2018年7月、8月、9月分の日記です。
2018年7月6日 金曜日
「極上の孤独」の表紙
2014年に放送されたNHKスペシャル「老人漂流社会」は、頼る家族も、お金もなく、老後破産により厳しい現実を生きる300万人を超す高齢者の実態に迫ったルポで、世の中とのつながりを無くして深い孤独を生きる人の姿が、明日は我が身と胸に迫ってきました。
今回紹介する下重暁子さんの著書「極上の孤独」は、ネガティブなイメージの孤独を、孤独は愉しいものであるとポジティブに論じており、老いの参考書として読んでみました。
第一章 なぜ私は孤独を好むのか
第二章 極上の孤独を味わう
第三章 中年からの孤独をどう過ごすか
第四章 孤独と品性は切り離せない
第五章 孤独の中で自分を知る
という構成で、印象に残ったのは三章と四章で、夫や妻が元気であっても個人としての生活を確立することが大切であると著者は言います。つまり、下重さんが言うところの孤独とは自身が望んだ結果であって、タレントの島田紳助さんが言っていた「ひとりでいたいねん。けど、ふすまの向こうには誰かにいてほしいねん」に近い感覚ではないかと感じました。なので、家族や経済力のある高齢者の参考にはなるかも知れませんが、老後破産に追い込まれた人が背負う孤独の参考にはならないと思います。ただ、品のある人は孤独を知っており、良寛禅師はその代表であるということには共感しました。

2018年7月16日 月曜日
ハズキルーペ
ここ最近、岩波学術文庫などの細かい文字を追うことがツラく、ハズキルーペのCMを見るたびに試してみたいと思っていました。お中元を買いに行ったイトーヨーカ堂で見かけたので、1.6倍と1.85倍を試してみたところ、細かな文字を追うには焦点距離が22cmの1.85倍が適していることが分かりました。
文字が大きくなるのは手で持つルーペと同じですが、「見る」のではなく「読む」という行為では、見えている範囲がルーペと比べると圧倒的に広いので読書に集中できて良いし、目の疲れも軽減できていると実感しました。良い買い物をしました。

2018年7月21日 土曜日
A/Identifyの表紙
2017年3月にEテレの単発特番としてスタートし、同年10月より全12回のシリーズと特別編が放送された「人間ってナンだ?超AI入門」。人間とAI(Artificial Intelligence)の違いは何かという視点から、ニューラルネットワークやディープラーニングといったAIの動作原理の解説があり、そのベースになっている考え方は確率と統計に基づくものであることがこの番組から分かりました。
現在、碁などのボードゲーム、医療における画像診断など、特定の環境に特化したAIがヒトを超えるレベルになったことが話題なっていますが、2040年頃にはシンギュラリティが起こり、映画「2001年宇宙の旅」に登場するHALのような汎用AIが登場し、ヒトの脳とコンピューターが直接つながる世界が到来すると予見する科学者がいます。
今から20年後はそう遠くない未来ですが、今回紹介する小説「A/Identify」はシンギュラリティが起こる直前の世界が舞台のミステリーです。
この作品の最大の特徴は、著者がプロの作家ではなく、新日鉄住金ソリューションズ株式会社に勤務する4人の現役ITエンジニアであるということです。それだけに、AIはどんな仕組みで動いていて、誰がどうやって作っているのかまでリアルに描かれています。
謎の無差別テロ事件解決のため、国を挙げての捜査が始まります。カギを握るのは最先端のAI技術を駆使した犯罪予測システム、ドクサ。ストーリーが進むにつれ見え隠れする巨大な陰謀。エンディングは続編があるかのようなニュアンスだったので、ぜひ期待したいです。
iPS細胞、ゲノム編集、AI。最先端の技術を使うには高い倫理を持たなければ不幸になると思います。私たちは果たしてどうでしょうか。本作を読み終えて考えました。

2018年7月26日 木曜日
培養土
長岡駅ビルの改装工事が終わり、2階の南側に100円ショップがオープンしました。バスを待つ間ぶらっとすると、1鉢分植え替えるのにちょうどいい量が入った培養土を見つけました。ホームセンターだとキロ単位でしか売っていないので、これまで花の植え替えなど面倒で考えたことがありませんでしたが、玄関のくちなしの鉢が猛暑にもめげず元気なことを思い出して購入しました。
先週、武田鉄矢さんが文化放送の「今朝の三枚おろし」で、植物にも動物とは違った記憶力があるのではないかという話をしていて、そういえば日本のむかし話にはケヤキの大木と話ができる老人の話とかよく出てくるし、もしかすると樹木も意識を持っているのに、現代人はそれに気づく術を知らないだけなのかも知れません。
培養土の袋に書いてある手順で、くちなしを新しい鉢に移し、水をやり「どうだい気分は?」と聞いてみましたが、何の返事もありませんでした。でも、また来年、白く清楚な花を咲かせてくれそうな気がします。

2018年7月29日 日曜日
サマースクールの様子
毎年恒例になっているNPO法人オアシス主催のサマースクールに参加しました。いつもなら会場となった新潟市総合福祉会館へは新潟駅から歩いて行くのですが、この日は台風12号の影響で新潟市で39.5度を記録した猛暑の一日となり、朝9時だというのに熱風に押されてバスに乗ってしまいました。
22回目となる今回は猛暑にもかかわらずボランティアを含め200名を超える参加者があり、視覚障害者の生活を支援する輪の広がりを実感しました。
プログラムは昼食休憩をはさんで午前と午後に分かれており、午前は元大学教授、現役の医師二人による講演。午後はNPO法人オアシスの活動紹介と体験会、視覚障害者向け支援機器の展示会という内容でした。
この日は午後から新潟青陵大学で講座の予定があり、牧野秀夫さん(元新潟大学工学部教授)による「屋内案内装置、最近の話題」と山田幸男さん(糖尿病専門医)による「フレイルを知っていますか?」だけ拝聴しました。
「屋内案内装置、最近の話題」では、視覚障害者の生活を支援する機器の開発は、レーザーライダー、赤外線、ビーコン、加速度計、気圧計、姿勢制御情報といったセンサー技術開発の歴史であったこと、最近ではそれらが小型化、高性能化しスマートフォンなどに搭載されるようになり製造コストが下がって、支援機器としての利用がしやすくなってきたこと、さらにインターネットを介することにより人が近くにいなくても支援が可能になりつつあることなどが紹介されました。センサーがとらえた情報を直接ヒトに伝えるのではなく、コンピューター(AIのこと?)を介してというところにとても興味がわきました。Googleのレイ・カーツワイル博士は人工知能研究の世界的権威であり、文章音声読み上げ機の開発者ですが、彼が予測するヒトの脳とコンピューターの融合とは、こういった福祉分野から起こるのかも知れないと思いました。
「フレイルを知っていますか?」は、フレイルとは何か、フレイルの診断基準、フレイルの予防という流れで、健康寿命を延ばす上で大切なことを分かりやすく伝えた内容でした。
サルコペニア、ロコモティブシンドロームなどの身体的な問題、経済的な問題、社会的な問題などが相互な関係性をもってフレイル(虚弱)になり、介護が必要な状態につながっていくわけですが、NPO法人オアシスでは運動と栄養、社会参加という部分での支援を実施しており、日常の活動の中から気づかれた問題点など現場のリアルが伝わってきて共感する部分も多々ありました。
転倒予防教室の参加者が増えないという問題意識を持っておられるようでしたが、なるべく遊びの要素を取り入れて、楽しさを前面に出すと良いのではないかと思いました。理屈で説得するよりも気分を良くしてやることが運動療法を継続してもらえるコツだと感じます。
支援機器の展示会は10社ほどがブースに分かれて、最新のものを展示していましたが、障害は特別なことではなく「ふつう」であると感じてもらうために、菊川怜さんの大きなポスターでも貼って「ハズキルーペ」を展示したらどうかと思いました。
下のリンクをクリックすると写真がご覧になれます。

2018年7月29日 日曜日
チョコミントアイス
新潟青陵大学において開催された「新潟青陵インクルージョン講座」を受講しました。この講座は新潟青陵大学とBSN新潟放送の共催企画で、2016年より開講されており、多様な人々があたりまえの生活を地域社会で営むための条件であるInclusion(ふわりとつつむ)をキーワードに、毎年1つのテーマで春と秋に分けて開くものです。
今年のテーマは「誰もが共に地域で生きるために」で、春は「障害を持つ人」について「ともに」「読み解く」という視点から、秋は「生きづらさを抱えるひと」と「私」が「街」で出会ったら何が出来るのかを、当事者、大学教員らと一緒に考えます。
今回の講座は「うごけないからだ」と「動く身体」うごけなくなって、うごいた世界と題して、にいがた自立生活センター・まいらふ代表の山内俊博さんと、新潟青陵大学助教授の佐藤菜美さんを講師に4時間の講座でした。前半は講師による講義、後半はBSNアナウンサーの渡邉智世さんを司会に、参加者から提出された質問票をもとに会場全体で討論しました。
山内さんは、新潟大学教育学部在籍時に交通事故で頚髄を損傷され四肢麻痺の障害があります。講義では周囲(社会)とのかかわりが、ご自身の心象風景の移り変わりにどんな影響を及ぼしてきたか、時系列に分かりやすくまとめたPowerPointで述べられました。要約すると、
・障害をもつ前の大学生活と当時抱いていた夢。
・障害をもった直後の絶望感。
・希望につながっていった同じ障害をもつ人との出会い。
・退院して自立生活を目指すも、家族を含めた周囲の反対に力がなくなっていった日々。
・ピアカワセリング(同じ障害を持つ者が、対等な関係で話を聞きあうことで、様々な抑圧の中で失っていった自己信頼、本来持っている力を取り戻す手法)との出会いがきっかけで少しずつ自分と向き合えるようなる。
・障害者として何ができるのかを考えるようになり、自立生活センターを設立し障害者を支援する活動を始める。
・障害者となって22年が経過した今、多くの人との出会いで世界が広がり、自分を信じることができるようになり、新しい世界が動き出していることを実感できている。障害があっても、あきらめなくて良い社会の構築を目指して活動していきたい。と笑顔で締めくくられました。
拝聴して思ったのは、世の中を生きていく力を与えるのが教師の仕事なら、山内さんは形は違っても教師になる夢を実現されたのではないかということと、ピアカワセリングの効果です。
先般、女性の代議士が生産性という経済用語で国民を差別する発言をしましたが、お金が介在しない仕事にも価値があることを認めない(知らないのかも?)社会は幸福な社会とは言い難いわけで、これからベーシックインカムやAIと労働に関する議論が活発にされるようになると、山内さんの活動はもっと評価されると思いました。
写真は本文とは何の関係もなく、明治Sweets氷ショコラミントです。セブン&アイホールディングスの期間限定商品で、チョコミント好きとしては迷わず購入してしまいました。カップアイスで一番下はミント氷、真ん中はチョコクッキーがちりばめられたミントアイス、最上段は冷たいのになぜかトロッとしたチョコソースという美味しさの3段重ねになっており、少し強めのミントと氷の爽快感がチョコソースの甘さでコーティングされて、税込み168円は少し高めですが、それだけの味と食感に仕上がっていると思います。

2018年8月12日 日曜日
映画「カメラを止めるな!」のポスター
上田慎一郎監督作品「カメラを止めるな!」を観ました。
この作品は監督&俳優養成学校のワークショップで撮られた作品です。ゆえにお金がかけられないという逆境を逆手にとった発想とアイディアは観客を驚かせ、笑わせ、ゾンビ映画なのに爽快にさせ、「いやー面白かった!!」と言わせたい映画人の情熱が伝わってきました。
ネタバレになってしまうので内容は書けませんが、頼りないお父さんを、ぶっ飛んだお母さんと娘が協力して困難を乗り切るファミリー映画、コメディ映画としても楽しめます。
上映時間96分なのですが前半37分にエンドロールが流れます。「えっ?」と思いきや、ここから始まる後半がもう!!
劇場に足を運んでよかったと必ず思える作品です。

2018年8月15日 水曜日
ねこの京都
新潟三越で開催されている岩合光昭 写真展「ねこの京都」を鑑賞しました。
写真展「ねこの京都」は、これまで世界中の色んな国々を飛び回って猫の写真を取り続けてきた岩合さんが、1年以上もかけて京都の猫たちに密着。移りゆく季節の中で出会ったさまざまな猫たちが、約180点の写真作品となって「春」「夏」「秋」「冬」の4章構成で展示されていました。
今回も里山を、街中を自由に歩く猫たちの命の躍動感の一瞬をとらえた作品に今回も魅了されましたが、特に舞妓さんとのツーショットが京都らしく、猫の柔らかさと舞妓さんの柔らかな雰囲気、柔らかな光が重なって「はんなり」として良かったです。

2018年8月21日 火曜日
小説「庭」の表紙
冬、朝つけた道は小学校から帰る頃には降り積もった雪で完全になくなっており、親が帰る前にカンジキを履き道をつけるのは子供の仕事でした。先が見えないほど雪が降る夕刻、一切の音は消え、家々や、その裏にそびえる杉の巨木の輪郭と闇の境界はあいまいになります。カンジキで新雪を踏んでいくと「ズッズッ」という自分の足音が他人のもののように思えて、なぜか数日前に見た、棺桶を担いだ黒い喪服の一団が、ほの暗く降りしきる雪の中を歩いていた光景がよみがえり、思わず足を早めたものです。
日常の中にひそむ非日常的な出来事は、誰もが一度くらいは感じたことがあるのではないかと思いますが、小山田浩子さんの小説「庭」は奇妙で鮮やか、少し不穏な15の物語が詰まった短篇集です。いくつか紹介すると、
1.離婚届に署名をもらうために実家に帰った私を、祖父が謎の寄り合いに連れていく「うらぎゅう」
2.蟹が産卵にやってくる女子高に通っていた私の物語「蟹」
3.母の生家である実家で育ったトマトにまつわる怖い話「世話」
4.子供ができないことに負い目を感じている「私」が夫の実家近くの温泉で聞いた老女2人の会話をきっかけに子犬を飼うことになる「名犬」
日常が非日常にいつの間にか変わっていく感覚が鳥肌ものだったり、なぜそうなったのか明らかにされないがゆえに生じる気味悪さや怖さが印象的だったり、暮らしと不可思議な世界の間にひそむ人生の真実を描いた作品で、晩夏に読むにはいい作品だと思います。

2018年8月26日 日曜日
映画「検察側の罪人」のポスター
原田眞人監督作品「検察側の罪人」を観ました。原作は雫井脩介の同名ミステリー小説です。
作品全体を流れるテーマは司法制度なのですが、法で裁けない罪人をどう捉えるかという命題を超えて、法と正義を問いただしている重い作品です。
法に従い時効が成立したのなら、たとえ殺人犯であっても罪は問われません。では、自分の大切な人が被害者だったらどうでしょうか。法が遂行できない正義を貫くことは罪になるのでしょうか。
隣国のように司法が世論で左右されるのはどうかと思いますが、過失を認めない権力者の強弁や、見え透いた嘘がまかり通る現代社会で正義とは、法律とは何でしょうか。考えてしまいます。
冒頭から緊張感が途切れないスリリングな展開の作品ですが、殺人犯の気持ち悪いほどの狂気と、取り調べをする若手検事の気迫のぶつかり合いが圧巻でした。
余談ですが先日、総務、法務、財務、農林水産、経済産業、国土交通、気象庁の各省庁と29の都道府県が、障害者雇用に関して水増ししているか、その疑いがあることが報道されました。
法の順守を監督する側が法を破っていたという映画以上に衝撃的な出来事ですが、このことと、LGBTは「生産性がない」という杉田水脈代議士の発言、2016年に起こった相模原障害者施設殺傷事件の犯人が好んで口にする「障害者は生きる価値がない」というナチスの優生学思想にも似た主張は、思想的な部分でつながっているのではないかと思えるし、それを支持する人がいることに怖さを感じます。

2018年9月9日 日曜日
映画「累」のポスター
佐藤祐市監督作品「累(かさね)」を観ました。原作は松浦だるまさんの同名マンガです。
怪談「累ヶ淵」がモチーフになっているという本作は、キスをすると顔と声が入れ替わる不思議な口紅でつながった2人の女性を主人公に、美醜をめぐる人の業をドラマティックに描いています。
小学校でガマガエルのような醜い容姿から酷いいじめを受けていた累は、母親からゆずり受けた不思議な口紅の力で限られた時間ではあるけれども、同じクラスの愛くるしい美少女と顔と声を交換することに成功しました。誰もが自分に振り向くことは同じでも、それは嘲笑ではなく羨望の眼差しであり、ただ、美しいというだけで自分が知っていた世界とは全く違う世界が目の前に広がったことに驚き、以来、累の中で何物も手に入る美への渇望が渦巻くようになりました。
やがて累は大人になり、美しいけれども演技力のなさから芽が出ない女優ニナと知りあい、口紅の力で顔と声を交換し、ニナとして舞台に立ち脚光を浴びるようになります。美しい男の愛も、望むものすべて手に入りますが、口紅の力が時限付きであることは変えられません。その時累は何を思うのか。
劇中劇で、累はニナの姿でオスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」の主人公、サロメを演じ舞います。美しいけれど危うい目つき、妖艶かつ力強いダンス、しなやかで存在感のある声は圧巻でした。また、サロメの物語上でも、国王さえ虜にする美しさを持つ自分の愛を受け入れてくれないユダヤ教の聖者ヨカナーンを殺させ、その首を持ってこさせキスをする狂気のシーンが劇中の累とニナのキスシーンと重なる様も非常に美しく、ふたつのストーリーが並行することで全体に鮮やかさが増していたように思えました。

2018年9月25日 火曜日
「視力を失わない生き方」のポスター
深作秀春さんの著書「視力を失わない生き方 日本の眼科医療は間違いだらけ」を読みました。
深作さんは医師免許を取得すると渡米して眼科治療を肌で学び、ドイツでも共同研究を行い、海外とのコネクションを維持しながらアメリカ白内障屈折矯正学会(ASCRS)の最高賞を20回受賞して常任理事も務め、日本で開業しているという眼科医です。
本書は近藤誠さんのような現代医療に対する批判を独自の視点で論じたものではなく、世界レベルの眼科医療を客体として日本の眼科医療を比較し論じたもので、とてもドラスティックで驚くことが随所にありました。曰く、平均的な日本の眼科治療は世界と比べてかなり遅れている。曰く、残念ながら2016年現在、世界的にはもう通用していない非常識な治療が日本ではまかり通っており、そのおかげで多くの患者が救われずにいる事実がある。そして、その背景にあるものは何か。現在できる最善の治療法は何か。眼科医療の最前線に立ち続けている人の話は説得力がありました。
本書は、はじめにとプロローグで全体の内容を簡単に述べ、第一部で日本の眼科医療の現状、第二部で「間違いだらけの眼科選び、日本の眼科の大間違いを斬る」と題して、
・大病院、眼科、医者に関する大間違い
・眼、視力、老眼をめぐる大間違い
・メガネ、コンタクトをめぐる大間違い
・白内障をめぐる大間違い
・緑内障をめぐる大間違い
・網膜剥離をめぐる大間違い
・加齢黄斑変性をめぐる大間違い
・糖尿病性網膜症をめぐる大間違い
・生活習慣をめぐる大間違い
の各論を説明し、第三部で眼のために日常生活で気を付けるべきこと、第四部で眼科医にこそできることとして糖尿病性網膜症を例に、眼科医の視点が内科的治療に不可欠であることを解説しています。
一般的には眼科の先生から「手術」はイメージしにくいかも知れません。しかし、眼科医の真骨頂は外科医同様に手術手技にあると深作さんは言い、自身のアイデンティティを眼科外科医としています。なので本書を読むと眼科医に対するイメージも変わると思います。
知己の医師(眼科医で硝子体手術のエキスパート)が医学部での講義終わりに総括として、海外留学の重要性を毎回必ず述べていたことを本書を読みながら思い出し、そういうことだったのかと合点しました。
本書は専門的に解説している箇所が多く、眼のことについてNHKの健康番組程度は知っておいて読むと理解が深まると思います。眼の病気に興味のある方は、ご一読されることをおすすめします。

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