2022年1月、2月、3月分の日記です。
2022年1月9日 日曜日
映画「決戦は日曜日」のノベルティ缶バッチ
映画を観る時はシネコンのサイトで予約をします。人気があると思われる作品は客席数が多い大きな会場になり、一日当たりの上映回数も多く、スクロールする必要がない上位に表示されてきます。ところが、今回観た坂下雄一郎監督作品「決戦は日曜日」(原作は高嶋哲夫さんの同名小説)は同時公開の「スパイダーマン」に比べれば、恐らく人気はないだろうと思われるにもかかわらず、最上位に表示されていました。(もっとも客席は一番少ない会場でしたが)これはもしかすると「長岡市民に対して」意図的であったのではないかと今、思っています。

舞台は日本の地方都市。谷村勉は、ここに強い地盤を持ち、当選を続ける衆議院議員、川島昌平(75才)の事務所で中堅どころの私設秘書として働いています。ある日、川島が病に倒れ、そんな時に衆議院が解散してしまいます。そこで川島の地盤を引き継ぎ、次の選挙の候補として白羽の矢が立ったのが川島の娘である、有美(45才)でした。有美は独身で見た目はキレイなのですが、自由奔放な性格で学力もなく世間知らず。しかも、なぜか根拠のない自信と熱意だけはあり、そんな有美に振り回される谷村たち。それでも川島の地盤は盤石で、よほどのことがない限り当選は確実視されていました。ところが政界財界にはびこる古くからの慣習に納得できない有美はある行動を起します。なんとそれは選挙に落ちること。果たして結果は・・・。秘書の視点から衆院選のドタバタを描いたコメディ作品でした。

劇中には実際にあった政治家たちのスキャンダルエッセンスを抽出したような演出満載で、あちこちからマスクごしの笑いが起こりました。
ぜひ、泉田裕彦衆議院議員、星野伊佐夫新潟県議会議員にも本作をご鑑賞いただき、感想をお聞きしたいものだと思います。
写真は劇場でもらったノベルティグッズの缶バッチです。

2022年1月20日 木曜日
「声のサイエンス」の表紙
アグネスチャンがデビューして間もない頃、ある盲学校に招かれて本の朗読と歌を披露した時の事、この子たちは自分の声だけをたよりにファンでいてくれると思ったら感極まって歌えなくなったという、はるか昔の雑誌の記事を今でも憶えています。
ただ、その人の声が好き。これって視覚障害者だけじゃなく、実は誰にでもある感覚ではないでしょうか。友人は村上里和さん(NHKアナウンサー)の声はずっと聞いていたいと言うし、私は遠藤麻里さん(ラジオパーソナリティ)の声が大好きです。ほかにも男性であればリリーフランキーさんの声も好きです。
なぜ、人は声そのものに魅力を感じるのか。ずっと疑問に思っていましたが、この疑問に答えてくれそうな本を見つけました。山崎広子著「声のサイエンス」がそれです。

第1部 声はあなたのすべてを晒す 聴覚、脳の驚くべき仕組み。
第2部 人を「動かす」声の力教会の天井はなぜ高いのか。
第3部 自分を「変える」声の力 どうして人は自分の声が嫌いなのか。

という構成で、著者は、認知心理学をベースに、人の音声が心身へどのように影響するのかを研究しており、主に心理学の観点からの分析を中心に書かれています。
声が人の心を揺さぶる理由は、聴覚と脳の仕組みにあり、言葉を伝える声という「音そのもの」は、脳にある大脳辺縁系(生物としての本能や情動の中枢)に到達します。ここは危険を察知し、快、不快を判断する領域であり、自律神経系を管理し、ホルモンを分泌し、身体のさまざまな器官に影響を与えている領域でもあります。声という音はここを刺激して、好き、嫌いといった本能的な感情を引き起こしながら、心身に影響を及ぼしているのだそうです。つまり、無意識の領域で私は遠藤麻里さんの声を快であると認識しているということです。
今は音声合成技術が進んで、一昔前はいかにもコンピューターがしゃべってますというレベルだったのが、AIの発達と共に、ネットでは実際のニュース番組で使われるレベルにまでなっています。ニュースの内容が正しく伝わればそれでいいのなら、コストが安いAIが今後もっと進出してくると思いますが、やはり人は人の声を求めるのではないか。そんな気がします。

2022年1月30日 日曜日
うまい棒たこやき味
「うまい棒」。コンビニでもよく見かける国民的駄菓子ですが、今年の春、値上げされることを文化放送の「大竹まことゴールデンラジオ」で知りました。発売以来1本10円でしたが、1本12円になるそうです。今まで値上げをしなかったことがすごいと思うし、2円の値上げというところが泣かせます。
うまい棒といえば、いろいろな味が楽しめるのも人気の秘密だと思うのですが、アンケートをとってみると、

1位 コーンポタージュ味
2位 チーズ味
3位 たこやき味

の順になるようです。私はダントツ、たこやき味が好きです。
昨年から原油の値上げにともなって、食品類も値上げが相次いでいますが、値上げしても「うまい棒」のファンは減らないだろうと思います。

2022年2月2日 水曜日
「長生き地獄」の表紙
「長生き地獄 資産尽き、狂ったマネープランへの処方箋」を読みました。
2019年、金融庁の報告によれば、65才以上の夫婦二人世帯の平均的な家計収支は、収入として公的年金が月額21万円。支出は月額26万円で、差額分を預貯金などで補てんした場合、30年間で1,800万円程度は必要になります。
この試算が間違っているとはいいませんが、どの年度のデータを使うかによって結果は大きく異なるわけで、1,800万円という数字にはあまり意味がないと思います。それよりも気になったのは公的年金の受給額で、「ねんきんネット」で調べてみたところ、私は学生時代に基礎年金の未納があったことが発覚しました。幸いなことに未納分を納付すれば満額受給できるようですが、それでも基礎年金だけでは現在の平均にすら足りず、暮らしていけないでしょう。
多くの人は老後資金を公的年金を中心に考えていると思うのですが、森永さんの試算によると、公的年金はこのまま減り続け、今から30年後には平均的サラリーマン世帯だった夫婦2人の年金は月額13万円まで減るそうです。
これに対処するための方法としては、働き続けるという選択肢もあります。しかし、高齢になって働き続けるのは限界があります。そうなると若い時から少しづつでも貯蓄や投資で資産を増やしておくしかありませんが、本書は公的年金月額13万円を用意するのが精一杯だった人に向け、「長生き地獄」を克服するための森永流メソッドを解説しています。
本書で私が参考になったのは、住民税非課税世帯になる方法と、健康を保つのが大切であるという2点だけで、ほかは一般化できるほど説得力のある説ではないと思いました。森永さんは昨年後半くらいから本誌のほかにもラジオなどで、バブルがはじけるのは秒読み段階で、株価が一気に下落するのは時間の問題だと力説していますが、この言葉を真に受けて大損した人もいるのではないでしょうか。
ただ、本書にはオマケとして、童話のアリとキリギリスを森永流にアレンジしたお話「新版 アリとキリギリス」が収録されており、これが森永さんらしくてよかったです。

バイオリンを弾き、歌を歌って毎日楽しく暮らすキリギリスに対して、アリは来たる冬のために食料を必死に家に運んでいます。
キリギリスは「食料をわざわざ運ばなくても、たくさんあるじゃないか」と話しかけると、アリは「今はたくさんあるけど、冬になると食料はなくなってしまうよ」と答えます。しかし、キリギリスは「まだ夏は始まったばかり。楽しく歌って過ごせばいいのに。君たちは何が楽しみで生きてるの?」とアリを誘いますがアリは、働き続けることが自分たちの使命だと答えます。
そんなある日、彼等の住む草むらを集中豪雨が襲いました。アリさんの家も浸水し、わずかに残った食料を分け合ってしのいでいました。キリギリスさんは木の幹にあいた穴に逃げ込んでいました。
やがて雨が上がり、アリさんたちは家の復旧を急ぎましたが、すでに秋は深くなり食料の備蓄まではできませんでした。一方、キリギリスさんはすぐにバイオリンを弾いて歌いだしました。それは、雨のあとに草の芽が芽吹いて、ごちそうがたくさんあったからです。
一か月後。冬が訪れました。 食料が尽きたアリさんは次々に命を落としていきました。「ぼくたちの一生って一体何だったのかな」アリさんが残した言葉でした。
キリギリスさんも食料が尽きて最後の時を迎えました。「ずっと好きなバイオリンが弾けて、歌が歌えて自由に生きられた。素敵な一生だった。ああ、楽しかったなぁ」キリギリスさんが残した言葉でした。

2022年2月18日 金曜日
映画「ドライブマイカー」のポスター
濱口竜介監督作「ドライブ・マイ・カー」を観ました。原作は村上春樹さんの短編小説集「女のいない男たち」から、「ドライブ・マイ・カー」「木野」「シェラザード」の三作品が使われており、チェーホフの「ワーニャ伯父さん」が劇中劇として使われています。
私は小説と映画はまったく別ジャンルの芸術だと思っているので、両者を比較することには意味がないと思うし、映画に刺激されて原作を読むこともあまりありません。しかし、本作については映画を観た後に原作を読みました。というのも本作が第74回カンヌ国際映画祭で日本初となる脚本賞受賞作品だからです。原作となった三作品は「女のいない男たち」というコンセプトで統一された物語であるので合わせやすいとは思いますが、それぞれの物語は映像化されて更に深くなったと思います。

舞台俳優で演出家の家福は、脚本家で妻の音と平穏に暮らしていました。しかし、妻はある秘密を残したまま亡くなってしまいます。数年後、喪失感を抱えながら生きていた家福は、国際演劇祭で演出を担当することになり、自分の車で広島へ向かいます。そこで主催者から紹介された寡黙な専属ドライバーのみさきと時間を共有する中で、家福はそれまで意識的に目を背けていたあることに気づき、自身の悲しみを見つめ直していくというストーリーです。

3時間という上映時間でしたが、それを感じさせない物語の展開で、映画館を出てからもずっと余韻に浸っていられる作品でした。これは脚本の良さがあってのことだと思います。本作の個性は映像で表現するというよりは、語りで表現しているというところで、そういう意味では読書に近いのかも知れません。そこでさらに多言語(手話も一つの言語という位置づけ)で表現の可能性を模索しているというところに先鋭的なものも感じました。

作品後半、みさきの故郷である北海道に向う途中のシーンで「コメリホームセンター」の看板が映るのですが、実は新潟県上越市でロケが行われたことを後から知りました。

家福の妻、音は満ち足りた日々を送っていたのに何故・・・。本作は恋人、あるいは夫婦で「語り合うために」鑑賞するのがいいと思います。

2022年3月6日 日曜日
献血の様子
40回目の献血をしました。
今回から採血する前にやるヘモグロビン濃度の測定が、シリンジを使わず指先をディスボのランセットで刺して、少量の血液で測定する方法に変わっていました。
今回は採血にかかる時間を測ってみました。400ミリリットルの採血で針を刺してから抜くまでの時間は7分3秒でした。これが平均的なのか、個人差はあるのかよくわかりません。赤十字のホームページでは採血時間は10分から15分となっていますが、ベッドに上がり消毒するところから最後の血圧測定までを含めてなら妥当な時間だと思います。次回、担当者が”聞ける雰囲気の人だったら”聞いてみようと思います。
今回の景品は乾麺のうどんでした。食べてみたところ少し古いのか、なんだかカビ臭かったです。パンデミック以前は休憩スペースのお菓子が自由に食べられたのですが、今はそれはなく、最後の体調確認の際に一人一つ自販機でブルボンのお菓子がもらえるように専用のコインが1枚渡されます。今回はシルベーヌバー(チョコケーキ)のボタンを押しました。景品よりもコインを2枚もらえたほうがうれしいのですが、次回ためしにお願いしてみましょうか(笑)

2022年3月6日 日曜日
映画「ナイル殺人事件」のポスター
ケネスブラナー監督、主演作品「ナイル殺人事件」を観ました。原作は言わずと知れたアガサクリスティの名作「ナイルに死す」です。
1970年代、名探偵ポワロ、シャーロックホームズの冒険、刑事コロンボなど海外の名作推理ドラマが日本でも人気になり「ナイル殺人事件」も名探偵ポワロシリーズの一話として放送されました。後には映画化もされたので、私と同年代の人なら原作は読んだことがなくてもストーリーは知っている人も多いと思います。
美しく神秘的なナイル川を進む豪華客船内で、ハネムーンを満喫していた大富豪の娘リネットが殺されます。探偵のポアロは捜査を始めますが、リネットの夫サイモン、サイモンの元フィアンセであるジャクリーンのほか、リネットとサイモンの結婚を祝うために集まった乗客全員にリネットを殺す動機があり、容疑がかけられます。二人の美しい女性をはさむ愛と嫉妬と欲望にまみれた三角関係が、第二、第三の殺人へとつながっていきます・・・。
リバイバル作品ではありますが、事件の細部においてもより現代的にアップデートが施してあり、今作最大の特徴は、これまで謎に包まれていたポアロの若き日と、トレードマークの口ひげにまつわるドラマが描かれていることです。
エジプトの古代のロマンあふれる広大な風景と、全面がガラス張りの豪華客船。船上から見えるのは、どこまでも続くナイル川。朝焼けや夕景、水面に映る月光と、シーンによって表情を変えるさまを楽しめ、1930年代のナイル川クルーズを楽しんでいる気分になれる作品でした。

高校生の時、数学が得意で卓球部の部長をしていたクラスメートのS君はアガサクリスティがお気に入りで、彼がすすめてくれたのが「ナイルに死す」でした。社会人になり卒業以来会っていなかった彼と再会した時、水商売の女性からもらったというライターを大事そうにしていたことを、なぜか思い出しました。二十歳の春のことです。

2022年3月13日 日曜日
新型コロナワクチン接種票
2022年3月13日午前11時、ハイブ長岡にて3回目の新型コロナワクチンを打ちました。1、2回目はファイザー、今回はモデルナなので交差接種ということになりますが、思わぬハプニングが待っていました。
左三角筋の筋腹にチクッとした痛みを感じた次の瞬間、「あっ、針がとんだので、やり直します」と言われ「2回も刺してすみませんね」と再度注射され終了。針がとんだってどういう意味?規定より多い薬剤が入ったりしてないよね?と考えが頭の中をかけめぐるも、混んでいて次の人が待っているし、そのまま接種後待機場所に移動。15分後帰宅。人生初の注射失敗を経験しました。

接種後の経過は、
13日23時 軽度の倦怠感。
14日07時 体温38.4度、倦怠感あり。接種した左肩に腫脹、圧痛を認め運動痛顕著。アセトアミノフェン500mg服用。
14日12時 体温37.2度、倦怠感あり。アセトアミノフェン500mg服用。
14日19時 体温37.6度、倦怠感あり。アセトアミノフェン500mg服用。
14日22時 体温37.3度、倦怠感あり。
15日07時 体温36.5度、倦怠感消失。左肩の圧痛、運動痛軽減するも残存。

1、2回目はほとんど副作用はありませんでしたが、3回目がモデルナだったせいか熱と倦怠感が顕著でした。いろいろ周囲の人に聞いてみると、熱はないけど関節痛と吐き気があったなど個人差はあるものの、1、2回目に比べ3回目は副作用の現れる確率は高いように感じます。
それにしても「針がとぶ」とはどういう意味なのでしょうか?ナゾです。

2022年3月26日 土曜日
「自粛バカ」の表紙
生物学者の池田清彦さんの著書「自粛バカ リスクゼロ症候群に罹った日本人への処方箋」を読みました。
2020年1月に起こった新型コロナウイルスによるパンデミック。2年3ヶ月が経過しましたがウイルスが変異をする度に新たな感染の波が起こり、現在はオミクロン株による第6波がピークアウトをしたという専門家の見解はあったものの、終息には至っていません。感染者数だけで評価するのはどうかと思いますが、本日の感染者数は、全国の感染者47338人、新潟県の感染者545人、長岡市の感染者131人となっており、長岡市は過去最多を記録しました。
この間、感染抑止目的で政府が経済活動に制限をかけた事情もあって、パンデミック以前から感じていた世の中の閉塞感が、さらに酷くなったように思えますが、池田さんは社会に潜む正義の仮面をかぶった攻撃性が、パンデミックであらわになったのだといいます。
いわゆる自粛警察など、自分より弱い人、いじめてもよさそうな人をいじめ、一方で強い相手には口をつぐみ、政府の外出自粛要請に9割の人が従い、強権的な措置を可能にする法改正まで望む日本人の国民性を、池田さんは「家畜化」といい、そして、「ゼロリスクへの信仰」がこの背景としてあると分析します。しかし、当たり前ですが、どんなリスクも絶対にゼロにはならず、ゼロリスクという「安心」のために「自由」を手放し、「強権的な措置を可能にする法改正」まで求める。そのリスクに気がつかないことのほうが危険であることは自明でしょう。
ではどうすれば家畜にならなくて済むのか。池田さんは、まず自分の頭で考えること。そのために必要なのは反対の意見も聴き、どういう思考経路でその意見になったのか。反対意見の裏にあるものを見ていくことで、自分が見えてない現状や真実を学ぶことだといいます。
感染症専門医の岩田健太郎さんは著書「僕がPCR原理主義に反対する理由」で「安全は大事だが、安心は大事じゃない」と語っています。安全は科学的、安心は心理的なことで、安心なことが安全とは限りません。けれども日本人は安心を行動原理にしてしまう。このあたりに医師と患者が時にすれ違い、関係性が悪くなってしまったり、貯金はするけど投資はしない理由があるのではないかと思いました。

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