この本はランダム化プラセボ対照二重盲検法を用い、現代医学の立場から民間療法を検証した内容でした。今回読んだ、蒲谷茂さんの著書「民間療法のウソとホント」は、有名健康雑誌の編集長であった著者が、民間療法やサプリメント、健康食品のブームができていく舞台裏を赤裸々に語り、読者の健康にかかわる情報であるにもかかわらず、十分な検証をしないまま記事にしてしまう現在の健康ジャーナリズムの在り方を批判し、主だった民間療法や健康食品の効果と安全性を、論文や医学データを元に検証したという内容です。
厚生労働省が2005年度に発表したデータによると、ガンを告知された人のうち44.6パーセントの人が医師の治療とは別に何らかの民間療法を利用しており、金額にすると、ひとり平均、一月当たり約5万7千円になるそうです。私からすると大きな金額です。
健康食品やサプリメントの安全性や有効性に関する調査研究を行っているのは、日本の公的機関では独立行政法人国立健康栄養研究所があります。ここのデータベースには詳細なデータがあり、誰でもアクセスできます。治りたい、健康になりたい、やせたい、美しくなりたい、気持ちは分かります。でも、健康食品やサプリメントを利用しようとする方は、価格に見合った、期待するような効果があるのかどうか、調べてから購入を考えてみるのもいいと思います。

2011年10月16日、日曜日
ウルトラマン"
2011年10月16日分の日記、その1です。
映画「ツレがうつになりまして。」を観てきました。
この映画の原作は漫画家の細川貂々さんが、うつ病を患った夫との日常を描いたコミック作品で、NHKで2009年に3回のシリーズでドラマ化もされ、私も観ていました。
映画もドラマ同様に全体的にコミカルに仕上げられていて、ネガティブなイメージだけが先行してしまいがちな「うつ病にかかった人」を、決して特別ではない存在として描いているところは、とてもよかったと思います。
いい作品には、印象に残るセリフが必ずあるものですが、「いつも、僕のとなりには君がいる」とは、うつ病に苦しむツレさんが奥さんに言ったセリフです。うつ病に限らず病気の人や障がいのある人の辛さは、身体的な痛みや機能障害と同時に、自分は何もできない、自分がいると迷惑になるといった、こころの痛みもともないます。この薬の効かない痛みを小さくするにはどうしたらいいか。口で言うほど簡単でないことは分かっているけれど、映画の中の二人のような「ホワッとした関係」があったなら、痛みは小さくなるのかなぁ、などと、映画館を出て、すっかり暗くなった秋の街にひとり出て思いました。
うつ病について知りたい方はNHK教育テレビの番組「きょうの健康」をご覧になって下さい。放送時間はいづれの日も午後8時30分からです。放送予定は以下の通りです。
10月24日、つらい症状とサイン
10月25日、治療はあせらず確実に
10月26日、これもうつ病?
10月27日、双極性障害の可能性
写真は、長岡市東坂之上にある喫茶モカさんの店内の様子です。日記その2に続きます。

2011年10月16日、日曜日
喫茶モカのチョコレートパフェ"
2011年10月16日分の日記、その2です。
写真は長岡市東坂之上にある喫茶モカさんのチョコレートパフェです。ここのパフェの特徴は、グラスの底にまでアイスがつまっていることです。アイスはバニラとチョコの2種類で、生クリームもたっぷり、チョコレートソースもたっぷり、お値段は690円とちょっと高めですが、バナナもグレープフルーツも新鮮でデラックスな味は、星三つです!
今、これを書いていてデラックスなんて、なんて昭和な表現なんだと自分でも思ってしまいますが、喫茶モカさんの店内に入ると、ウルトラマンとペコちゃん。ゴジラにタイガーマスク。ほかにもたくさんの昭和のヒーローたちが迎えてくれます。店内にかかっている曲も、椅子やテーブルの感じも、そこはまさに昭和ワールドでした。

2011年10月29日、土曜日
スライド"
ながおか市民センターにおいて開催された市民公開講座に参加しました。今回は長岡市医師会の高木正人先生を講師に迎え「糖尿病と生活習慣」というテーマで、生活習慣病の解説から、糖尿病の病理と合併症、最新の治療という流れで約1時間、ユーモアを交えた、とても分かりやすいお話をしていただきました。
糖尿病は自覚症状がないまま病状が進行する病気です。病状が悪化すると目が見えなくなったり、血液透析をしなければならなくなったり、足の指などが痛みもないまま腐ってしまうという、重い合併症を引き起こします。
目の合併症である糖尿病性網膜症に関しては眼科の治療技術の進歩で失明に至る人は少なくなったといわれますが、それでも日本人が失明する原因の第2位であり(第1位は緑内障)年間約3000人が失明しているそうです。また、糖尿病性腎症による血液透析を受けている患者さんは年間30万人にのぼり、1年間にかかる医療費は一人当たり約500万円、全体で1兆5千億円にのぼるそうです。東日本大震災の復興費と比べるといかに大きい数字か分かりますね。
日本人は欧米人に比べ糖尿病にかかりやすいといわれており、予防するには食事と運動が大切です。子供がファーストフードの味を一度美味しいと認識してしまうと、それは大人になってからもずっと続いて、高脂肪、高カロリーの食事に偏ってしまう傾向があり、これが糖尿病にかかる人を増やしている原因の一つだと高木先生は指摘されました。
11月14日、月曜日は世界糖尿病デーで、新潟でも11月6日、日曜日に、朱鷺メッセで「第30回関東甲信越糖尿病セミナー」が開催されます。

2011年10月31日、月曜日
長岡市選挙投票所入場券"
写真は10月30日告示、11月6日投票の長岡市長選挙の長岡市選挙投票所入場券です。現職以外の立候補者がなく、無投票で森民夫さんの4選が決まりました。当然このことは、今朝の新潟日報1面で伝えられましたが、選挙の話題で新潟県民の関心を集めたのは29面の社会面「過疎に悩む故郷の力に」という大見出しで掲載された津南町の町議選挙の結果ではないでしょうか。この選挙に出馬した津南町出身で、現在、東京大学大学院に在学中の桑原悠さん25才が、2位に倍以上の大差をつけ、過去最高の1144票を獲得してトップ当選したことを伝える記事です。
桑原さんのご専門は福祉政策であるので、おそらくマスターもこれで取得されるのだと思いますが、ぜひ、論文など日本語で公開してほしいと思います。私は立岩真也、石川准といった人たちの考え方に共鳴するものですが、桑原さんがどういった考え方をする方なのか、とても興味があるし、若い力を応援していきたいと思います。

2011年11月2日、水曜日
日本の医療を守るための国民運動の趣意書"
写真は日本医師会より届いた「日本の医療を守るための国民運動の趣意書」です。同時に受診時定額負担に反対する署名運動のお願いでもあります。
高度医療の普及により今まで治療が難しかった病気も治療が可能になってきました。しかし、高度医療は高額であるため、患者さんの経済的負担の軽減が急務になっています。そこで政府は、全ての患者さんに対して、医療機関を受診する度に保険診療の一部負担金とは別に、定額で高度医療に充当する負担金を徴収しようという案を出しています。今のところ徴収金額は100円という設定ですが、いずれ500円、1000円になっていくことが予測され、所得により受けられる医療に差がつく恐れがあります。日本は国民皆保険制度があるのですから、高度医療においても保険料や税金が使われるべきです。
この運動は日本医師会をはじめ、理学療法士協会、視能訓練士協会など、多くの医療系団体が加盟する国民医療推進協議会により運営されています。

2011年11月3日、木曜日Part1
サイトワールド2011セミナーの様子"
11月3日分の日記その1です。
すみだ産業会館サンライズホールにおいて開催された、石川准さんのセミナーを受講しました。このセミナーは世界でも例をみない、視覚障がい者向け総合イベント「サイトワールド2011」の企画として開催されたものです。
サイトワールド2011は、優れた先端技術の駆使による視覚障がい者の情報取得を支援する機器の進化と普及を、多くの人が実感するイベントであり、かつ、誰もが使え、利用できることを目指すユニバーサルデザインの進化、普及を実感するイベントでもあります。最大の特徴は、メーカーや研究機関など多くの出展があるのは当然として、フォーラムや学会、セミナーなどの企画も充実しており、来場者は実際に触れて確認し、納得して満足できるイベントであるということです。
石川さんは現在、静岡県立大学国際関係学部教授であり、同時に、数々の視覚障がい者を支援するコンピューターソフトウェアを開発しているプログラマーでもあります。また、2003年に設立された障害学会の初代会長でもあり、全盲にして全知の社会学者です。
今回のセミナーは「人はなぜ自分の位置を知りたいのか」というタイトルで、現在、石川さんが関わっている視覚障がい者の屋外歩行を支援する二つの製品の紹介と開発経緯を織り交ぜながら、なぜ人は位置情報に強い関心を持つのか、語っていただきました。会場は立ち見が出るほど盛況で、聴講者は若い人が中心でした。120分というセミナーでしたが、冒頭に石川さんからことわりがあった通り、時間のほとんどを製品の説明で使ってしまい、社会学的、障害学的な考察に至るには時間が足りませんでした。それでも、製品の実演をしながら、冷静に熱く語る石川さんを間近で感じられてよかったです。私は彼と同世代であり、また、思想的にも共鳴できるものがあり、著書でしか知らなかった人の声を実際に聞けるというのは、うれしいものです。
日記その2に続きます。

2011年11月3日、木曜日Part2
携帯型音声GPS地図端末トレッカーブリーズ"
11月3日分の日記その2です。
ふたつの視覚障がい者の屋外歩行を支援する製品は、いづれもGPSを利用したもので、ひとつめの製品、携帯型音声GPS地図端末トレッカーブリーズはタテ15センチ、ヨコ5センチ、厚み3センチくらいの大きさで、簡単なキー操作と音声ガイドで現在地や周辺施設の探索、目的地までのルートを案内することができます。トレッカーブリーズはカナダのヒューマンウェア社が開発したものを、日本の有限会社エクストラと石川さんが、日本国内で利用できるように日本語による音声ガイドや対応地図データの取得など、ローカライズを実現しました。
基本的な機能としては、
1.現在地点の住所を音声で知らせます。
2.一度通ったルートを記録することができます。次回以降は、そのルートを音声で案内します。
3.半径8キロ以内、最大50件の交通機関、金融機関、飲食店などの情報を探索することができます。さらに、そこから選択された施設までのルートを音声で案内します。
4.通行の目印になるものを、GPSで取得した位置情報として自分の声で名前をつけてランドマーク登録をしておくことができます。
セミナーでは実際に石川さんがトレッカーブリーズを使い、郊外と市街地、それぞれ目的地まで歩いたビデオが流されました。市街地では高いビルの影響でGPSの測位がうまくいかないトラブルがあること、郊外では測位の誤差は数メートルであるけれども、名前のない通りが多く、分かりにくい音声ガイドになってしまう問題点があると石川さんは指摘されました。
私は講演を聴いていて、パソコンに不慣れであっても、白杖歩行、盲導犬歩行のスキルがあれば、トレッカーブリーズは役に立つと思いました。関係者にオフレコということで聞いたところ、発売は2011年末を予定しており、価格は15万円くらいの設定であるとのことでした。
日記その3に続きます。

2011年11月3日、木曜日Part3
視覚障害者用携帯情報端末ブレイルセンスプラス"
11月3日分の日記その3です。
ふたつめの製品「GPSナビ」は、視覚障がい者用の多機能携帯情報端末「ブレイルセンス、ブレイスセンスプラス、ボイスセンス」専用のアプリケーションソフトウェアです。写真はブレイスセンスプラスです。
基本的な機能としては、GPS測位情報をもとに、現在地点の住所はもちろん、周辺の施設情報の確認が音声でできるのはトレッカーブリーズと同じですが、実際に現地に行かなくとも、地図データから道路の情報やルート探索を実行することができます。つまり、事前に訪問予定先の下調べや、目的地までの距離を確認することができるということです。セミナーでは、すみだ産業会館から錦糸町駅北口までのルートを実際に探索してみました。
この仮想ナビゲーション機能が「GPSナビ」の最大の特徴で、私は、この機能だけをパソコン用ソフトウェアに移植してもいいのではないかと思いました。
セミナーの冒頭、石川さんは「私は地下鉄の駅の順番を正確に覚えていますが、私がほしい位置情報とは、そういったことではなく、街を上空から見た感覚であり、平地に立った感覚です」と述べられました。視覚障がい者の誘導歩行では誘導者(盲導犬になぞらえて盲導人という呼称が私は好きです)は周囲の状況を的確に伝えることも必要だと教わります。その理由は、視覚障がい者が頭の中に地図を作っていく作業に役立つからですが、頭の中に地図を作るとは、感覚を作ることであり、GPSによる視覚障がい者の屋外歩行を支援する技術も、これに共通するものがあるのではないかと思いました。80メートル先に喫茶店があることをGPSで知った視覚障がい者が、そこのマスターや常連客と友達になるかも知れないなんて、素敵なことですよね。
日記その4に続きます。

2011年11月3日、木曜日Part4
新潟大学工学部ブースの様子"
11月3日分の日記その4です。
サイトワールド2011には50の企業や研究機関が出展し、最先端の製品や技術、研究成果などを見ることができました。ここからは出展企業、研究機関のいくつかを紹介していきます。
写真は新潟大学工学部のブースです。新潟大学工学部は国立大学では珍しい福祉人間工学科を置き、新潟市障がい者ITサポートセンターのバックヤード的な役割も担っており、毎年、春と秋には視覚障がい者向けの公開講座で、視覚障がい者のためのパソコン講習もやっています。今回の出展では、触ってわかる地図の自動作成システム、 グーグルマップのハイコントラスト化、携帯電話による周囲や経路の案内システムなどの研究成果を発表していました。なかでも今回、私が注目したのはグーグルマップのハイコントラスト化です。 ロービジョン者の最も苦手なことのひとつに、その場での対応があります。見えにくいことが原因で、その場での対応が難しい、または時間がかかることが周囲に理解されないで、劣等感や恥ずかしさ、みじめさに悩まされます。でも、少しでも事前に分かっている情報があれば、 予行演習ができれば、わずかでも気持ちに余裕ができ、安心できます。そういう意味で拡大表示が容易にできるネット上の地図はロービジョン者にとって、今や無くてはならないものです。そういう意味で今回のグーグルマップの ハイコントラスト化はとても意味のあることです。若い研究者の努力に感謝します。
以下に実際にグーグルマップのハイコントラスト表示をご覧いただけるリンクを記しますが、対応するブラウザはFirefoxのみとなります。 カスタマイズマップへのリンク
日記その5に続きます。

2011年11月3日、木曜日Part5
携帯型拡大読書器アクティブビュー"
11月3日分の日記その5です。
視覚障がい者の生活を支援する製品の多くは、弱小メーカーが製造、販売していることが多いですが、大手家電メーカーもユニバーサルデザインを意識した商品を、少しずつではあるけれども販売するようになってきているようです。この中には視覚障害に対する配慮として音声ガイドや点字表記、操作する部分の色のコントラストなどに気をくばったものもあり、晴眼者と共用で使えます。
サイトワールド2011ではパナソニック株式会社と三菱電機株式会社が出展していました。パナソニックは音声ガイド付きのテレビ、ブルーレイディスクレコーダー、IHクッキングヒーター、デジタルコードレス電話、そして大手メーカーとしては珍しい、視覚障がい者専用の携帯型拡大読書器を展示していました。
写真はパナソニックのブースで人気だった携帯型拡大読書器アクティブビューです。幅16センチ、高さ8センチ、奥行き3.4センチ、重さ290グラムのボディに4.3インチワイド液晶、700万画素のカメラを取り付けた製品です。私は、この製品の最大の特徴は”パナソニックのロゴが入っている”ということではないかと思います。これを使う人にとって日常である障害を、これを使う人の周りにいる人にとっても日常にする効果を、パナソニックというネームバリューがもたらしてはくれないでしょうか。
日記その6に続きます。

2011年11月3日、木曜日Part6
高齢者、視覚障がい者用LED付き音響装置"
11月3日分の日記その6です。
現在、歩行者用信号機は横断歩道を渡った側にあり、遠くてロービジョン者や高齢者には見えにくいという指摘があります。また、かなり普及が進んでいる音響信号機も、近隣への騒音に対する配慮から多くの交差点で夜間や早朝は誘導音が止められていることも少なくありません。
写真の「高齢者、視覚障がい者用LED付き音響装置」は、横断歩道の手前に設置することで、安全に安心して横断歩道を渡れる歩行者信号機を補助する装置として開発されました。高さ1メートルほどでLED表示が子供の目の高さくらになります。写真は歩道側に立った時に見える面で、LEDの下に押しボタンスイッチが付いています。車道側にはLED表示のほかに音響信号音のスピーカーがついています。
この装置のコンセプトはすばらしいと思いますが、私の住む長岡では冬の積雪を考えると、これを設置するのは難しいと思いました。
このほかに移動に関するバリアフリー製品としては、LEDによる自発光式点字ブロックも出展されていました。実際に設置された市街地の写真が展示されていましたが、滑走路の誘導灯のようでキレイでした。
日記その7に続きます。

2011年11月3日、木曜日Part7
ヘルプミーの小旗の会のブースの様子"
11月3日分の日記その7です。
写真はヘルプミーの小旗の会のブースの様子です。ヒマワリのように明るく黄色い生地に、赤く大きな文字でHelp!と書かれた小旗や黄色いきんちゃく袋が来場者の目を引いていました。
ヘルプミーの小旗の会とは、高齢者や障害のある人、赤ちゃんを連れた人などが外出中に、ちょっと手を貸してもらいたい時に、声を出してサポートを求めるのは勇気がいることです。そんな時に、この黄色い小旗を広げてサポートを求めてみましょう。という運動をしているボランティア団体です。
社会的に弱者と呼ばれ「ふつうではないとされる人」を高度なテクノロジーで、「ふつうな人」に近づける努力を支援技術と呼ぶなら、この小さな黄色い小旗は支援技術ではないかも知れません。
例えば、街角で視覚障がい者が、この小旗を使いサポートを求めるということは、自身は変化せずに、社会に対して変化を求めるということであり、支援技術の考え方とは正反対に位置する考え方です。
高度な支援技術で「ふつう」に近づくこと、他人の手を借りなくても、 何でもできるようになることはいいことなのかも知れません。けれど、それだけでは幸せになれないのではないか。そう思ういます。 ヘルプミーの小旗の会の活動を応援しています。
ヘルプミーの小旗の会ホームページへのリンク

2011年11月25日、金曜日
ネコのカイ君"
長岡駅を利用するのは休日が多いのですが、長岡駅大手口の、交番より少し南側の壁際に、電動車椅子に座り、たたずむ男性をお見かけすることがよくあります。誰かを待っておられるのか、もしかしたら人間観察が趣味なのかなどと勝手に想像して、話しかける勇気もなく、ただ通り過ぎるだけで数年が経ちました。
移動手段が車椅子の人。目の見えない人、見えにくい人。聞こえない人、聞こえにくい人など、カラダのつくりが少しちがうというだけで、社会の見えるバリア、見えないこころのバリアに傷つく人の思いは、日々の生活を送る私の意識にのぼってくることは稀です。それは私が車椅子を利用する当事者ではないからです。けれど、長岡駅で電動車椅子の彼を見かける度に、移動手段が車椅子の人のことを想像します。
先日、新潟駅のバスターミナルで白杖を持った男性が「ここは4番線ですか?村松行きのバスに乗りたいんです」と、周囲の人にに向かって、ハッキリと落ち着いた声で話しかけられました。その瞬間、白杖を持つ彼の周囲にいたすべての人が、目が見えない人のことを想像する、または想像するきっかけができたと思います。
哲学者ディルタイは言います。どんな精神的な事情についても私たちの知識は体験からのみ得られる。私たちが体験したことのない感情を他人のうちに再発見することはできない。だからこそ自己移入が必要なのだと。
自己移入とは幸せになるひとつの大切な方法であると思います。普段の生活の場で、対象となる個人の物語に触れることから始まり、その小さな出会いが沢山集まって、バリアフリーが生まれ、世界を変えることができるなら素敵ですよね。

2011年11月27日、日曜日Part2
村上牛のステーキどんぶり"
新潟市の朱鷺メッセ、ウェーブマーケットで開催された「新潟うまさぎっしり博、全国丼サミット新潟」に行ってきました。写真は村上牛のステーキ丼、900円です。すごく混んでいるのかと思いきや、思ったほどではなく、並ばなければ食べられないコーナーは数えるほどでした。

2011年11月27日、日曜日Part1
スライド"
日本整形外科学会で現在策定中のサルコペニアの診断基準と、ロコモティブシンドロームの予防法についての勉強会に参加しました。講師は新潟リハビリテーション病院院長で整形外科医の山本智章先生でした。
メタボリックシンドロームという言葉は市民の間にかなり認知されてきた感がありますが、ロコモティブシンドロームという言葉は聞いたことがないという市民も多いと思います。
おおざっぱに言うとロコモティブシンドロームとは、加齢による運動器の障害のため、移動能力の低下をきたして、要介護となる危険の高い状態をいいます。サルコペニアとはロコモティブシンドロームに至る一つの要因で、加齢に伴って筋力が著しく低下していく事をいい、高齢者の転倒、骨折、ひいては寝たきりなどの一番の原因になっていると考えられています。
新潟県の統計では要介護の期間が男性で6.3年、女性で7.9年です。平均寿命が延び、これまでよりずっと長期にわたり運動器を使い続けなければならなくなり、これまでの運動器機能障害対策の単なる延長線上では解決がつかない時代になったのです。
私は、これまで同様、まず「正しい知識を患者さんに、地域の人に伝えること」を実践していきます。知ることは予防の第一歩です。

2011年12月3日、土曜日
肩関節MRI"
今日の研修会のテーマは肩関節で、講師は先日、私が鎖骨外端骨折の手術を依頼した総合病院の先生でした。前方脱臼にともなうインピンジメントシンドロームとバンカート損傷(関節唇損傷)の診断は勉強になりました。画像診断の進歩で患者さんの身体的負担は少なく、的確な診断ができるようになりました。
肩といえば俗に五十肩と呼ばれる症状で悩んでおられる方も多いと思いますが、専門的には痛みの原因は多様です。痛みはじめの早い時期に治療されることをおすすめします。

2011年12月10日、土曜日
ニュー楽々雪降ろし"
写真はネット通販で購入した「ニュー楽々雪降ろし」です。アルミのパイプを組み合わせた先端に幅45センチのアルミの熊手がついており、これで積もった雪が雪庇になる前に落として、雪下ろしの恐怖感を少しでも軽くしようというわけです。アルミパイプをすべてつなげると約6メートルになり、2階の屋根にも届きます。ただ、長さがあるため、たわみがでて熊手の動きをコントロールするのがむずかしいです。
屋根にわずかに残った昨日の雪で試してみた感触では、少し積もったらすぐに使うようにすれば、それなりに使えると思いました。どうしても夜間に雪下ろしをしなければならないこともあり、少しでも滑落の危険を減らす効果を期待しています。私が骨折して入院しているのではシャレにならないですからね(笑)もっともアスファルトの地面に頭から落ちればオダブツか。長岡の冬はハードボイルドだなぁ。あはは。

2011年12月30日、金曜日
生物学的文明論の本"
本川達雄さんの著書「生物学的文明論」を読みました。技術と便利さを追求する数学的、物理学的発想ではなく、生物学的発想で現代を見つめ直して、私たちの進むべき未来について、もう一度よく考えてみようという内容です。
本書を読み進むうち、哲学者の栗原隆さんが現代人文学の定義とする、身体を軸に、交わりを織り成しながら、物語を紡いで生きる人間の営みを解明するということと、生物学の立場から論じた文明論は、とてもよく似ていることに気付きました。
豊かな海をはぐくむサンゴ礁をはじめ、すべての生き物には大切な意味があり、それぞれに独特な形、サイズとエネルギーと時間の相関関係が存在しているが、私たち人間だけは生物学的寿命をはるかに超えて生存し、生態系に深刻な影響を与えていると本川さんは指摘します。
私たちは今年3月11日に発生した東日本大震災と、それにともなう福島第一原発のメルトダウン事故によって起こった、苦しみの連鎖の中にいます。科学者は、ここから開放されるには長い時間が必要だといいます。まさに生態系に対する深刻な影響です。
私たちは自分にとっての「ふつう」だけを考えて、ほかの人や生き物にとっての「ふつう」を無視して生きてきた結果、こういう事態をまねいて、自分の首を絞める結果になってしまったのではないでしょうか。今、必要なことは、相手を想像すること、観察することではないでしょうか。相手にとっての「ふつう」も理解し、幸せになるために。

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