2016年10月、11月、12月分の日記です。
2016年10月7日 金曜日
QJKJQ
佐藤究さんの小説「QJKJQ」を読みました。
ジュンク堂で松岡正剛さんの著書「フラジャイル 弱さからの出発」を探してもらうも置いてなく、道すがら聞いていた文化放送のポッドキャスト「大竹まことゴールデンラジオ」で、雑誌「ダ・ヴィンチ」の編集長さんが紹介していた本書を読んでみたくなり購入しました。2016年の江戸川乱歩賞受賞作品ということなのでハズレはないだろうと思いましたが大当たりでした。
主人公は17才の女子高生、彼女は父、母、兄の4人暮らし。一見ありふれた家族に見える彼らだが実は全員が猟奇殺人鬼という設定で、それぞれ独特の残虐極まりない方法で人を殺す日常。そんな中、主人公は兄の惨殺体を発見、ついで母も姿を消してしまう。殺したのは父ではないかという疑念を抱きつつ家を出て、自分と家族に関する謎を解き明かそうとする。その果てに待っていた答えとは・・・。
謎解きミステリーとしても面白いですが、なぜ人は人を殺してしまうのかを、脳科学、心理学などの知見を駆使して考えながら、それが物語のテーマとして織り込まれており、読み始めて前半はスプラッターホラー的なショッキングさで読者を引き付けておいて、後半で物語の底を流れる思考実験に唸らされるサイコサスペンスの傑作でした。

2016年10月9日 日曜日
ユンハンスの時計
長岡から上越新幹線で約1時間、高崎に到着。上越線で渋川まで戻り、駅前から路線バスで伊香保温泉に向かう登り坂を20分行ったところに竹久夢二伊香保記念館はありました。
大正時代に活躍した画家であり詩人でもあった夢二が描いた美人画は、大正ロマンという言葉のイメージそのままに、余裕のある時代を映して、やさしく落ち着いた気分になりました。
また、夢二の活躍した時代に作られた3台のアンティークオルゴールが奏でるワルツ「宵待草」の音色は温かく優しく、夢二の作品を一層引き立てていました。
この日は、黒船館3階にあるサロンでチェロ奏者の丸山朋文さんによるミニコンサートがあり、コーヒーをいただきながら一流の演奏が聴ける幸運に恵まれました。曲目は、
サンサーンスの「白鳥」
バッハの「無伴奏チェロ組曲第1番、第5番」
山田耕筰の「この道」「赤とんぼ」
夢二作詞の「宵待草」
アンコールにチェロの神様とも形容されるカザルスの「鳥の歌」の7曲で、どれも素晴らしい演奏でしたが「鳥の歌」は圧巻でチェロの重厚な響きに心が揺さぶられました。

2016年10月18日 火曜日
仏教講座
新潟市仏教会の主催で新潟県民会館において開催された「第10回市民のための仏教講座」を聴講しました。
講師はテレビのワイドショーでコメンテーターとしてもお馴染みの、評論家、宮崎哲弥さんで「仏教が救う現代」というテーマで、原始仏教の成り立ちと仏教の基本概念を中心に、休憩なしで2時間の講座でした。
宮崎さんがご自身を仏教者(仏教徒でなはい)と位置付け、仏教について深い洞察をされていることは著書やインターネットで知っていましたが、今回のような一般向けで、かつ、高齢の方が多い聴衆向けとしては難しすぎる内容であったと思います。私個人としては大乗仏教の祖であるナーガールジュナ(龍樹)が言語を否定したところなど興味深く聴かせていただいてよかったですが。
テロや戦争、格差社会、貧困、老後破産、孤独死・・・。不安と孤独に追い詰められている私たちに仏教は救いとなるのか、聴衆が一番聴きたかったことはここにあると思います。仏教は本来、生きている今、ここにある苦しみを問題にしているのであって、これに答えるのは宮崎さんではなく僧侶であるはずです。ぜひ、寺院には本来の機能を取り戻してほしいと願います。

2016年10月25日 火曜日
テルモ血糖計
経済アナリストの森永卓郎さん(58才)がテレビのバラエティ番組の企画でプライベートジム「ライザップ」のプログラムを実践して短期間に20キロの減量に成功し、持病の糖尿病も薬によるコントロールが必要ないほどに改善したことが話題になって、メタボを気にする中年族の間でもライザップの減量プログラムの中核をなしている糖質を完全に抜いた食事(低糖質ダイエット)に対する関心が高まっています。しかし、一方で過度の低糖質食の危険性に警鐘を鳴らす内分泌専門医もいます。
個人的には、コスパのいいご飯やパン、麺類など糖質を完全に抜いた食事は経済的に無理があり、完全に糖質を抜かない低糖質ダイエットなら危険性はないと考えていますが、健康に対する意識の高まりはいいことだし、できればもう一歩踏み込んで代表的な生活習慣病である糖尿病について知るきっかけになればと思います。
2016年10月8日に放送されたNHKスペシャル「血糖値スパイクが危ない」では食後高血糖(血糖値スパイク)が血管にもたらす悪影響を解説していましたが、ショックだったのは最新の疫学調査で明らかになった若い人の中にも食後高血糖になっている人が少なくない事実と、糖尿病と診断される9年前くらいには、すでに食後高血糖の状態になっていることが分かってきたという事実です。
空腹時血糖値は健康診断で実施しますが問題の食後血糖値は実施されません。でも、幸いなことに現在は血圧を自宅で測るように血糖も自宅で簡単に測れる機器が安価に手に入るので自分で測ることが可能です。また、献血をすると提供される生化学検査に血糖の状態を知る項目としてあるグリコアルブミン(GA)も食後高血糖を知る参考になります。
写真は私が使っている血糖計です。慣れれば3分もかからず測れます。医療機関向けの製品ですが操作は簡単なので家庭でも十分使えます。
希望される方には販売もしますので当院までお問い合わせ下さい。

糖尿病学会が示している正常とされる血糖値は以下の通りです。
空腹時血糖値(9時間の絶食後)80〜110mg/DL
食後2時間後血糖値80〜140mg/DL

2016年10月27日 木曜日
ポッキーチョコレート
Amazonで限定販売されたグリコのお菓子「ポッキー大人の琥珀」を食べてみました。
プレッツェルが通常の製品と比べると香ばしさが増し、若干の塩味が洋酒の香りがするチョコレートとあいまって、ビターチョコレートのほろ苦さとは少し違うニュアンスの甘さを抑えた仕上がりになっていました。
個人的には既存のメンズポッキーのほうが好みですが、グリコのホームページによればウイスキーとの相性がいいのが特徴であるとのことなので、お酒が飲る方の評価は高いのかも知れません。

2016年10月30日 日曜日
弥彦山山頂
こんな秋晴れに家にいるのもなんだなぁ。などと思いながらサーチをかけると弥彦山ロープウェイの割引クーポンが見つかったので行って来ました。 長岡から信越線で東三条へ、ここで弥彦線に乗り換え。
燕三条駅に着くと弥彦温泉で同窓会らしき団塊の世代御一行様がガヤガヤと乗り込んできて、4人掛けの窓際に座る私の正面には、ちょっと二谷英明似のカシミアらしきジャケットを着た男性が座り、そのとなりに学生時代はマドンナ的存在だったと思われる今もちょっとキレイめな女性。楽しそうに話しだす二人。そこへ割り込んだのは私のとなりに座った、オリーブ色のジャンパーを着た小太りのオジサン。写真を片手に正面のマドンナに話しかけるも、マドンナはうなづくものの、話は二谷英明から離れません。
状況は変わらぬまま、ほどなくして列車は終点、弥彦駅に到着。弥彦神社、弥彦山ロープウェイ駅にはここから徒歩約15分とのこと。
秋晴れの日曜日ということもあってロープウェイは満員で子供がはしゃぐ声を聞きながら5分で弥彦山駅に。ここから左手にテレビの弥彦山送信所を眺めながら山道を5分ほど行くと山頂、弥彦神社奥の宮に到着。標高634m、東京スカイツリーと同じ高さからの絶景は素晴らしく、写真は大河津分水から日本海を望む景観です。
紅葉は山頂付近で少し色づいてきた程度でした。
弥彦神社では11月1日から菊祭りが始まりますが、ほとんど準備はできており、色とりどりの菊で京都の嵐山を模したものをはじめ、沢山の大輪の菊の花を楽しみ、帰りの参道で白玉ぜんざいを食べて帰りました。

2016年11月6日 日曜日
障害学会
東京家政大学において開催された障害学会第13回大会に出席しました。
研究発表、ポスター報告、シンポジウム、どのセッションもフロアから質問の手が挙がる充実した内容でした。今回特に注目した演題は、
・東京大学大学院総合文化研究科の榊原賢二郎さんによる「障害スコア、障害統計の方法論についての考察」
・追手門学院大学地域創造学部の草山太郎さんによる「ブラインドサッカーにおける晴眼プレイヤーをめぐって」
・シンポジウム「介護保険とどう向き合っていくか。障害学からの提言」で、
障害スコアは、障害があることによる社会的排除の度合を統計学的手法で分析することにより、障害の重度性を社会的な観点からとらえ直すという試みで、面白いと思ったのは、例えばロービジョンという状態が就職にどの程度の障害になるかということを、
「非常に不利になる」
「やや不利になる」
「あまり不利にならない」
「まったく不利にならない」
から1つを選択してもらい点数化する、つまり、ある身体的条件がどの程度社会的排除に結びつきそうかを回答者に考えてもらうという主観的方法を取り入れることにより、客観的方法では得にくい人々のリアリティを一定程度反映させることができるという点です。
社会学的な研究ではあるものの、看護学の質的研究にも通じるものがあると思いました。
このように障害学の特徴の一つは学際学であるということですが、以前、済生会新潟第二病院の勉強会で新潟大学工学部福祉人間工学科の准教授が「いじめ問題」をカオス理論で解く研究の話をされていたことを思い出しました。関係論という点では障害学の要素も持っているわけで、研究の実際をぜひ知りたいところです。
シンポジウム「介護保険とどう向き合っていくか。障害学からの提言」では、2013年に施行された障害者総合支援法と介護保険法のかかわりにおける問題点が討論されました。
パネリストの一人、堤修三さん(長崎県立大学、元厚生労働省老健局長、元社会保険庁長官)は介護保険の設計から施行まで関わった方で、行政法規の視点から二つの法律の関係性を解説されました。(もちろん厚労省の公式な見解ではありません)
結論は障害者総合支援法の対象であった人が、65才を迎えた時点で介護保険サービスが優先されるという解釈は間違いで、並行的に受給は可能ということでした。
例えば、60才で失明して障害者総合支援法により同行援護サービスを受けていた人が、65才で介護保険の1号被保険者になっても、それまで同様に同行援護サービスは受けられるということです。
私は長岡市の介護認定審査会、新潟県の県単独医療費助成制度などに関わりましたが、行政が65才以上の人について障害者総合支援法を介護保険法に統合したいと考える理由も分かります。現在、障害者手帳取得者の7割以上は65才以上であり、提供されるサービスには共通しているものも多いのは事実です。また、一般市民の目から見た時に不公平感が生まれるのもいなめないと思います。ただ、先天性の疾患などで若い時から障害と共に生きて資産形成の機会に恵まれなかった人と、高齢になってから障害者となった人を同じように扱うのはどうかとも思います。
障害学の立場から介護保障制度を考える時、これまでALSの患者さんなどが積み上げてきた自立生活運動における介護制度の実践知を、ぜひ取り入れてほしいと願います。

2016年11月13日 日曜日
映画「ミュージアム」ポスター
大友啓史監督作品「ミュージアム」を観ました。原作は巴亮介さんの同名マンガです。
最初から最後まで緊張感が解けないスリリングで予想を超える展開はサイコスリラーというジャンルにおいては最高の出来だと思います。特に小栗旬の精神的に追い詰められて発狂寸前になる演技が素晴らしかったです。
なぜ、犯人はカエルのマスクにレインコートなのか。
なぜ、犯人は雨の日だけに猟奇的殺人を犯すのか。
なぜ、映画のタイトルが「ミュージアム」なのか。
この謎が迫りくる恐怖感と絶望感のなかで明らかになっていき、さらに深く薄気味悪いエンディングが待っています。
この作品を観た直後にハンバーガーは食べられません(笑)

2016年11月17日 木曜日
はじめてのサイエンスの表紙
池上彰さんの著書「はじめてのサイエンス」を読みました。2016年10月初版です。
科学の発達は、私たちのライフスタイルを劇的に変えてきました。特に産業革命以降はエネルギーの消費量が爆発的に増え、化石燃料から夢のエネルギーと呼ばれた原子力を使えるようになりました。また、遺伝子を操作して人間に都合のいい生物やヒトの臓器まで作れるようになりました。しかし、その高度な技術を使う私たちの倫理感は科学技術の進歩に追いつけていません。
新潟大学人文学部哲学科教授の栗原隆さんは「私たちは、それを使うにあたり、簡単に”できるならやるべきだ”とは言ってはいけない」といいます。
難しいことですが、そのためには対象を知らなければなりません。本書はそのために書かれた市民向けのテキストとしても読めると思います。
第一章は素粒子から原子力「物理学」
第二章は水素エネルギーのメカニズム「化学」
第三章は生命誕生の謎「生物学」
第四章は再生医療「医学」
第五章は首都直下地震と火山噴火「地学」
第六章は地球温暖化「環境問題」
という構成で今、知っておくべき科学の概要をやさしく解説しています。例えば一章の物理学では、宇宙を作っている極小の素粒子が紹介された後、核分裂へと話が進み、トルーマンが日本に原爆を投下した理由。そして、原子力発電の問題まで科学だけでない社会学的な話も出てくるので、科学はちょっと・・・という人も飽きずに最後まで読めると思います。

2016年11月20日 日曜日
スライド
定期研修会に出席しました。
講師は新潟県保健衛生センターで糖尿病サポートシステムを担当しておられる内分泌専門医の山田幸男先生で、糖尿病を中心とした生活習慣病の治療の歴史から最新のトピックまで講義していただきました。
山田先生が大学から民間病院に移られてからも研究されていたアスピリンとアスコルビン酸の同時投与でHbA1c値が低くなるという研究は特に興味深かったです。
今、40代以降の孤独死が社会問題になっていますが、2015年に東京都が発表したデータによると孤独死を起こしやすい人の特徴として糖尿病を代表とする生活習慣病にかかっていることが挙げられています。つまり、糖尿病の予防は孤独死の予防につながるということです。
糖尿病予防といえば10月のこのコーナーで、家庭で使える光学式血糖計を紹介しましたが、本体を含むスターターキット(60回測定可能)が1万円ほどで購入でき、センサーチップ、採血用ディスポランセットなどランニングコストは1回の測定で100円ほどなので、血圧を測定する気軽さで使えます。
以前は糖尿病の前段階だと考えられてきた食後高血糖(食後2時間値)がすでに血管に悪影響を及ぼしていることが分かってきていますから、ここで気付くことが大切だということです。

2016年11月20日 日曜日
続・深夜食堂ポスター
松岡錠司監督作品「続・深夜食堂」を観ました。前作もこのコーナーで2015年2月に取り上げています。
都会の路地裏にたたずむ深夜だけ開く小さな食堂「めしや」。焼肉定食、焼うどん、豚汁定食。湯気のむこうに広がる、それぞれの人間模様。
無縁社会といわれる現代で、人と人のつながりを考える時、この映画の世界のような顔が見える他人同士のゆるいつながりも救いになるのではないか、そんな気がします。
エンドロールが流れ、鈴木常吉さんが歌う深夜食堂のテーマ「思ひで」を聞きながら、涙を拭いたハンカチをしまっても、やさしいメロディがいつまでもこころの奥で鳴っていました。

2016年11月27日 日曜日
映画「君の名は」ポスター
新海誠監督作品「君の名は」を観ました。
ラジオ番組でも度々取り上げられて、オジサン族までも巻き込んだヒットになっている様子を聞くと、観ておくべきかと劇場に足を運びました。
邦画においては東日本大震災以降、誰かを大切にしたい、あるいは、誰かを大切にするとはどういうことかを問うような作品が多く撮られている感じがします。今年であれば「リップヴァンウィンクルの花嫁」「世界から猫が消えたなら」などです。
本作も根底にはそういった要素が流れながら、誰の人生にもあった青春の刹那や、過去から現在、未来へと流れている時間という概念とは別に、現在は現在であり、過去も現在であり、未来もまた現在で、これら三つの現在は違う時空に存在しているけれども、私が認識できるのはこの現在だけである。ゆえに、私に何かできるのは、今この一瞬だけであるという、東洋哲学的(禅的)な世界観の中で、目の前の人を愛することの意味を描いていると感じました。
そういう視点で観ると後半の20分くらいは無いほうがよかったのではないかと思うし、エロティシズムも少し抑えたほうが良かったと思います。
映像に関してはフルCGの美しさに魅せられました。
世のオジサンたちは、この作品を観た後に映画館のトイレで手を洗いながら、高校生の頃に顔を見るだけで幸せな気分にしてくれたあの娘を思い出し、そして鏡に写る今の自分を眺め、何かが分かったような顔をしてハンカチで手を拭き、映画館を出て行ったのではないでしょうか。

2016年12月3日 土曜日
正法眼蔵テキスト
読書バラエティ番組「100分de名著」11月は道元の正法眼蔵でした。
私は良寛禅師から仏教に関心を持ち、邦訳された原始仏典などを読むに至り、信仰というよりは学びとしての仏教に関心があります。
正法眼蔵は良寛の宗派である曹洞宗の始祖、道元の著書で、大雑把に言えば仏教を学び体得するための仏教思想書であり哲学書といったところです。
番組では仏教思想家のひろさちやさんが全95巻の中から道元の生涯を追いながら、仏教(禅)を学ぶにあたって基本的に理解しておくべき事柄を解説しました。
難解で有名な正法眼蔵、そう簡単に理解できるわけがないと思っていましたが、やはり難しかったです。
悟りとは求めるものでなく、求めようとする自己を消滅すること。悟りと迷いは一体であること。おぼろげではあるけれども分かった気がします。
日本の仏教には親鸞のように阿弥陀仏が救って下さるという他力を説く宗派と、仏陀の説いた法と自身があれば何を頼らなくともよいとする道元のような自力を説く宗派がありますが、私は自力に生きたいと願います。それは他者を頼らなくともよいことは最高のやさしさだと思うからです。

2016年12月4日 日曜日
鶏の半身揚げ
この日、ひょう湖の白鳥を見に行くつもりで計画していたのですが、12月1日に、阿賀野市内で回収されたコハクチョウからA型の鳥インフルエンザウイルスが検出されたことを受け、3日午後から、ひょう湖は立ち入り禁止になったため、鳥が見れないなら食べようと、五泉市にある鶏料理専門店「とりかん」に行って来ました(笑)
もよりの駅は磐越西線の北五泉駅になります。
写真は「半身揚げ」900円です。揚げたてアツアツにガブッとかぶりつくと、カリカリのカレー風味の衣が香ばしく、肉はやわらかくジューシーでホロホロくずれて実に美味しかったです。ケンタッキーフライドチキンの2ピースセットと同じくらいのボリュームになると思いますが、肉はこちらのほうが圧倒的にやわらかく妥当な値段だと思います。

2016年12月15日 木曜日
「魔性の女」に美女はいないの表紙
岩井志麻子さんの「魔性の女に美女はいない」を読みました。
私はあまり芸能ゴシップには関心がありませんが、それでも今年はベッキーさんや乙武さんの不倫騒動が世間の関心を集めていたことくらいは知っています。
不倫は婚姻関係における背徳行為であるわけですが本書は、それらも含め「結婚」をキーワードに、女のしたたかさ、計算高さ、愚かさ、そして怖さを、男の短絡的なだらしなさ、幼稚さ、そしてずるさを、実際にあった事例を挙げながら、岩井さん独自の考察を加えたノンフィクションに仕上がっています。
ダンナの浮気相手と再婚させないために絶対に離婚しない妻。一度のセックスで浮気相手を妊娠させてしまったものの、結婚する気がなかったので付き合っていた別の女と慌てて入籍した男。結婚願望のない女と気楽な浮気をしていたと思っていたら、家庭を崩壊させられそうになった男など様々な男女が登場します。さらには愛憎の果てに命を奪ってしまった人、奪われた人、また、世間を騒がせた「首都圏連続不審死事件」の木嶋佳苗被告や「鳥取連続不審死事件」の上田美由紀被告を追ったルポなど、結婚という幸せの裏側にある物語を、身近なところから凶悪事件まで、まさに事実は小説より奇なりです。
岩井さんはホラー作家ですが、本書に登場する「魔性の女」は男の地位やお金、立場に執着してはいるものの極悪人というわけではなく、ごく普通の女性と共通する部分も多く持ち合わせているところに恐怖を感じました。

2016年12月21日 水曜日
がんのち晴れの表紙
36歳の時に乳がんの告知を受け、無類のネコ好きという共通点を持つフリーアナウンサーの伊勢みずほさん(39才)と新潟医療福祉大学の五十嵐紀子准教授(44才)が、告知から治療、そして、乳がんを経験しての率直な思いと、そこから得たものをまとめた共著「”がん”のち、晴れ キャンサーギフトという生き方」を読みました。
「キャンサーギフト」とは、がんと言う命に関わる重い病気になって初めて、命の大切さ、時間の大切さ、周囲の人達の暖かさというものに気付く。それは病気がくれた贈り物ではないかという考え方です。
本書は、告知から治療、そして現在の日常と順を追って経過を記しながら、その時々の身体の変化や痛み、戸惑いや不安が率直に吐露されています。
抗がん剤治療の開始を前に、脱毛対策としてネットショッピングなどでカツラや帽子、つけまつげを買う様子や、子供を持つ選択肢を手放す決断をする過程など、女性だからこそのエピソードも沢山盛り込まれています。また、2人には、がんの告知を契機に婚約から結婚へと至ったラブストーリーもあり、治療の話の合間合間に描かれています。
2人の経験から得られた言葉の数々は、どれも胸に深く届き、ナラティブの持つ力を感じました。特に印象に残ったのは伊勢さんの「未練がいっぱい残るくらい、大好きな人、大好きなこと、たくさんの大好きに囲まれた人生を送りたい」という言葉です。未練があるのは愛し、愛された証だとすれば、未練がない、後悔がない人生なんて寂しいと思います。
最後のページを閉じながら、映画「パッチアダムス トゥルーストーリー」のモデルにもなった、パッチアダムス先生の言葉を思い出しました。”Health is based on happiness”(健康とは、幸せであるかどうかで決まる)病気があろうとなかろうと、誰もが幸せになることができるし、それが本当の意味での健康である。そして、医療とは病気を治すためにあるのではなく、人を幸せにするためにある。
「がん」という病気は、考え方次第で、扉を開くものにもなりうるし、扉を閉ざすものにもなりうる。誰もが自分の意志で、幸せになることを選択できる。自分の命はあと何日しかないと数えるよりも、「今日も私は生きている」と毎日を祝福して生きた方がいい。そして、死は敗北ではない。医療に勝ち負けがあるとしたら、勝利とは、最後までその人を愛し抜くこと。「生きるのは悲惨だ、誰も私を愛してくれない」と嘆かれたとしたら、それは医療の敗北である。
では、患者さんに幸せになってもらうために医療者は何ができるのでしょうか。そのヒントが五十嵐さんの言葉にありました。 「その人のことを本当に思うなら、気持ちを100パーセント理解できて、共感できるはずという前提は捨てたほうがいい。その上で、一緒に時間を過ごす、一緒に景色をながめる、手をつないで歩く、そういったシンプルな、共にいるということが、なにより力になると思うのです」

2016年12月23日 金曜日
オルガンクリスマスコンサート2016パンフレット
新潟市のりゅーとぴあコンサートホールで開催された「オルガン・クリスマスコンサート2016」を鑑賞しました。
今回はりゅーとぴあ専属オルガニスト山本真希さんと、ゲストオルガニストの桑山彩子がさんのオルガンデュオをメインに、フリーアナウンサーの伊勢みずほさんがクリスマスにまつわる物語を朗読するというクリスマスの特別プログラムでした。
コンサートホールに備え付けてある大オルガンと、ステージ上のポジティブオルガン、ステージ中央には大オルガンを演奏する手元、足元の動きや、伊勢さんが語る物語に合わせて美しい映像を映し出す大スクリーンが置かれ、音楽と語り、映像が一体となった音楽会でした。
りゅーとぴあコンサートホールには何度も足を運んでいますが、大オルガンの音を聴くのは今回が初めてで、手足が縦横無尽に鍵盤を駆け巡る連弾の迫力には圧倒されました。
伊勢さんの優しい語りも素晴らしく、4本のろうそくの物語は忘れないと思います。
平和のろうそくが消え、
喜びのろうそくが消え、
愛のろうそくが消えた。
灯っているのは希望のろうそくだけになり、これを見た子供は泣きだしました。
すると希望のろうそくが子供に語りかけました。「大丈夫だよ、わたしが残っていれば、ほかのろうそくにもまた灯してやれる。だから心配しないで」

2016年12月25日 日曜日
ネコのカイちゃん
毎年、5月と11月に献血をしてきましたが、今年はタイミングが悪く今になりました。実は今日もイオンシネマ新潟西に「この世界の片隅に」を観に行くつもりだったのですが、いろいろあって、今、新潟の街を見るのは、匂いを感じるのは、切な過ぎて行けず、懺悔しながら献血に行ってきました。
「この世界の片隅に」はラジオで作家のいとうせいこうさんが「アニメの代表作というよりも日本映画の代表作として評価されるべきだ」と絶賛していました。原作はマンガで映画化されるにあたり、大手スポンサーではなくクラウドファンディングで多額のお金が集まったという事実も、心を揺さぶる作品であることの証明であると思います。ぜひ大切な人と一緒に観ていただきたい作品です。
写真は近所の飼い猫の海(カイ)ちゃんです。ネコのカイちゃんは、どんな時もやさしく、私にとって一番の友達です。

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