2024年7月、8月、9月分の日記です
2024年7月7日 日曜日
三木康一郎監督作品「先生の白い嘘」を観ました。原作は鳥飼茜さんのの同名マンガです。
本作については奈緒さんが主演しているということ以外、なんの予備知識もなく観ました。あまりにも衝撃的な展開でR指定がついている意味はわかりました。ただ、性被害、性加害を通して、女性の性にかかわる問題を描いていることはわかりましたが、テーマについては、よくわからないまま、今も考えています。
主人公の美鈴は高校教師。美鈴の親友、美奈子は、ある不動産会社重役の令嬢。美奈子の婚約者、早藤は美奈子の父親と同じ不動産会社に勤務しています。
物語は美鈴が美奈子に隠している、ある出来事が発端になっています。それは、美奈子の引越しの手伝いに行った際、美奈子の外出中に早藤に強姦されたことです。この時、美鈴は処女でした。自分が女だから、こんな目にあったのだと諦観し、以来、女である自分を憎むようになってしまいます。早藤は、その後も美鈴の局部の写真を撮り、それをネタに関係を強要し続けました。このことが原因で美鈴は味覚障害などの身体症状に悩まされ、精神科に通院するようになりました。
そんなある日、美鈴が担任を務めるクラスの生徒、新妻が、人妻と不倫しているという噂があり、それを確かめるため新妻を呼び出します。新妻はアルバイト先の店主の妻とラブホテルへ行ってしまい、直前で考え直したが、連れ込んだ責任を取るよう言われ、セックスを強要されたこと、また、そのことが原因でEDになり悩んでいると美鈴に打ち明けます。そんな新妻に美鈴は、「あなたが誰と不倫しようが、どうでもいい。ただ、そんな事実はないと言ってくれればそれでいい」と本音をぶつけてしまいます・・・。ここから新妻との新たな関係性が生まれ、美鈴は早藤、新妻、美奈子と性をめぐる深淵に落ちていき、観客は心が壊れるような思いでラストシーンを見ることになります・・・。
女性は自分より劣った存在と感じ、セックスの相手が恐怖に怯えていないと性的に満足できない早藤。
美鈴は美奈子が自分のことを親友といいながらも、女として見下していることに気付いているが、美奈子が自尊心を満たせるならと受け入れている。しかし、美鈴は早藤に強姦されたことで美奈子が自慢する早藤との関係が虚像であると気付き、美奈子を見下す立場を手に入れることができ、内心では美奈子を哀れむ。
美奈子は理想の男と結婚し、世間が思う非の打ちどころのない女の幸せを実現するためには、早藤こそがそれにふさわしい存在なのだと思い込む。
この物語に登場する人物は皆、性に病み、もがいています。早藤がなぜそうなったのかについては、描かれていませんが、その早藤の本質を実は知っていながら、諦めない美奈子が私には理解できませんでした。
性被害にあった女性が法に訴えることの難しさも、本作ではリアルに描かれていました。女性だから仕方がない、支配する、されるという関係性は断じて間違いであると思います。
すべての男性に観てもらいたい作品です。
本作については奈緒さんが主演しているということ以外、なんの予備知識もなく観ました。あまりにも衝撃的な展開でR指定がついている意味はわかりました。ただ、性被害、性加害を通して、女性の性にかかわる問題を描いていることはわかりましたが、テーマについては、よくわからないまま、今も考えています。
主人公の美鈴は高校教師。美鈴の親友、美奈子は、ある不動産会社重役の令嬢。美奈子の婚約者、早藤は美奈子の父親と同じ不動産会社に勤務しています。
物語は美鈴が美奈子に隠している、ある出来事が発端になっています。それは、美奈子の引越しの手伝いに行った際、美奈子の外出中に早藤に強姦されたことです。この時、美鈴は処女でした。自分が女だから、こんな目にあったのだと諦観し、以来、女である自分を憎むようになってしまいます。早藤は、その後も美鈴の局部の写真を撮り、それをネタに関係を強要し続けました。このことが原因で美鈴は味覚障害などの身体症状に悩まされ、精神科に通院するようになりました。
そんなある日、美鈴が担任を務めるクラスの生徒、新妻が、人妻と不倫しているという噂があり、それを確かめるため新妻を呼び出します。新妻はアルバイト先の店主の妻とラブホテルへ行ってしまい、直前で考え直したが、連れ込んだ責任を取るよう言われ、セックスを強要されたこと、また、そのことが原因でEDになり悩んでいると美鈴に打ち明けます。そんな新妻に美鈴は、「あなたが誰と不倫しようが、どうでもいい。ただ、そんな事実はないと言ってくれればそれでいい」と本音をぶつけてしまいます・・・。ここから新妻との新たな関係性が生まれ、美鈴は早藤、新妻、美奈子と性をめぐる深淵に落ちていき、観客は心が壊れるような思いでラストシーンを見ることになります・・・。
女性は自分より劣った存在と感じ、セックスの相手が恐怖に怯えていないと性的に満足できない早藤。
美鈴は美奈子が自分のことを親友といいながらも、女として見下していることに気付いているが、美奈子が自尊心を満たせるならと受け入れている。しかし、美鈴は早藤に強姦されたことで美奈子が自慢する早藤との関係が虚像であると気付き、美奈子を見下す立場を手に入れることができ、内心では美奈子を哀れむ。
美奈子は理想の男と結婚し、世間が思う非の打ちどころのない女の幸せを実現するためには、早藤こそがそれにふさわしい存在なのだと思い込む。
この物語に登場する人物は皆、性に病み、もがいています。早藤がなぜそうなったのかについては、描かれていませんが、その早藤の本質を実は知っていながら、諦めない美奈子が私には理解できませんでした。
性被害にあった女性が法に訴えることの難しさも、本作ではリアルに描かれていました。女性だから仕方がない、支配する、されるという関係性は断じて間違いであると思います。
すべての男性に観てもらいたい作品です。
2024年7月14日 日曜日
写真は、2018年製(現在は生産終了)タミヤ模型25分の1スケール、パンサーA型戦車、自由フランス軍仕様です。
ニッポン放送「辛坊治郎ズームそこまで言うか」を愛聴していますが、ある日の放送で辛坊さんがプラモデルを作るという話をしていたことがあって、なんとなく作ってみたくなって購入。いざ、届いて箱を開けると、根気のいる細かい作業を想像し、組むのが億劫になって数ヵ月が経過。先日、100円ショップで小さなニッパーを見つけたことをきっかけに組み立て開始。毎日40分くらいの作業時間で、ほぼ1週間かかり完成。
プラモデルの組み立ては空間認知の訓練になり、達成感も期待できることから認知症の治療にも有効であるといわれています。
このキットは電池とモーターを内蔵しており、トコトコ走ります。戦車独特の動きとしてスピンターン(その場でクルクル回る動き)が可愛いのですが、なぜか、真っすぐ走れない。まぁ、製作者の性格を反映しているのでしょう(笑)
ニッポン放送「辛坊治郎ズームそこまで言うか」を愛聴していますが、ある日の放送で辛坊さんがプラモデルを作るという話をしていたことがあって、なんとなく作ってみたくなって購入。いざ、届いて箱を開けると、根気のいる細かい作業を想像し、組むのが億劫になって数ヵ月が経過。先日、100円ショップで小さなニッパーを見つけたことをきっかけに組み立て開始。毎日40分くらいの作業時間で、ほぼ1週間かかり完成。
プラモデルの組み立ては空間認知の訓練になり、達成感も期待できることから認知症の治療にも有効であるといわれています。
このキットは電池とモーターを内蔵しており、トコトコ走ります。戦車独特の動きとしてスピンターン(その場でクルクル回る動き)が可愛いのですが、なぜか、真っすぐ走れない。まぁ、製作者の性格を反映しているのでしょう(笑)
2024年7月31日 水曜日
山本健人さんの著書「すばらしい医学、あなたの体の謎に迫る知的冒険」を読みました。
山本さんの著書は2022年5月に前作である「すばらしい人体」を紹介していますが、本作は前作に対するアンチテーゼとして、人体の脆さにスポットが当てられています。人体の脆さを語ることは医学のすばらしさを語ることと表裏一体であって、人体が弱く儚いからこそ、人類は英知を結集して医学を前進させてきたと言えます。
本書は、立ちくらみなど身近な生理作用、病気と薬の歴史、外科医と手術からみる医学の進歩、人類と細菌、ウイルスの戦いの歴史などを通して、医学の面白さを物語を読むように堪能でき、385ページがスラスラ読めてしまいました。これは著者が臨床医(消化器外科)でもあることから、日々の臨床や手術を通して得られた視点が、医学という学問の面白さを、より臨場感のある物として描き出しているからだと思います。
第1章:あなたの体のひみつ
・たちくらみはなぜ起こる(起立性低血圧)
・左右の眼は違う世界を見ている(弱視という現象)
・吸う息と吐く息のちがい など。
第2章:画期的な薬、精巧な人体
・歴史を変えた抗生物質(ペニシリンの発見)
・奇跡を起こした新薬(ステロイド)
・毒から生まれた新薬(抗がん剤) など。
第3章:驚くべき外科医たち
・感染症と手足の切断(化膿の正体)
・清潔とナイチンゲール(消毒の普及)
・医療現場でもっとも有名な道具 など。
第4章:すごい手術
・器械で腸を切って縫う(自動縫合器)
・重力で腸を移動させる(腹腔鏡手術)
・手術時のガーゼは超重要 など。
第5章:人体を脅かすもの
・目に見えない脅威(一酸化炭素)
・生命を完全に破壊する光線(放射線)
・日本でも爆発的に普及したたばこ(たばこ)
・テロに用いられた神経毒(サリン) など。
という構成で、巻末付録として「超圧縮医学の歴史」が収録されています。
約100年前、日本人の平均寿命は男性45才、女性47才でしたが、現在、私たちが受けている医療は、この100年の間に確立された理論、技術に支えられていることが本書を読むとよくわかります。未知のウイルスによるパンデミック、身近に迫るがんや生活習慣病、そして超高齢化社会と認知症。私たちの生活は健康によって支えられていますが、それは怪我や病気によっていとも簡単に奪われてしまいます。医学は専門家だけのものではなく、市民にとって身近な知識であるという意識が広まりつつある中、本書は一般の読者に向けたサイエンス本として、正しく医学を知ることの楽しさを教えてくれます。
印象に残ったのは、手術に使われるコッヘル鉗子(主に止血に使われる)を考案したエミール・テオドール・コッヘルが、出血コントロールが難しかった甲状腺の手術に成功した逸話です。コッヘルと聞くと私は肩関節脱臼の整復法を思い出します。本書では触れられていませんがクーパー氏法と名づけられた肩関節脱臼整復法もあります。(私はこの方法でしか整復に成功したことがありません)クーパーは19世紀初頭に活躍したイギリス人外科医で、クーパーもまた手術に使われる器具を考案して、鼠径ヘルニア手術の礎をつくりました。
2023年12月に作家の佐藤優さんと、医師の片岡浩史さんの対談本「教養としての病」を紹介しましたが、本書は「病気」や「死」についての知識を身に付け、そのメカニズムを知ることができる「教養としての医学」です。
山本さんの著書は2022年5月に前作である「すばらしい人体」を紹介していますが、本作は前作に対するアンチテーゼとして、人体の脆さにスポットが当てられています。人体の脆さを語ることは医学のすばらしさを語ることと表裏一体であって、人体が弱く儚いからこそ、人類は英知を結集して医学を前進させてきたと言えます。
本書は、立ちくらみなど身近な生理作用、病気と薬の歴史、外科医と手術からみる医学の進歩、人類と細菌、ウイルスの戦いの歴史などを通して、医学の面白さを物語を読むように堪能でき、385ページがスラスラ読めてしまいました。これは著者が臨床医(消化器外科)でもあることから、日々の臨床や手術を通して得られた視点が、医学という学問の面白さを、より臨場感のある物として描き出しているからだと思います。
第1章:あなたの体のひみつ
・たちくらみはなぜ起こる(起立性低血圧)
・左右の眼は違う世界を見ている(弱視という現象)
・吸う息と吐く息のちがい など。
第2章:画期的な薬、精巧な人体
・歴史を変えた抗生物質(ペニシリンの発見)
・奇跡を起こした新薬(ステロイド)
・毒から生まれた新薬(抗がん剤) など。
第3章:驚くべき外科医たち
・感染症と手足の切断(化膿の正体)
・清潔とナイチンゲール(消毒の普及)
・医療現場でもっとも有名な道具 など。
第4章:すごい手術
・器械で腸を切って縫う(自動縫合器)
・重力で腸を移動させる(腹腔鏡手術)
・手術時のガーゼは超重要 など。
第5章:人体を脅かすもの
・目に見えない脅威(一酸化炭素)
・生命を完全に破壊する光線(放射線)
・日本でも爆発的に普及したたばこ(たばこ)
・テロに用いられた神経毒(サリン) など。
という構成で、巻末付録として「超圧縮医学の歴史」が収録されています。
約100年前、日本人の平均寿命は男性45才、女性47才でしたが、現在、私たちが受けている医療は、この100年の間に確立された理論、技術に支えられていることが本書を読むとよくわかります。未知のウイルスによるパンデミック、身近に迫るがんや生活習慣病、そして超高齢化社会と認知症。私たちの生活は健康によって支えられていますが、それは怪我や病気によっていとも簡単に奪われてしまいます。医学は専門家だけのものではなく、市民にとって身近な知識であるという意識が広まりつつある中、本書は一般の読者に向けたサイエンス本として、正しく医学を知ることの楽しさを教えてくれます。
印象に残ったのは、手術に使われるコッヘル鉗子(主に止血に使われる)を考案したエミール・テオドール・コッヘルが、出血コントロールが難しかった甲状腺の手術に成功した逸話です。コッヘルと聞くと私は肩関節脱臼の整復法を思い出します。本書では触れられていませんがクーパー氏法と名づけられた肩関節脱臼整復法もあります。(私はこの方法でしか整復に成功したことがありません)クーパーは19世紀初頭に活躍したイギリス人外科医で、クーパーもまた手術に使われる器具を考案して、鼠径ヘルニア手術の礎をつくりました。
2023年12月に作家の佐藤優さんと、医師の片岡浩史さんの対談本「教養としての病」を紹介しましたが、本書は「病気」や「死」についての知識を身に付け、そのメカニズムを知ることができる「教養としての医学」です。
2024年8月9日 金曜日
国民健康保険、後期高齢者医療制度の保険証が2024年8月1日付で更新されました。有効期限は2025年7月31日です。マイナンバーカードを利用した「マイナ保険証」への移行に伴い、現行の健康保険証は今年12月に原則廃止される予定なので、今回の更新が最後になります。
当院でもマイナ保険証での受付を始めて数ヵ月が経ちますが、マイナンバーカードに保険証情報がリンクされていないと思われるケースが数件あったほかは、トラブルは起こっていません。
マイナ保険証については、政府が進めるデジタル化の一環で利便性向上などが期待されるものの、保険証情報、医療情報をリンクすることについては情報漏えいへの不安などから反対する市民の声も多く、全国保険医団体連合会はYouTubeチャンネルを開設して、マイナ保険証の問題点を動画で解説し、現行の保険証の存続を訴えています。
マイナンバーカードを保険証として使う上で最大の問題点だと思うのは、カード自体は発行されてから10年、格納されている電子証明書は5年という有効期限が設定されており更新手続きが必要となることです。更新手続きには電子署名番号、利用者証明番号の入力が必要になるので高齢者にとってはハードルが高いと思います。また、情報漏えいの懸念などが残る中、生活を支える医療保険を利用し、任意であるはずのマイナンバーカードを実質強制する政府の姿勢にも問題があると感じます。
データベースを扱ったことがある方にとっては当然のことだと思いますが、データベースを構築するにはユニークキーの設定と共に、氏名は漢字のほかに、半角カナ、ローマ字表記が必須です。(クレジットカードが典型例)しかし、現在、戸籍というマイナンバーの原本には半角カナもローマ字表記もありません。「消えた年金問題」はきちんとしたデータベースの上で運用されていれば起こらなかったことなので、マイナンバー制度は必要ではあります。しかし、生活を支える医療保険を利用し、任意であるはずのマイナンバーカードを実質強制するような政府の姿勢では、市民にはなかなか受け入れられないのではないでしょうか。
当院でもマイナ保険証での受付を始めて数ヵ月が経ちますが、マイナンバーカードに保険証情報がリンクされていないと思われるケースが数件あったほかは、トラブルは起こっていません。
マイナ保険証については、政府が進めるデジタル化の一環で利便性向上などが期待されるものの、保険証情報、医療情報をリンクすることについては情報漏えいへの不安などから反対する市民の声も多く、全国保険医団体連合会はYouTubeチャンネルを開設して、マイナ保険証の問題点を動画で解説し、現行の保険証の存続を訴えています。
マイナンバーカードを保険証として使う上で最大の問題点だと思うのは、カード自体は発行されてから10年、格納されている電子証明書は5年という有効期限が設定されており更新手続きが必要となることです。更新手続きには電子署名番号、利用者証明番号の入力が必要になるので高齢者にとってはハードルが高いと思います。また、情報漏えいの懸念などが残る中、生活を支える医療保険を利用し、任意であるはずのマイナンバーカードを実質強制する政府の姿勢にも問題があると感じます。
データベースを扱ったことがある方にとっては当然のことだと思いますが、データベースを構築するにはユニークキーの設定と共に、氏名は漢字のほかに、半角カナ、ローマ字表記が必須です。(クレジットカードが典型例)しかし、現在、戸籍というマイナンバーの原本には半角カナもローマ字表記もありません。「消えた年金問題」はきちんとしたデータベースの上で運用されていれば起こらなかったことなので、マイナンバー制度は必要ではあります。しかし、生活を支える医療保険を利用し、任意であるはずのマイナンバーカードを実質強制するような政府の姿勢では、市民にはなかなか受け入れられないのではないでしょうか。
2024年8月13日 火曜日
今日、近所のコンビニで見つけて思わず笑ってしまいました。「きのこの山ジクだけ」。
論破王ひろゆきさんは「きのこの山」と「たけのこの里」はどちらが美味しいのかというディベートで「きのこの山」のほうが使われているチョコレートの量が多い、ゆえに、きのこの山のほうが美味しいと言っていましたが、この商品、きのこの山からチョコレートのカサをを外しクラッカー部分だけにしたもので、ひろゆきさんの論法が正しければ「美味しくない」ということになり、メーカーとして商品化する価値があるのか?ということになります。
「美味しい」というのは主観であって優劣をつけること自体ナンセンスだと思いますが、この商品についてはチョコとは違うもの、例えばアイスとか、ホイップクリームとかをつけて食べるなど、ユーザーに美味しさの工夫をする余地を与えているという点で面白い商品でないかと思います。
食べてみた感想は、食感はクラッカーのカリカリした歯ざわりで、甘味はあまり感じず、ココアのビターな香りがぬけていくといった感じで「接待を伴う飲食店」のカワキモノにいいのではないかと思いました。
パパが夜の街で、
パパ:「なんだこれ?」
ホス:「きのこの山のジクよ、かわいいでしょ」
パパ:「へぇ〜、オレのと同じくらいだな」
ホス:「ウッソー、カワイイー」
パパ:「いっぺん確認してみるぅ」
ホス:「ヤダー」
などと楽しく過ごして、家に帰ったら奥さんと子供が同じものを食べていたら笑えますね。
あっ、「ホス」は「ホステス」を略したつもりですが、最近では「キャスト」って呼ぶみたいですね。ああ、昭和は遠い昔になりました。
論破王ひろゆきさんは「きのこの山」と「たけのこの里」はどちらが美味しいのかというディベートで「きのこの山」のほうが使われているチョコレートの量が多い、ゆえに、きのこの山のほうが美味しいと言っていましたが、この商品、きのこの山からチョコレートのカサをを外しクラッカー部分だけにしたもので、ひろゆきさんの論法が正しければ「美味しくない」ということになり、メーカーとして商品化する価値があるのか?ということになります。
「美味しい」というのは主観であって優劣をつけること自体ナンセンスだと思いますが、この商品についてはチョコとは違うもの、例えばアイスとか、ホイップクリームとかをつけて食べるなど、ユーザーに美味しさの工夫をする余地を与えているという点で面白い商品でないかと思います。
食べてみた感想は、食感はクラッカーのカリカリした歯ざわりで、甘味はあまり感じず、ココアのビターな香りがぬけていくといった感じで「接待を伴う飲食店」のカワキモノにいいのではないかと思いました。
パパが夜の街で、
パパ:「なんだこれ?」
ホス:「きのこの山のジクよ、かわいいでしょ」
パパ:「へぇ〜、オレのと同じくらいだな」
ホス:「ウッソー、カワイイー」
パパ:「いっぺん確認してみるぅ」
ホス:「ヤダー」
などと楽しく過ごして、家に帰ったら奥さんと子供が同じものを食べていたら笑えますね。
あっ、「ホス」は「ホステス」を略したつもりですが、最近では「キャスト」って呼ぶみたいですね。ああ、昭和は遠い昔になりました。
2024年8月24日 土曜日
高橋源一郎さんの著書「書く」ってどんなこと?を読みました。高橋さんの著書は2020年8月に「読む」ってどんなことを紹介していますが、今作も学校では教えてくれない「書く」ことの本質に迫っています。
・はじめに
・1時間目:「わたし」が書く
・2時間目:「考えずに」書く
・3時間目:「書けないことを」書く
・生徒のみなさんへ、4時間目について
という構成で、人が「書く」という行為をする時、「そこ」で何が起こっているのかを知った時、「書く」ことは、それまでとは違うなにかになる。「書く」時になにが起こるのかを知るということは、人間というこの不思議な存在を、より深く知るために、欠かせないことなのだと高橋さんは言います。
SNSが普及し「書く」という行為が日常生活に浸透して、時には誰かを追い詰めて、死なせてしまうようなことにまでなっています。2時間目、「考えずに」書くで、多くの作家は原稿用紙に向かう(あるいはキーボードに向かう)時には何も考えていない、それは、人間は意識よりも前の段階で脳活動が起こっているという事実からも説明できると高橋さんは言います。確かに「書きたいこと」が決まっていれば、それほど考えなくともいいと感じます。それが一般人にとってはSNSで、考えないで書くからこそ、他者を傷つけるような投稿をしてしまうのだと思います。
さて、先日、文化放送、大竹まことゴールデンラジオに高橋さんが出演された折に絶賛された文章があります。1ヶ月1000万頂く頂き女子りりちゃんの【みんなを稼がせるマニュアル】がそれです。
頂き女子りりちゃんこと渡辺真衣被告は、2023年5月、恋愛詐欺のマニュアルを販売したり、男性の好意に付け込むなどして計約1億5500万円をだまし取ったなどの罪状で懲役9年、罰金800万円の判決を受けましたが、これを不服として控訴、2024年9月30日、控訴審の判決が下される予定です。また、現在、フォトグラファーの女性が渡辺被告の希望に基づきXアカウント「りりちゃんはごくちゅうです」を公開し、更新、管理しており、フォロワーは現在30万人を超えています。
両方とも読んでみましたが、考えて書いたというよりは、心の奥から湧き出てくる思いをそのまま書き留めた、渡辺被告の想いと、彼女と社会との関係性がリアルに感じられました。「書く」とはこういうことなんだと思います。「りりちゃんはごくちゅうです」はすでに出版の話もあるようです。
1ヶ月1000万頂く頂き女子りりちゃんの【みんなを稼がせるマニュアル】
弱者が弱者を狩る世の中。罪を負うのは渡辺被告だけでいいのでしょうか。
・はじめに
・1時間目:「わたし」が書く
・2時間目:「考えずに」書く
・3時間目:「書けないことを」書く
・生徒のみなさんへ、4時間目について
という構成で、人が「書く」という行為をする時、「そこ」で何が起こっているのかを知った時、「書く」ことは、それまでとは違うなにかになる。「書く」時になにが起こるのかを知るということは、人間というこの不思議な存在を、より深く知るために、欠かせないことなのだと高橋さんは言います。
SNSが普及し「書く」という行為が日常生活に浸透して、時には誰かを追い詰めて、死なせてしまうようなことにまでなっています。2時間目、「考えずに」書くで、多くの作家は原稿用紙に向かう(あるいはキーボードに向かう)時には何も考えていない、それは、人間は意識よりも前の段階で脳活動が起こっているという事実からも説明できると高橋さんは言います。確かに「書きたいこと」が決まっていれば、それほど考えなくともいいと感じます。それが一般人にとってはSNSで、考えないで書くからこそ、他者を傷つけるような投稿をしてしまうのだと思います。
さて、先日、文化放送、大竹まことゴールデンラジオに高橋さんが出演された折に絶賛された文章があります。1ヶ月1000万頂く頂き女子りりちゃんの【みんなを稼がせるマニュアル】がそれです。
頂き女子りりちゃんこと渡辺真衣被告は、2023年5月、恋愛詐欺のマニュアルを販売したり、男性の好意に付け込むなどして計約1億5500万円をだまし取ったなどの罪状で懲役9年、罰金800万円の判決を受けましたが、これを不服として控訴、2024年9月30日、控訴審の判決が下される予定です。また、現在、フォトグラファーの女性が渡辺被告の希望に基づきXアカウント「りりちゃんはごくちゅうです」を公開し、更新、管理しており、フォロワーは現在30万人を超えています。
両方とも読んでみましたが、考えて書いたというよりは、心の奥から湧き出てくる思いをそのまま書き留めた、渡辺被告の想いと、彼女と社会との関係性がリアルに感じられました。「書く」とはこういうことなんだと思います。「りりちゃんはごくちゅうです」はすでに出版の話もあるようです。
1ヶ月1000万頂く頂き女子りりちゃんの【みんなを稼がせるマニュアル】
弱者が弱者を狩る世の中。罪を負うのは渡辺被告だけでいいのでしょうか。
2024年8月25日 日曜日
白石晃士(しらいし こうじ)監督作品「サユリ」を観ました。原作は押切蓮介さんの同名マンガです。
文化放送、大竹まことゴールデンラジオの水曜レギュラーは、タレントのきたろうさんなのですが、今まで自身が出演した映画や舞台作品のことを話題にすることはほとんどありませんでした。ところが本作については珍しく、「撮影現場の雰囲気がとてもよかった。撮影現場の雰囲気がいい作品は、いい出来になるんだよ。ぜひ、観てもらいたいね」とコメントされていました。
それならばということで観た印象は、今までにないコメディ要素を取り入れたジャパニーズホラーで、例えるなら「観る、お化け屋敷」といったところでしょうか。コワ面白い作品でした。
神木家は、会社員のお父さん、専業主婦のお母さん、会社員の長女、高校生の長男、小学生の次男、それにおじいちゃん(きたろう)、認知症のおばあちゃんの7人家族。
物語は、中古住宅とはいえ夢のマイホームを購入した神木家の、和気あいあいの引っ越しシーンから始まります。快活な長女、ミチコは自室を持てることを喜び、長男、ノリオはバルコニーからの景色を眺め、新生活にワクワクしますが、次男、シュンだけは何かを感じているようで「なんだか、ここ、こわい」と言います。おばあちゃんも、なぜか、ひたすらある一点を見つめ続け不安気な表情を浮かべます。
次の日、ノリオは学校で隣のクラスの女生徒、住田に唐突に「神木君、気をつけて」と話しかけられ困惑します。どうやら住田は「見える人」のようでした。ここから不可思議な出来事が次々に神木家に起こっていきます。弟思いのミチコがシュンに暴力を振るい、翌日にはお父さんが突然死。まるで連鎖するように、おじいちゃんも狂ったようにように素手で地面を掘り返していたかと思ったら突然死。
しばらく登校しないノリオを心配した住田が訪れ、忠告します。「あの家、早く出て行って!出ていかないとみんな・・・」。彼女の言葉通りにノリオ目の前で、弟、姉、母親が次々と無惨な死を遂げていきます。
そこに、怯えきったノリオの耳に聞こえてくる、幼い女の子の可愛い笑い声。ついに姿を現したのは、肥満した体にザンギリアタマで、おぞましい顔をした若い女性の霊、サユリでした。鉄のバールを振り上げてノリオを襲ってきましたが、それを救ったのはなんと、認知症のおばあちゃんでした。
「夢じゃなかったか。すっかり目が覚めてしもうたわい。みんな死んだんか?」「なんやチラチラ見えとったアレが、全部やりおったか?」そう言うと、力なくしゃがみ込むノリオに「残されたワシらに何ができる?」「いいか、ノリオ、ワシら二人で、さっきのアレを、地獄送りにしてやるんじゃ!」と雄叫びをあげます。
こうして、残されたノリオとおばあちゃんによる壮絶な復讐劇が始まります・・・。
ホラークイーンといえば、やせていて髪が長く、四つん這いで登場というのが定番ですが、女子プロレスで負けて、髪をその場で切られたかのような、すさまじい形相の女が鉄のバールを振り回すという設定には意表をつかれました。また、そんなサユリという幽霊の過去に、実はおぞましい家族の物語が横たわっていて、サユリもまた被害者であったことが明かされると、怖さに冷たさが加わる感覚になりました。
身体的、社会的な弱者が理不尽にいじめられ、死に至り、その怨念が恐ろしい事象を起こすという、使い古された物語は、能力社会化、格差社会化が進む現代においては、清涼剤的な意味合いも持つのかも知れません。
文化放送、大竹まことゴールデンラジオの水曜レギュラーは、タレントのきたろうさんなのですが、今まで自身が出演した映画や舞台作品のことを話題にすることはほとんどありませんでした。ところが本作については珍しく、「撮影現場の雰囲気がとてもよかった。撮影現場の雰囲気がいい作品は、いい出来になるんだよ。ぜひ、観てもらいたいね」とコメントされていました。
それならばということで観た印象は、今までにないコメディ要素を取り入れたジャパニーズホラーで、例えるなら「観る、お化け屋敷」といったところでしょうか。コワ面白い作品でした。
神木家は、会社員のお父さん、専業主婦のお母さん、会社員の長女、高校生の長男、小学生の次男、それにおじいちゃん(きたろう)、認知症のおばあちゃんの7人家族。
物語は、中古住宅とはいえ夢のマイホームを購入した神木家の、和気あいあいの引っ越しシーンから始まります。快活な長女、ミチコは自室を持てることを喜び、長男、ノリオはバルコニーからの景色を眺め、新生活にワクワクしますが、次男、シュンだけは何かを感じているようで「なんだか、ここ、こわい」と言います。おばあちゃんも、なぜか、ひたすらある一点を見つめ続け不安気な表情を浮かべます。
次の日、ノリオは学校で隣のクラスの女生徒、住田に唐突に「神木君、気をつけて」と話しかけられ困惑します。どうやら住田は「見える人」のようでした。ここから不可思議な出来事が次々に神木家に起こっていきます。弟思いのミチコがシュンに暴力を振るい、翌日にはお父さんが突然死。まるで連鎖するように、おじいちゃんも狂ったようにように素手で地面を掘り返していたかと思ったら突然死。
しばらく登校しないノリオを心配した住田が訪れ、忠告します。「あの家、早く出て行って!出ていかないとみんな・・・」。彼女の言葉通りにノリオ目の前で、弟、姉、母親が次々と無惨な死を遂げていきます。
そこに、怯えきったノリオの耳に聞こえてくる、幼い女の子の可愛い笑い声。ついに姿を現したのは、肥満した体にザンギリアタマで、おぞましい顔をした若い女性の霊、サユリでした。鉄のバールを振り上げてノリオを襲ってきましたが、それを救ったのはなんと、認知症のおばあちゃんでした。
「夢じゃなかったか。すっかり目が覚めてしもうたわい。みんな死んだんか?」「なんやチラチラ見えとったアレが、全部やりおったか?」そう言うと、力なくしゃがみ込むノリオに「残されたワシらに何ができる?」「いいか、ノリオ、ワシら二人で、さっきのアレを、地獄送りにしてやるんじゃ!」と雄叫びをあげます。
こうして、残されたノリオとおばあちゃんによる壮絶な復讐劇が始まります・・・。
ホラークイーンといえば、やせていて髪が長く、四つん這いで登場というのが定番ですが、女子プロレスで負けて、髪をその場で切られたかのような、すさまじい形相の女が鉄のバールを振り回すという設定には意表をつかれました。また、そんなサユリという幽霊の過去に、実はおぞましい家族の物語が横たわっていて、サユリもまた被害者であったことが明かされると、怖さに冷たさが加わる感覚になりました。
身体的、社会的な弱者が理不尽にいじめられ、死に至り、その怨念が恐ろしい事象を起こすという、使い古された物語は、能力社会化、格差社会化が進む現代においては、清涼剤的な意味合いも持つのかも知れません。
2024年8月31日 日曜日
「ポチる」今、この言葉の意味がわからない人はほとんどいないでしょう。私は海外製のサプリメントや専門書を購入するために、たまにAmazonで「ポチり」ます。Amazonを利用し始めた頃は、オーダーした本が翌日には届く、その速さに驚いたものですが、最近では、それが「当たり前」になってしまっています。
働き方改革によるトラックドライバー不足が問題視されていますが、同時に、次の日に届く「当たり前」を実現するために、多くの人が辛い思いをしている現実も市民の知るところとなりました。
塚原あゆ子監督作品「ラストマイル」は、世界規模のショッピングサイトを舞台に、資本主義の歪みに気付きながらも、なんとかそれを正当化しよとする人々が織りなすクライムサスペンスで、完全オリジナル映画作品です。ラストマイルとは物流業界の用語で、発送された商品が受取人の元へ届けられる最後の工程のことで、街中を走っている宅配便などがそれに当たります。
ブラックフライデーの前日を皮切りに、アメリカに本社を持つ世界最大のショッピングサイト、DAILYFAST社の日本支社でもある、総合物流センターから配達された宅配便が顧客のもとで次々と爆発、1名の死者と多数の重軽傷者が発生する事件が起こります。
時を同じくして、総合物流センターに新センター長として福岡から舟渡エレナが赴任します。エレナはこの事件による莫大な損害や株価への影響などを憂慮し、部下の梨本孔と共に対応に追われますが、警視庁の担当刑事は全商品の出荷停止を要請されます。エレナは警察と交渉し、警察にも協力してもらいエックス線検査で安全確認を行いながら出荷を継続するものの、物流の乱れの影響は次第に大きくなります。
この間、エレナはSNSで「DAILYFAUST」という自社のロゴとそっくりなブラックフライデーの偽CMとともに、爆発事件より前に「1ダースの爆弾」をプレゼントすると投稿していたアカウントを発見しますが、なぜか、その件の隠ぺいを望むかのような言動をみせ、梨本は彼女に不信感を抱き始めます。そして、警察の調べにより、かつて物流センターのチームマネージャーだった山崎という男が偽CMを発注していたことが判明します。警察は山崎のマンションを家宅捜索しますが、実は山崎は5年も前に物流センター内で飛び降り自殺をはかって重傷を負い、今は植物状態になっていたのでした・・・。
物流センター長であるエレナと部下の梨本は、無差別テロにも思える爆弾魔を阻止できるのか、翻弄される宅配業者や警察を描きながら、犯人の目的や動機、伏線を配置しながら二転三転するストーリー展開は面白かったです。また、私は本作を観てチャップリンの「モダンタイムス」を連想しました。行き過ぎた資本主義、能力主義がはびこる現代社会に打ちひしがれた善良な人が、時に狂気を宿して社会に牙をむくことは起こりうると思いました。
働き方改革によるトラックドライバー不足が問題視されていますが、同時に、次の日に届く「当たり前」を実現するために、多くの人が辛い思いをしている現実も市民の知るところとなりました。
塚原あゆ子監督作品「ラストマイル」は、世界規模のショッピングサイトを舞台に、資本主義の歪みに気付きながらも、なんとかそれを正当化しよとする人々が織りなすクライムサスペンスで、完全オリジナル映画作品です。ラストマイルとは物流業界の用語で、発送された商品が受取人の元へ届けられる最後の工程のことで、街中を走っている宅配便などがそれに当たります。
ブラックフライデーの前日を皮切りに、アメリカに本社を持つ世界最大のショッピングサイト、DAILYFAST社の日本支社でもある、総合物流センターから配達された宅配便が顧客のもとで次々と爆発、1名の死者と多数の重軽傷者が発生する事件が起こります。
時を同じくして、総合物流センターに新センター長として福岡から舟渡エレナが赴任します。エレナはこの事件による莫大な損害や株価への影響などを憂慮し、部下の梨本孔と共に対応に追われますが、警視庁の担当刑事は全商品の出荷停止を要請されます。エレナは警察と交渉し、警察にも協力してもらいエックス線検査で安全確認を行いながら出荷を継続するものの、物流の乱れの影響は次第に大きくなります。
この間、エレナはSNSで「DAILYFAUST」という自社のロゴとそっくりなブラックフライデーの偽CMとともに、爆発事件より前に「1ダースの爆弾」をプレゼントすると投稿していたアカウントを発見しますが、なぜか、その件の隠ぺいを望むかのような言動をみせ、梨本は彼女に不信感を抱き始めます。そして、警察の調べにより、かつて物流センターのチームマネージャーだった山崎という男が偽CMを発注していたことが判明します。警察は山崎のマンションを家宅捜索しますが、実は山崎は5年も前に物流センター内で飛び降り自殺をはかって重傷を負い、今は植物状態になっていたのでした・・・。
物流センター長であるエレナと部下の梨本は、無差別テロにも思える爆弾魔を阻止できるのか、翻弄される宅配業者や警察を描きながら、犯人の目的や動機、伏線を配置しながら二転三転するストーリー展開は面白かったです。また、私は本作を観てチャップリンの「モダンタイムス」を連想しました。行き過ぎた資本主義、能力主義がはびこる現代社会に打ちひしがれた善良な人が、時に狂気を宿して社会に牙をむくことは起こりうると思いました。
2024年9月8日 日曜日
新潟青陵大学の公開講座「ニイガタヒューマンライブラリー」を紹介します。
2022年9月に同大学の公開講座「サイエンスカフェ」に参加した感想を書きましたが、サイエンスカフェが専門家や一般の人々が、ファシリテーターを置いてサロン形式で科学や専門分野について気軽に語り合うというスタイルであったのに対して、ニイガタヒューマンライブラリーは「人を貸し出す図書館」というコンセプトで、多様な属性や要素、特徴や価値観を持った人を「本」とみたて、その人(本)が社会から誤解や偏見を持たれた経験などを話してもらい、参加者は読者として対話するというスタイルの講座です。
今、世の中はダイバーシティという言葉だけが先走りしている感がありますが、多様な人々との対話は、自分の中に固定観念や誤解があることに気付くチャンスかも知れません。
興味がある方は下記のニイガタヒューマンライブラリーのチラシ(PDF)のリンクから詳細をご覧ください。
ニイガタヒューマンライブラリのチラシ
2022年9月に同大学の公開講座「サイエンスカフェ」に参加した感想を書きましたが、サイエンスカフェが専門家や一般の人々が、ファシリテーターを置いてサロン形式で科学や専門分野について気軽に語り合うというスタイルであったのに対して、ニイガタヒューマンライブラリーは「人を貸し出す図書館」というコンセプトで、多様な属性や要素、特徴や価値観を持った人を「本」とみたて、その人(本)が社会から誤解や偏見を持たれた経験などを話してもらい、参加者は読者として対話するというスタイルの講座です。
今、世の中はダイバーシティという言葉だけが先走りしている感がありますが、多様な人々との対話は、自分の中に固定観念や誤解があることに気付くチャンスかも知れません。
興味がある方は下記のニイガタヒューマンライブラリーのチラシ(PDF)のリンクから詳細をご覧ください。
ニイガタヒューマンライブラリのチラシ
2024年9月21日 土曜日
「悪液質」(カヘキシー)という言葉を知ったのは小学生の頃で、手塚治虫さんのマンガ「ブラックジャック」からでした。悪液質とは、がんの症状のひとつで、栄養不良により体が衰弱した状態をいい、そのメカニズムは現代においても完全に解明されていませんが、腫瘍と体との相互作用により起こる、全身性の慢性炎症であると考えられています。食欲不振やエネルギーの無駄な消費が起こり、脂肪や筋肉が減って体重の減少が顕著になります。
1970年代、がん告知は患者家族に同意を求めることが一般的で「がん」=「死」というイメージが今よりも強く、医者の口から「悪液質」という言葉が出たら死が近いことを意味すると知ってから「がん」という言葉が特別なひびきを持って聞こえるようになりました。
このコーナーでも立花隆さんや腫瘍内科医の押川勝太郎さんの著書などを紹介しながら「がん」についての話題も度々取り上げてきましたが、今回紹介する「がんはなぜできるのか」は国立がん研究センターの現役研究者たちが語ったがん研究の最前線で、
第1章:がんとはなにか
第2章:どうして生じるのか
第3章:がんがしぶとく生き残る術
第4章:がんと老化の複雑な関係
第5章:再発と転移
第6章:がんを見つける、見極める
第7章:予防できるのか
第8章:ゲノムが拓く新しいがん治療
という構成で、がんのメカニズムから最先端のゲノム医療まで語りつくされています。
第1章から5章では、がんのメカニズムが解説されています。がん細胞は、一部の遺伝子が変化することで生まれます。その遺伝子が何をしていて、なぜがん形成に関わるのかについて、最先端の研究でもすべてが解明されているわけではありませが、近年、遺伝子を調べる機器(シーケンサー)の性能が上がっており、遺伝子が変わった場所によってがんを分類できるようになってきました。現在はがんができた場所(臓器)によって抗がん剤などを使い分けていますが、将来はがんで変化した遺伝子ごとに使い分けることになりそうです。また、手術、抗がん剤、放射線に続く第4の治療法として注目されている免疫チェックポイント阻害薬(オブシーボなど)や、患者の免疫細胞を取り出して遺伝子組換えを施し、がん細胞を攻撃する能力をもたせて血中に戻す「CAR-T療法」なども紹介されています。
第6章では早期発見が重要としながらも、現在のがん検診で行われる内視鏡検査やマンモグラフィは検査に伴う苦痛などの問題が残っていると指摘。また、がんの治療効果をみるための血液検査では「腫瘍マーカー」という、がん由来の物質の増減をみるのですが、がんが小さいうちは検出が難しかったり、正常細胞からも分泌されたりするため、早期発見には活用できませんでした。そこで国立がん研究センターは2017年から1滴の血液から、13種類のがんを超早期に発見する技術の実用化を目指した臨床研究を開始しました。この研究では、がん細胞が他の細胞にはたらきかけるときに使われる「マイクロRNA」という物質を調べます。人間には約2500種類のマイクロRNAがあり、そのうち100種類程度が、がんの診断に使えるのではないかと考えられています。採血だけなので苦痛はほとんどないことが受ける側にとっては最大のメリットですが、実用化にはまだ時間がかかりそうです。
第7章では「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」の5つの健康習慣を実践する人は、実践しない人または1つだけ実践する人に比べ、男性で43%、女性で37%、がんになるリスクが低くなるという大規模調査の結果が紹介されています。
第8章では遺伝子の塩基配列を高速で読み取る次世代シーケンサーやAI(人工知能)など、最先端科学を結集させた「がんゲノム医療」が今後のがん治療の主役となっていくことが紹介されています。
本書は、主に科学的(生物学的)な視点から最先端の研究の紹介を交えつつ、がんを知ることができますが、染色体、遺伝子、DNA、RNAの意味、遺伝学の基礎、生化学の基礎を雑誌ニュートンや日経サイエンスなどで、ある程度知識をつけてから読むと理解しやすいと思います。
1970年代、がん告知は患者家族に同意を求めることが一般的で「がん」=「死」というイメージが今よりも強く、医者の口から「悪液質」という言葉が出たら死が近いことを意味すると知ってから「がん」という言葉が特別なひびきを持って聞こえるようになりました。
このコーナーでも立花隆さんや腫瘍内科医の押川勝太郎さんの著書などを紹介しながら「がん」についての話題も度々取り上げてきましたが、今回紹介する「がんはなぜできるのか」は国立がん研究センターの現役研究者たちが語ったがん研究の最前線で、
第1章:がんとはなにか
第2章:どうして生じるのか
第3章:がんがしぶとく生き残る術
第4章:がんと老化の複雑な関係
第5章:再発と転移
第6章:がんを見つける、見極める
第7章:予防できるのか
第8章:ゲノムが拓く新しいがん治療
という構成で、がんのメカニズムから最先端のゲノム医療まで語りつくされています。
第1章から5章では、がんのメカニズムが解説されています。がん細胞は、一部の遺伝子が変化することで生まれます。その遺伝子が何をしていて、なぜがん形成に関わるのかについて、最先端の研究でもすべてが解明されているわけではありませが、近年、遺伝子を調べる機器(シーケンサー)の性能が上がっており、遺伝子が変わった場所によってがんを分類できるようになってきました。現在はがんができた場所(臓器)によって抗がん剤などを使い分けていますが、将来はがんで変化した遺伝子ごとに使い分けることになりそうです。また、手術、抗がん剤、放射線に続く第4の治療法として注目されている免疫チェックポイント阻害薬(オブシーボなど)や、患者の免疫細胞を取り出して遺伝子組換えを施し、がん細胞を攻撃する能力をもたせて血中に戻す「CAR-T療法」なども紹介されています。
第6章では早期発見が重要としながらも、現在のがん検診で行われる内視鏡検査やマンモグラフィは検査に伴う苦痛などの問題が残っていると指摘。また、がんの治療効果をみるための血液検査では「腫瘍マーカー」という、がん由来の物質の増減をみるのですが、がんが小さいうちは検出が難しかったり、正常細胞からも分泌されたりするため、早期発見には活用できませんでした。そこで国立がん研究センターは2017年から1滴の血液から、13種類のがんを超早期に発見する技術の実用化を目指した臨床研究を開始しました。この研究では、がん細胞が他の細胞にはたらきかけるときに使われる「マイクロRNA」という物質を調べます。人間には約2500種類のマイクロRNAがあり、そのうち100種類程度が、がんの診断に使えるのではないかと考えられています。採血だけなので苦痛はほとんどないことが受ける側にとっては最大のメリットですが、実用化にはまだ時間がかかりそうです。
第7章では「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」の5つの健康習慣を実践する人は、実践しない人または1つだけ実践する人に比べ、男性で43%、女性で37%、がんになるリスクが低くなるという大規模調査の結果が紹介されています。
第8章では遺伝子の塩基配列を高速で読み取る次世代シーケンサーやAI(人工知能)など、最先端科学を結集させた「がんゲノム医療」が今後のがん治療の主役となっていくことが紹介されています。
本書は、主に科学的(生物学的)な視点から最先端の研究の紹介を交えつつ、がんを知ることができますが、染色体、遺伝子、DNA、RNAの意味、遺伝学の基礎、生化学の基礎を雑誌ニュートンや日経サイエンスなどで、ある程度知識をつけてから読むと理解しやすいと思います。