2012年1月、2月、3月分の日記です。
2012年1月2日、月曜日
長岡駅ペデストリアンデッキ"
新年明けましておめでとうございます。クリスマス寒波が去って、長岡は穏やかなお正月になりました。元旦は宝徳稲荷大社に初詣に行き、今日はTジョイ長岡に映画「連合艦隊司令長官 山本五十六」を観に行って来ました。
東日本大震災にともなう福島第一原発のメルトダウン事故について、識者と被災者も交えて討論するテレビ番組が年末から2本ありました。3月11日に発生した多くの国民の命が危険にさらされる危機的状況に、エリートと呼ばれる、この国のリーダーたちは、どうやって私たち国民と、その財産を守ろうとしたのか、メディアはどう報道したのか、興味深い討論内容でした。
そしてこの時期に公開を迎えた「連合艦隊司令長官 山本五十六」この作品をご覧になった多くの人は、リーダーのあるべき姿や、現代において、報道における中立性と正確性は守られているのか、といった思いを抱かれたのではないでしょうか。同時に私たち国民も、よく見て、よく聞いて、よく感じて、正しい選択をすることを心がけるべきであるという山本さんのメッセージをしっかり受け止めたいと思いました。
写真は長岡駅と大手通りをつなぐ新たな歩道として造られた、ペデストリアンデッキです。まぁ、簡単に言ってしまえば連絡橋ですね。長岡駅から新市役所庁舎まで、ここを通って行けるようになります。

2012年1月8日、日曜日
カンジキ"
まだ、それほど積もってはいないものの、雪下ろしをやりました。午前中に診療室を、午後から自宅を片付けました。近頃は雪下ろしをする際にカンジキをはかないで作業する方も多いようですが、安全のためにはいたほうがいいと思います。自治体では命綱をつけての作業をすすめていますが、そこまではなかなかできないのが現状です。それでもカンジキをはけば、足元が安定して滑落のリスクを減らすことができます。2,500円で命が守れるなら安いものです。 近所の老翁が私の作業結果を見て、「屋根に馬でもあげたのか」などと、からかいますが、怖くて軒先に立てない私の雪下ろしは85才の青年から見ると”半人前”ということなのでしょう(笑)

2012年1月15日、日曜日
雪下ろし作業の途中"
先週にひき続き今週も雪下ろしをやりました。疲れました。腱鞘炎になったみたいで、右手第4指(薬指)に弾発指症状があります。触診した感じでは、屈筋腱の腱鞘はまだそれほど肥厚していないようなので、安静と理学療法だけでよくなると思います。雪があまり降らないといいのですが。

2012年1月20日、金曜日Part1
生命倫理講義の様子"
毎年この時期、知己の医師に依頼されて、新潟大学医学部4年生の生命倫理の講義に参加しています。講義にあたって、 学生には講師が設定した、いくつかのテーマからひとつを選んでレポートを書くという課題が与えられており、提出していただいたレポートを私も拝読させていただいて講義に望んでいます。
今回、「医者の仕事とは?」というテーマで書かれたレポートに、医者の仕事は患者にいい死に方をしてもらうことであると書いた学生さんがいました。私はこの考え方にとても共感できます。生老病死が人のさけられない運命であることは、この先も変わることはないでしょう。そこで医療の役割とは何なのか、何を目指せばいいのか、お医者さんだけでなく、誰もが、それぞれの立ち位置で見える景色を持ち寄って考えることが大切だと思います。

2012年1月20日、金曜日Part2
フランス料理キャトルバンの小海老のカレー"
新潟市万代の万代シルバーホテルの裏手にフランス料理専門店キャトル・ヴァンはあります。フレンチというと、なんだかシキイが高い感じがしますが、ここは気楽に楽しめるリーズナブルなお店です。結婚式の二次会とか、会議の打ち上げなど、比較的少人数のパーティーにも対応してくださるようです。写真はランチメニューの小海老のカレーです。プリプリの小海老がたくさん入った欧風カレーです。とてもコクがあって美味しかったです。サラダとコーヒーがついて1000円でした。

2012年1月21日、土曜日
患者さんからの手紙"
昨日は私が大学に出張で診療室は休診でしたが、その時にたまたま来院された新患の患者さんが、今日また来られました。写真は、その患者さんが私に手渡された手紙です。
患者さんが私に望むことは、まず、自分の身体の痛みを、こころの不安をわかってもらいたいという事だと、この手紙を拝見して反省しました。日常に埋もれてしまい、治療の第一歩は病態生理ではなく、ここから始まることを忘れてしまいがちになる私に、大切なことを思い出させていただきました。

2012年1月31日、火曜日
スノーキャンドル"
またまた寒波がやって来ています。今日の時点で長岡市役所越路支所で158センチの積雪を観測しています。 私も29日の日曜日に、また雪下ろしをやり、診療室から下ろした雪と、母屋から下ろした雪で、リビングの窓と診療室のロッカーからは 雪の山しか見えません。2月1日、2日、3日と寒波は居座るようなので、まだ積もるでしょう。
駐車場の雪の壁にスノーキャンドルを灯してみました。ローソクの光は暖かく感じます。春はもうすぐです。

2012年2月10日、金曜日
診断書"
平成24年2月10日、午前9時現在の長岡市役所越路支所の積雪は、とうとう200センチに達し、 昨年をはるかに上回る積雪量となりました。高齢者世帯や身体障害者世帯の人も、生活していくためには、危険かつ重労働である雪下ろし作業を やらなければならない状況は報道されている通りで、私の住むこの地域も例外ではありません。
写真の診断書は屋根にかけたハシゴから足を滑らせ転落し、肋骨を骨折した80才の男性の患者さんのものです。

2012年2月21日、火曜日
すべて真夜中の恋人たちの本"
川上三映子さんの長編小説「すべて真夜中の恋人たち」を読みました。
34才の冬子さんがある日、58才の三束(みつつか)さんと知り合い、「光」の話をとおして、少しずつ少しずつ距離を縮めていく物語です。 腰帯には「誰の人生にも訪れる、かけがえのない光」と書かれています。今の世の中、「幸せになりたい」という人は多いけれど、それは結局 「他人から幸せそうだと思われたい」ということではないでしょうか?本来、自分にとっての幸せは、自分にしかわからないし、 自分が幸せと感じているかどうかは、自分が決めることだと、この物語の冬子さんを通して思いました。

2012年2月25日、土曜日
見えないものと見えるものの本"
石川准さんの著書「見えないものと見えるもの・社交とアシストの障害学」を読みました。この本は主に医学書の出版を手がける医学書院から、ケアをひらくというシリーズの一冊として刊行され、科学性、専門性、主体性といった言葉だけでは語りきれない地点からケアの世界を探っていくというコンセプトで編集されたものです。でも、文章そのものはエッセイに近く、一般の方にも読みやすく、親しみやすい内容であると思うので今回とりあげてみました。
著者の石川さんは全盲にして全知の社会学者であると同時に視覚障害者向けコンピュータソフトウェアの開発者でもあります。本書では、人と人との新しい関係性、新しい価値観の発見をめざす障害学の立ち位置から、私たちが普段見ているもの、見えているものも角度や距離を変えてみると違うものが見えてくる。あるいは実は見えていないものがある。逆に可能性としては見えてもおかしくないのに、現状ではあまり見えていないものがあるということを論じています。
私は「感情労働」という概念を、この本ではじめて知りました。石川さんは看護師やキャビンアテンダントの仕事を例に解説していますが、感情は人間という生き物に生まれつき組み込まれたセンサーであるけれど、それを自由にオンオフすることはできず、適切に感じるように自分を制御する必要が出てくる。これを感情管理といい、職務として求められる感情管理を「感情労働」というのだそうです。今、労働というものを考える時に、「肉体を酷使する労働」「頭脳を酷使する労働」から、「気持ちを酷使する労働」に変化しているのではないかという分析は面白かったです。

2012年2月26日、日曜日
免荷歩行訓練器"
理学療法従事者のための介助勉強会に参加しました。私たちが患者さんの介助を行う時に意識することは、それが治療の延長線上にあるということです。患者さんの残存能力を生かしつつ、できる限り効率のいい動きへと導いていくことが望ましいと考えています。
今回の勉強会では移乗移動の基礎技術の確認に始まり、端座位から立位、立位からの歩行訓練をシームレスに行うことのできる最新のリハビリ機器を使った訓練の実際も体験し、基礎から応用まで盛りだくさんの講義内容でした。移動移乗介助は、介助者が腰痛を引き起こす大きな要因であるといわれています。どの患者さんにも全介助の方法を使うのではなく、残存能力レベルに合わせた介助方法を選択することで、介助者の負担も軽減することが大切であると思います。
写真は手前が免荷歩行訓練器、左奥に見えているのが介助リフトです。介助リフトは介護保険の給付対象になっており、スリングは実費で買い取りになるものの、器械本体は介護保険一部負担金が月額1800円でレンタルが可能です。

2012年3月10日、土曜日
ソニーウォークマン"
写真は、昨年サイトワールドというイベントに行った帰りに新幹線を待つ間、ふらっと入った有楽町のビッグカメラで衝動買いしてしまったSONYのウォークマンです。
音楽を聴けるのはもちろんですが、ポッドキャストに対応しているので、好きな番組をダウンロードして出先で聴けるのが気に入っています。今は、大竹まことゴールデンラジオ、爆笑問題カーボーイ、伊集院光の深夜の馬鹿力という、いづれも文化放送のラジオ番組を楽しんでいます。爆笑問題と伊集院さんの番組はリスナーからのメールや葉書をネタに奇想天外な発想で笑わせてくれます。大竹さんの番組は面白トークだけでなく、社会、時事ネタをテレビとは違った切り口で、文化放送の論説委員と繰り広げる真面目トークも面白いです。

2012年3月14日、水曜日
思いわずらうことなく愉しく生きよの本の表紙"
江國香織さんの長編小説「思いわずらうことなく愉しく生きよ」を読みました。昨年の秋に「カレ、夫、男友達」というタイトルでNHKで放映されたテレビドラマの原作本です。女流作家は結構読んでいますが、江國さんの作品は初めて読みました。
共依存ともいえる関係性で夫からのDVを受け続ける、専業主婦の長女、麻子。結婚というシステムは無意味だと、大好きな同棲相手からのプロポーズを断り続ける外資系キャリアウーマンの次女、治子。その治子から天使と形容され、男女間にあるのは友情とセックスだけという自動車教習所に勤務する三女、育子。それぞれに世界観の違う三姉妹が織り成す恋愛ドラマにあっという間に引き込まれました。
思いわずらうことなく、自分の人生をのびやかに生きようとする彼女たちの姿に強さを感じました。それを際立たせたのが彼女たちのパートナーで、彼らが無意識に持つ幼児性や、決められた枠の中でしか考えることができない姿は、弱さを通り越して惨めにさえ思えました。

2012年3月17日、土曜日
講演会の様子"
済生会新潟第二病院A棟10階会議室において開催された「学問のすすめ」第6回講演会に出席しました。この会は、これからの医療を背負う人たちに、夢を持って仕事、学問をしてもらうことを目的に2010年より開催されています。
第6回を数える今回は、東京女子医科大学講師の廣瀬晶先生による「糖尿病と全身状態、たとえば、どのくらいのHbA1cが何年くらい続けば網膜症は発症するのか?」と海老名総合病院糖尿病センター長の大森安恵先生による「私の歩いた一筋の道、糖尿病と妊娠の分野を開拓しながら学んだこと」という二つの演題でした。
健康診断の結果にHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という項目があることをご存知の方も多いと思いますが、これは糖尿病の診断や血糖のコントロール状態の把握に使われる指標で、血液検査で得られます。この数値の表記方法が2012年4月から変更になり、日本独自の「JDS」という値から国際標準の「NGSP」が正式な値となります。
東京女子医科大学の廣瀬先生は、このHbA1cがとの位の値で何年くらい続くと網膜症になるのかという研究から、糖尿病予測指数40(負荷指数)を導き出されました。これにより網膜症発症前の患者さんが、あとどのくらいで発症するか予測できるようになると同時に、網膜症の有無から指数を逆に推定できるといいます。
糖尿病の初期段階での血糖管理が、網膜症をはじめとする合併症の発症リスクと大きな関係があるという研究成果に、初期段階では自覚症状があまりない糖尿病の怖さを改めて感じました。大森先生のご講演でも、妊娠初期に血糖値が高い状態が続くと胎児が奇形を発症するリスクが高いという解説があり、気付かないうちに進行してしまう糖尿病について、市民はもっと知る必要があると思いました。

2012年3月23日、金曜日
内部被爆の真実の本"
東日本大震災による福島第一原発のメルトダウン事故以降、原子力に関する基礎知識をまとめた、ニュートンやサイエンスなどのジャーナルや書籍をボチボチ読んでいます。テレビやラジオ、ネット、新聞、週刊誌などで報道される原発事故関連の報道に登場する科学者の言葉を聞くたび、放射線の安全基準をどう考えたらいいのか、ますます分からなくなるからです。
今回読んだ、「内部被爆の真実」の著者、児玉龍彦さんは放射性同位元素を使ったがん研究がご専門の内科のお医者さんで、この本には2011年7月27日、水曜日、衆議院厚生労働委員会の参考人説明で児玉さんが述べられた「放射線の健康への影響」に関する説明が、そのまま掲載されています。(この時の映像は現在もYouTubeで全編見る事ができます)
セシウム137の長期に及ぶ底線量被爆の人体に対する影響について、医学は現時点では明確な答えを持っていない。しかし、過去の少ないデータから予測して、今、何をなすべきなのかを提言することはできるというのが児玉さんの考えです。専門家として分からないことを分からないと言える人は、信頼にたると思います。

2012年3月26日、月曜日
がん、生と死の謎に挑むの本"
立花隆さんの著書「立花隆 がん 生と死の謎に挑む」を読みました。
この本は、2009年11月23日にNHKで放送されたNHKスペシャル「立花隆 思索ドキュメント がん 生と死の謎に挑む」と、同年12月27日から29日の三日間にわたりNHKBS1で放送された「人類はがんを克服できるのか第1回”がん戦争”100年の苦闘」「第2回、生命の進化が、がんを生んだ」「第3回、生と死を越えて」という4本のドキュメンタリー番組を更に深く掘り下げ、まとめた内容となっています。しがって本書は、これらの番組を視聴した読者を想定していることから、この本にはNHKスペシャル「立花隆 思索ドキュメント がん 生と死の謎に挑む」を収録したDVDが付いています。BS1で放送された3回シリーズ「人類はがんを克服できるのか」のほうは現在NHKのライブラリに公開されておらず、残念ながら視聴できません。
これまでの「がん」に関するドキュメントは、客観的現実をありのままに伝えるよりも、患者の耳に入りやすいように加工した甘い情報を伝えていたのではないでしょうか。それは、客観的に希望が持てない現実を前にしても、あたかも希望がまだまだ沢山あるかのような表現が多かったのではないかということです。このドキュメントでは、がんと真正面から向き合い、きびしい現実をありのままに伝えるという姿勢がつらぬかれています。
第一章は、日本国内はもとより、がん研究の最先端で活躍する世界中の研究者に対するインタビューから、がんの本質に迫るとともに、抗がん剤の現実、緩和ケアの現在、代替療法、がん告知の問題などを取り上げています。
第二章は、立花さんが月刊「文藝春秋」に2008年4月号から7月号にかけて連載した、「僕はがんを手術した」がそのまま掲載されています。これは2007年12月に「ぼうこうがん」を発症した立花さんの闘病記です。実はこの時すでにNHKのカメラがまわっており、前出のドキュメント番組4本につながっていくという経過になっています。
がんとは「細胞」と「遺伝子」の病気であるということまでは分かってきています。しかし、根治療法を確立するには、まだまだ長い時間がかかりそうです。けれど、がんでなくとも人はいずれ必ず死にます。番組の中で、多数のがん患者の看取りをしてきた徳永医師が「人は最後まで笑っていられるものです」と語ったのが印象的でした。
いたずらに怖がることなく、がんという病気を理解するために、おすすめの一冊です。

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